n変数関数の収束の、点列・数列の収束への言い換えの証明

次の命題P,命題Qは互いに言い換え可能(つまり、命題P命題Q)である。

命題P
P(x1,x2,,xn)
A(a1,a2,,an)に近づけたとき
関数f (P) = f (x1,x2,,xn)
実数cに収束する 
これを記号で表すと、
f ( P )c ( P A ) 
f (x1,x2,,xn)c (x1a1,x2a2,,xnan)
  
 など。 

どんなRn上の点列
 
{ Pi }={ P1 , P2 , P3,}={ (x11,x12,,x1n) , (x21,x22,,x2n) , (x31,x32,,x3n) ,}
についてであれ、
1.その点列
 
{ Pi }={ P1 , P2 , P3,}={ (x11,x12,,x1n) , (x21,x22,,x2n) , (x31,x32,,x3n) ,}
 が
A(a1,a2,,an)収束し
かつ  
2.その点列の各項 P1 , P2 , P3 , がどれもAと一致しない 
限り、 
その
点列の各項 P1, P2, P3,…を n変数関数f によりR上に写した像の数列
  {
f ( Pi ) }={ f ( P1 ), f ( P2 ) , f ( P3 ) , }
      ={ f ( x11,x12,,x1n ) , f (x21,x22,,x2n ), f (x31,x32,,x3n ), }
実数c収束する
つまり、
任意のRn上の点列
 
{ Pi }={ P1 , P2 , P3,}={ (x11,x12,,x1n) , (x21,x22,,x2n) , (x31,x32,,x3n) ,}
について、
PiA (i) かつ P1A , P2A , P3A ,ならばf (Pi)c (i→∞)  
 
論理記号で表すと、
 
{ Pi })( PiA (i)かつ(i) ( Pi A) f (Pi)c (i→∞)

戻る

命題P⇒命題Qの証明

step1:証明したい「命題P命題Q」を、証明しやすいかたちに、言い換えておく。
ここで証明したいのは、
 
命題Pf ( P )c ( P A ) 』が成り立つならば
  
命題Q任意のRn上の点列{ Pi }={ P1 , P2 , P3,}={ (x11,x12,,x1n) , (x21,x22,,x2n) , (x31,x32,,x3n) ,}について、
              
PiA (i) かつ P1A , P2A , P3A ,ならばf (Pi)c (i→∞)  』
  が成り立つ

  
論理記号で、「f ( P )c ( P A ){ Pi })( PiA (i)かつ(i) ( Pi A) f (Pi)c (i→∞)」 
ということだが、
これは実は、
任意のRn上の点列{ Pi }={ P1 , P2 , P3,}={ (x11,x12,,x1n) , (x21,x22,,x2n) , (x31,x32,,x3n) ,}について、
  『
f ( P )c ( P A ) かつ PiA (i)かつ P1A , P2A , P3A ,ならば f (Pi)c (i→∞)
    
論理記号で「{ Pi })(f ( P )c ( P A )かつPiA (i)かつ(i) ( Pi A) f (Pi)c (i→∞)
と同じことであるから(理由は下記)、
任意のRn上の点列{ Pi }={ P1 , P2 , P3,}={ (x11,x12,,x1n) , (x21,x22,,x2n) , (x31,x32,,x3n) ,}について、
  『
f ( P )c ( P A ) かつ PiA (i)かつ P1A , P2A , P3A ,ならば f (Pi)c (i→∞)
    
論理記号で「{ Pi })(f ( P )c ( P A )かつPiA (i)かつ(i) ( Pi A) f (Pi)c (i→∞)
となることを示すことによって、
命題P命題Q」を示すことにする。

      [とばしてstep2]  
****
命題P命題Q
任意のRn上の点列{ Pi }={ P1 , P2 , P3,}={ (x11,x12,,x1n) , (x21,x22,,x2n) , (x31,x32,,x3n) ,}について、
  『
f ( P )c ( P A ) かつ PiA (i)かつ P1A , P2A , P3A ,ならば f (Pi)c (i→∞)
    
