• ここでは、くも膜下出血を起こす疾患の中で、最も重要である”破裂脳動脈瘤”の治療について解説します。この病気の治療は、外科的治療が必要となりますので、脳神経外科のある病院で行われるべきです。
  • 脳動脈瘤は、脳の最も深部の主要な脳血管の分岐部にできます。通常は細い枝にはできません。脳動脈瘤の発生部位は、内頚動脈に40%、前交通動脈に30%、中大脳動脈に20%、椎骨あるいは脳底動脈に10%とされています。
  • 脳動脈瘤の破裂する原因はまだよくわかっていません。脳血管自身の加齢現象と血圧が関与しているのではと考えられています。また、実際に破裂する状況を調べた報告によると、睡眠時には少なく、何らかのストレスがかかった時に起こる場合が43-70%であったとされています。
  • くも膜下出血の急性期の治療においては、以下の項目が重要な課題です。
  • 再出血の予防のための治療
  • 脳血管攣縮(のうけっかんれんしゅく)の治療
  • 脳浮腫の治療
  • 水頭症の治療
  • 全身性合併症の治療
  • 破裂脳動脈瘤によるくも膜下出血の治療においてまずすべきことは、脳動脈瘤の再度の破裂による再出血を防ぐことです。再出血は、初回出血から24時間後、あるいは1-2週間後といった早期に発生することが多いと報告されています。また、初回出血時は軽症でも、再出血を来すと死亡率は高く、命が助かっても重篤な後遺症を残す場合も多くなります。
  • 破裂脳動脈瘤の再出血を防ぐ治療として、最も広く行われている方法は、外科的開頭術である脳動脈瘤のクリッピング術です。また最近では、脳血管内治療として、脳動脈瘤内のコイル塞栓術も行われるようになってきました。また、手術をするまでの間は、絶対安静とし、血圧を安定させることが重要です。