


脳梗塞は、発症直後はCTでは病変部位はわかりません。以前は、”発症後1日目(24時間以内)の脳梗塞は、CTでは異常所見が出ないので診断できない”、なんて言われていましたが、最近のCTは性能がよくなりました。発症から3-6時間後には徐々に変化が現われ、診断可能となってきました。。CT写真上は、梗塞部位はしだいに黒くなってきます。
脳出血は発症直後より白く写り、診断可能です。くも膜下出血もほとんどの場合発症直後より診断可能です。但しくも膜下出血は、その出血量が少ないときには、出血後数日過ぎるとわかりにくいこともあります。
最近では、血管や脳動脈瘤を詳しく調べるために、造影剤を使ったCT血管撮影(CTA
またはCTアンジオ)という検査も広く行われるようになってきました。
正常CT画像
正常CTアンジオ画像
MRI検査(磁気共鳴画像)
強力な磁気を利用した断層撮影で、CTよりさらに詳しく、そして小さな異常を発見できます。断面図は、水平像だけでなく、あらゆる角度の像が得られます。時間は15-30分程度で、撮影中は装置の雑音が少々うるさいようです。
造影剤を使わずに、血管や脳動脈瘤を詳しく調べることができるMR血管撮影(MRAまたはMRアンジオ)という検査も広く行われるようになってきました。
脳梗塞では、CTより早く病変を見つけることができます。
さらに最近では、Diffusion/Perfusion
MRI(ディフュージュン/パフュージュン MRI)という新しい撮影方法によって、発症早期の脳梗塞の診断が可能となってきました。将来的には、脳梗塞に陥りつつある脳の組織が、早期の適切な治療によって救うことができるのかどうかを、MRIで判定できるようになると思われます。
発症早期の脳出血やくも膜下出血では、必ずしもMRI検査は必要ではありません。
正常MRI画像
正常MRA画像
超音波ドプラー検査
超音波を使って、血液の流れを調べる検査です。簡単な装置で、どこでも手軽に行えます。
特に、頚動脈の流れや動脈硬化の程度を見るのに有用です。また、脳内の太い血管の流れも見ることができます。最近では、くも膜下出血後の脳血管攣縮の診断に用いられています。
脳血管撮影検査
脳の血管の走行を調べる検査です。脳梗塞では、詰まった血管や動脈硬化で狭くなった血管があるかどうかを調べます。脳出血では、出血の原因(脳動脈瘤や血管奇形など)を調べます。
下肢の付け根(鼡径部といいます)の血管、あるいは肘の血管に、細い管(カテーテル)を挿入し、レントゲンを見ながら脳へ行く血管(頚動脈や椎骨動脈)まで進めていきます。そこで、造影剤を注入して連続的なレントゲン写真をとります。
検査は、局部麻酔で行いますので、意識ははっきりとしたままです。通常の検査は1時間程度です。
脳卒中が疑われる人にこの検査をした時、検査自体によって新たな脳卒中を起こす危険率が、およそ0.63%あると報告されています。但し、その新たな症状は一時的なものが多いようです。
脳血管撮影画像
脳血流検査
脳内各部位の血流量を調べる検査です。いろいろな検査方法がありますが、よく用いられいるのはSPECT(スペクト)と呼ばれる検査です。これは、微量の放射性同位元素を注射した後(からだに入っても無害です)、CTとよく似た装置で脳への取り込みの程度を測定して、脳血流量を算出します。検査時間は20-30分程度です。
脳梗塞の診断には非常に有用な検査です。CT検査でまだ診断できない発症早期の脳梗塞でも、脳血流検査でははっきりと異常を診断できます。また、慢性期の脳梗塞においても、どの部分の血液循環が悪いのかを診断できるため、治療方針の決定に役にたちます。
脳血流検査画像(SPECT画像)

心臓の検査
脳卒中の危険因子である心房細動などの不整脈を調べるために、心電図は必須です。その他の心臓病の検査のために超音波エコー検査などが行われます。
血液検査
血液粘度、血糖値、コレステロール値など脳卒中の危険因子を調べます。
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