論理記号で「{ Pi })(f ( P )c ( P A )かつPiA (i)かつ(i) ( Pi A) f (Pi)c (i→∞)
と同じになるのは、次の
2点による。 
1.
 命題Pf ( P )c ( P A ) 』が成り立つならば
  
命題Q任意のRn上の点列{ Pi }={ P1 , P2 , P3,}={ (x11,x12,,x1n) , (x21,x22,,x2n) , (x31,x32,,x3n) ,}について、
              
PiA (i) かつ P1A , P2A , P3A ,ならばf (Pi)c (i→∞)  』
  が成り立つ

  
論理記号で、「f ( P )c ( P A ){ Pi })( PiA (i)かつ(i) ( Pi A) f (Pi)c (i→∞)」 
 は、
 「
任意のRn上の点列{ Pi }={ P1 , P2 , P3,}={ (x11,x12,,x1n) , (x21,x22,,x2n) , (x31,x32,,x3n) ,}について、
   
f ( P )c ( P A ) ならば、『PiA (i) かつ P1A , P2A , P3A ,ならばf (Pi)c (i→∞)』」
  
 論理記号で「{ Pi })(f ( P )c ( P A ) PiA (i)かつ(i) ( Pi A) f (Pi)c (i→∞)
 に他ならない(∵
論理法則:「ならば」の全称命題の言い換え
2.
 「
任意のRn上の点列{ Pi }={ P1 , P2 , P3,}={ (x11,x12,,x1n) , (x21,x22,,x2n) , (x31,x32,,x3n) ,}について、
   
f ( P )c ( P A ) ならば、『PiA (i) かつ P1A , P2A , P3A ,ならばf (Pi)c (i→∞)』」
  
 論理記号で「{ Pi })(f ( P )c ( P A ) PiA (i)かつ(i) ( Pi A) f (Pi)c (i→∞)
 は、
 「
任意のRn上の点列{ Pi }={ P1 , P2 , P3,}={ (x11,x12,,x1n) , (x21,x22,,x2n) , (x31,x32,,x3n) ,}について、
   『
f ( P )c ( PA ) かつ PiA (i) かつ P1A , P2A , P3A ,ならばf (Pi)c (i→∞)』」
   
  論理記号で「{ Pi })(f ( P )c (PA)かつPiA (i)かつ(i) ( Pi A)f (Pi)c (i→∞)
 に他ならない(∵
論理法則:「ならば」の繰り返しの言い換え)。
*****

Step2:
任意のRn上の点列{ Pi }={ P1 , P2 , P3,}={ (x11,x12,,x1n) , (x21,x22,,x2n) , (x31,x32,,x3n) ,}について、
  
f ( P )c ( PA )  …(仮定1)  
  
PiA (i)    …(仮定2)  
  
(i) ( Pi A)    …(仮定3)  
が満たされるケースについて考える。
Step3:仮定1の厳密化 
関数の収束の定義に従うと、(仮定1)はすなわち、
 「
任意の(どんな)実数εに対して(でも)、ある実数δをとると、
   『0<
d ( P, A )<δ d ( f (P), c )<ε』が成り立つ」
    
論理記号で(ε>0)(δ>0)(PRn )(0<d( P, A )<δ d ( f (P), c )<ε
  …(仮定
1'
ということ。
Step4:仮定2の厳密化 
点列の収束の定義に従うと、(仮定2)はすなわち、
 「
任意のε’> 0に対して、ある自然数Nをとると、
        『
N以上のあらゆる自然数i に対して、 d (Pi , A ) <ε’』が成立する」 
    
論理記号で (ε’>) (NN) (iN) ( iN d( Pi , A ) <ε’) 
ということ。…(仮定
2'
Step5:仮定1と仮定2をあわせて考えると…、 
(仮定
2' )における「ε’」はどんな実数でもいいというので、
(仮定
2' )における「ε’」として、(仮定1' )で定まる「δ」をとっても、(仮定2' )はそのまま成り立つ。
このことを利用して、(仮定
1' )と(仮定2' )を結合する。
すなわち、
任意の実数εに対して(仮定1' )で定まった如何なるδに対してであろうとも、
 ある(十分大きな)
自然数Nをとると、 
 『
nN d( Pi , A ) <δ』が成り立つ」 
    
