

ワーファリンは、特に不整脈(心房細動)が原因の心源性脳塞栓症の患者さんに対して、再発予防の効果があることが証明されています。また、その他の心臓疾患による心源性脳塞栓症に対しても有用です。但し、動脈硬化が原因の脳血栓症に対する効果は、確立されていません。
ワーファリンは、血液を固まりにくくする作用があるため、効きすぎると出血傾向が出現します。怪我をしたときには、傷口から出血が止まりにくくなるかもしれません。薬の効果の確認のためには、血液検査によって”血液凝固時間”を、ときどきチェックする必要があります。
また、その他の薬(抗生物質、抗炎症剤、抗不安剤、など)と併用する場合には、ワーファリンの効果は増強されたり、または軽減されたりしますので注意が必要です。また、ビタミンKを大量に含む納豆とクロレラは食べてはいけません。医師から注意事項をよく聞いてください。
抗血小板療法
血小板の働きを抑制して、血栓を作るのを阻止する薬(抗血小板薬)を投与します。代表的な薬として、アスピリンとチクロピジンという薬があります。
アスピリン
脳梗塞や心筋梗塞に対する予防効果が、国際的な大規模な臨床試験で証明されています。(Antiplatelet
Trialists' Collaboration. BMJ 1994)
- 以前は大量投与(1000mg/day)が多かったため、胃炎や消化性潰瘍などの副作用が問題となっていましたが、最近では少量投与(81mg/day)でも、十分な効果があることが確認され、副作用も減っています。
米国では、アスピリンは脳梗塞(特に脳血栓症)の治療の第一選択剤として、広く使用されています。アスピリンアレルギーなどの副作用があって使えない人には、チクロピジン等の他の薬を使うことが推奨されています。アスピリンは極めて安価であることも利点の一つです。
しかし、日本ではアスピリンは解熱鎮痛剤としては使われていますが、脳梗塞や心筋梗塞の治療に用いることは保険診療では認められていません。どうしてでしょうか?それは、日本の製薬会社が脳梗塞や心筋梗塞の治療に使いたいと申請していないからです。ですから日本では、アスピリンは適応外使用として使われ、適応のある疾患名をレセプト病名としてつけるといったことが行われています。
チクロピジン
幾つかの国際的な臨床試験で、脳梗塞の再発予防効果はアスピリンよりやや優れていると報告されています。
但し、胃炎や下痢といった副作用以外に、白血球減少という重大な副作用が約0.5%の頻度で発生すると報告され、服用開始後3-4か月の間は定期的な血液検査が必要です。
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