一般の有界集合上の2重積分 double integral     
     VIII. 一般の有界集合上の一般リーマン和とリーマン可積分

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定義:一般分割

【文献】

 ・杉浦『解析入門I』IV章§9定義4(pp.275-6.)
 ・吹田新保『理工系の微分積分学』195;
 ・笠原『微分積分学』7.2節 (pp.259-260)
 ・高木『解析概論』8章92節定理77-5(pp.332-334)

【関連】
  ・(通常の矩形)分割

R2上の有界な面積確定点集合Aの一般分割凾ニは、
 R2上の有界な面積確定点集合Aを
  以下の条件を満たす有限個の点集合A1,A2,…Anに分割すること。 

  条件1: A1,A2,Anは、各々、面積確定であること。  
  条件
2: A1,A2,Anは、各々、空集合ではないこと。つまり、Akφ ( k=1,2,,n ) 
  条件
3: A1,A2,Anは、互いに重複してもよいが、重複部分の面積はゼロであること。
        つまり、
(AkAl )面積0 ( kl ) 
・分割の細かさを示す指標として、
  {
A1直径,A2直径,,An直径}のなかの最大値
 がとりあげられ、
 これらは、記号
||δd()などで表される。
A1,A2,Anが矩形でなくてもよいというのがポイント。
 A1,A2,Anが矩形ならば、普通の分割になる。 

定義:一般リーマン和

 [杉浦『解析入門I』IV章§9定義4(pp.275-6.);吹田新保『理工系の微分積分学』195;
  笠原『微分積分学』7.2節 (pp.259-260);高木『解析概論』8章92節定理77-5(pp.332-334);]
(舞台設定)
 
A: R2上の有界な面積確定点集合を表すとする。
 
A1,A2,An: A一般分割凾ノよってできたn個の点集合で、以下の条件を満たしているとする。
     
(条件1) Ak( k=1,2,,n )は、面積確定
     
(条件2) Akφ ( k=1,2,,n ) 
     
(条件3) (AkAl )面積0 ( kl ) 
 
f(x ,y ): ここでは、関数f(x ,y )として、Aの上で定義された有界関数のみを考える。
(本題)
 まず、
Ak( k=1,2,,n )の各々から、
 代表点
Pk =(ζk ,ηk )Akを一つ、勝手に選ぶ。
以下のように、積:
f (Pk )(Ak面積)f (ζk ,ηk) (Ak面積)
を、n個全てのAk ( k=1,2,,n )について足し合せる。
  
これを、
関数fの 、(一般分割凵E代表点{ Pk }とした際の)一般リーマン和
という。
 ※一般分割凵E代表点{ Pk }のとりかたは、いろいろであるから、
  関数fの一般リーマン和は、
  一般分割凵E代表点{ Pk }のとりかたに応じて、値を変えうる。
  つまり、関数fの一般リーマン和は、一般分割凵A代表点{ Pk }のある種の関数となっている。
  分割を細かくしていったときに、この関数が収束するかどうかという問題が、
  下記の積分可能の有無の問題に他ならない。



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定理:リーマン積分可能になるなら、一般リーマン和も積分値へ収束

  [杉浦『解析入門I』IV章§9定理9.10-11(pp.275-9.)詳細な証明付;
   高木『解析概論』8章92節定理77-5(pp.332-334);吹田新保『理工系の微分積分学』195詳細な証明付;
   笠原『微分積分学』7.2節 (pp.259-260)]
(舞台設定)
 A: R2上の有界な面積確定点集合を表すとする。
 R[f;;{Pk}]: 関数fの 、一般分割凵E代表点{ Pk }とした際の、一般リーマン和
 d(): 一般分割凾フ分割の細かさ。 
 f(x ,y ): ここでは、関数f(x ,y )として、Aの上で定義された有界関数のみを考える。
(本題)
〇1 f(x ,y )が(矩形分割によるという意味で)A上リーマン積分可能ならば、 
  (いろいろな一般分割凾フ採り方に対して、いろいろな一般リーマン和をつくれるが)
  任意の(すべての)一般リーマン和R[f;;{Pk}]に、d()→0の極限が存在し、
  その極限値は(矩形分割した際の)A上のリーマン積分値に等しい。
  すなわち、   
     f(x ,y )がA上可積分ならば、  
    
〇2 逆に、(いろいろな一般分割凾フ採り方に対して、いろいろな一般リーマン和をつくれるがそのなかの)
  少なくとも一つの一般リーマン和R[f;;{Pk}]に、d()→0の極限が存在するならば
  f(x ,y )はA上可積分で、 
   
(証明)
〇1  杉浦『解析入門I』IV章§9定理9.10 (pp.276-8.)を見よ。
〇2  杉浦『解析入門I』IV章§9定理9.11 (pp.278-9.)を見よ。


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