論理記号で  (NN) (iN) ( iN d ( Pi , A ) <δ ) 
 …(仮定
1'+仮定2' ) 
ここから、
任意の点列{ Pi }について、
仮定
1,仮定2がともに満されるならば、   
その(仮定
1'+仮定2' )で定まるN以上の項と、点Aとの距離d ( Pi , A )が、仮定1'で定まるδ未満に収まることがわかる。
Step6:仮定3の意味 
距離の定義より、d ( Pi , A )≧0がいつでも成り立ち、d ( Pi , A )=0となるのは、Pi = Aのときに限られる。
したがって、
任意の点列{ Pi }が、仮定3(i) ( PiA)」を満たすならば、「(i) ( d ( Pi , A )≠0)」であり、
したがって、「
(i) ( d ( Pi , A )>)」となる。…(仮定3' ) 
Step7:仮定1・仮定2・仮定3をあわせて考えると… 
仮定
1 かつ 仮定2 かつ 仮定3は、
(仮定
1'+仮定2' )と(仮定3')より、
任意の実数εに対して(仮定1' )で定まった如何なるδに対してであろうとも、
 ある(十分大きな)
自然数Nをとると、 
 『
iN <d ( Pi , A ) <δ』が成り立つ」 
    
論理記号で  (NN) (iN) ( iN <d ( Pi , A ) <δ ) 
 …(仮定
1'+仮定2'+仮定3' ) 
を意味する。 
したがって、 
任意の点列{ Pi }について、
仮定
1,仮定2,仮定3がともに満たされるならば
(仮定
1'+仮定2'+仮定3' )によって、   
(仮定
1'+仮定2' )で定まった自然数N以上の項と、点Aとの距離d ( Pi , A ) について、
       0
< d ( Pi , A ) < δ 
が成り立つことになる。 
Step8:結論 
(仮定
1')は、
任意の実数εに対して、ある実数δをとると、
   『0<
d ( P, A )<δ d ( f (P), c )<ε』が成り立つ」
    
論理記号で(ε>0)(δ>0)(PRn )(0<d( P, A )<δ d ( f (P), c )<ε
というものだった。
(仮定
1'+仮定2'+仮定3' )は、
「上記のδに対して、ある自然数
Nをとると、
       『
iN <d ( Pi , A )<δ』が成り立つ。」  
        つまり
(NN) (iN) ( iN < d ( Pi , A ) <δ )  
というものだった。 
(仮定
1'+仮定2'+仮定3' )と(仮定1')をあわせて考えると、
任意の実数εに対して、ある実数δ、ある自然数Nをとると、
  『
iN< d ( Pi , A ) <δ d ( f (Pi), c )<ε』 」 
  つまり
   (
ε>0)(δ>0)(NN) (iN)iN0<d ( Pi , A ) <δ d ( f (Pi), c )<ε
となるが、
これは、
任意の実数εに対して、ある自然数Nをとると、
   『
iN d ( f (Pi), c )<ε』 」 
      つまり(
ε>0)(NN) (iN)iN d ( f (Pi), c )<ε
と簡略化でき、
数列{ f ( Pi ) }={ f ( P1 ), f ( P2 ) , f ( P3 ) , }={ f ( x11,x12,,x1n ) , f (x21,x22,,x2n ), f (x31,x32,,x3n ), }
  
実数c収束する
ことの定義そのものとなる。
だから、
任意の点列{ Pi }について、
仮定
1,仮定2,仮定3がともに満たされるならば
数列 { f ( Pi ) }={ f ( P1 ), f ( P2 ) , f ( P3 ) , }={ f ( x11,x12,,x1n ) , f (x21,x22,,x2n ), f (x31,x32,,x3n ), }
  
実数c収束する
といえる。
 つまり、
 「
{ Pi })(f ( P )c ( P A )かつPiA (i)かつ(i) ( Pi A) f (Pi)c (i→∞)」  

戻る

命題Q⇒命題Pの証明

Step1:証明したい「命題Q命題P」を、証明しやすいかたちに、再定式化。
・ここで証明したいのは、「命題
Qが成り立つならば、命題Pが成り立つ」ということ。
・「命題
Qが成り立つならば、命題Pが成り立つ」は、
 その
対偶「命題P成り立たないならば、命題Q成り立たない
 に言い換えてもまったく同じ(∵
「ならば」の命題はその対偶と同値)。 
・そこで、ここでは、
 「命題
Qが成り立つならば、命題Pが成り立つ」を示すために、
 「命題
P成り立たないならば、命題Q成り立たない」を示すことにする。 
Step2:「命題P成り立たないならば、命題Q成り立たない」を分析。
ここで示したい
命題P成り立たないならば、命題Q成り立たないは、
詳しくみると、
任意の実数δに対して、あるPが存在して、『0<d( P, A )<δ かつ d ( f (P), c )≧ε』を満たす」
  を成り立たせる正の
実数εが存在する  
    
ε>)(δ>)(PRn )(0<d( P, A )<δ かつ d ( f (P), c )≧ε 
ならば
次の条件をすべて満たす任意のRn上の点列{ Pi }={ P1 , P2 , P3,}={ (x11,x12,,x1n) , (x21,x22,,x2n) , (x31,x32,,x3n) ,}存在する。
 条件
1. PiA (i)
 条件
2. P1A , P2A , P3A ,
 条件
3. 任意の自然数Nに対して、あるnが存在して、《nN かつ d ( f (Pn), c )≧ε 》を満たす』
     を成り立たせる
実数εが存在する』 
  { Pi })(PiA (i)かつ(i) ( Pi A)かつ(ε>)(NN)(iN)iNかつd ( f (Pi), c )ε)
ということだとわかる。
[とばしてstep3]
Step2-1:「命題P成り立たない」を分析。
・「命題
P成り立たない」とは、具体的には「『f ( P )c ( P A ) 』が成り立たない」ということ。
 これは、実は、
 
任意の実数δに対して、あるPが存在して、『0<d( P, A )<δ かつ d ( f (P), c )≧ε』を満たす」
  を成り立たせる正の
実数εが存在する  
    
* 論理記号で  ε>)(δ>)(PRn )(0<d( P, A )<δ かつ d ( f (P), c )≧ε 
 に他ならない。 
 このことは、以下の考察から明らか。 
・「『
f ( P )c ( P A )』が成り立たない」を、「f ( P )c ( PA )」の定義にしたがって書き下すと、 
 
任意の(どんな)実数εに対して(でも)、ある実数δをとると、
   0<
d( P, A )<δ d ( f (P), c )<εが成り立つ』
  
とは限らない」 
  
* 論理記号で ¬ ε>)(δ>)(PRn )(0<d( P, A )<δd ( f (P), c )<ε  
 となる。
任意の(どんな)実数εに対して(でも)、ある実数δをとると、
   0<
d( P, A )<δ d ( f (P), c )<εが成り立つ』
  
とは限らない」
    * 論理記号で ¬ ε>)(δ>)(PRn )(0<d( P, A )<δd ( f (P), c )<ε  
 は、   
 
『ある実数δをとると、0<d( P, A )<δ d ( f (P), c )<ε』
  
を成り立たせないある実数εが存在する  
    
* 論理記号で  ε>¬δ>)(PRn )(0<d( P, A )<δd ( f (P), c )<ε  
 に言換えられる。(∵
全称命題の否定) 
『ある実数δをとると、0<d( P, A )<δd ( f (P), c )<ε』を成り立たせない正の実数εが存在する  
    
* 論理記号で  ε>¬δ>)(PRn )(0<d( P, A )<δd ( f (P), c )<ε
 は、 
 
任意の実数δに対して、『0<d( P, A )<δd ( f (P), c )<ε』とならない」
  を成り立たせる正の
実数εが存在する、  
    
* 論理記号で  ε>)(δ>¬PRn )(0<d( P, A )<δd ( f (P), c )<ε  
 に言換えられる。(∵
存在命題の否定) 
任意の実数δに対して、『0<d( P, A )<δd ( f (P), c )<ε』とならない
  を成り立たせる正の
実数εが存在する  
    
* 論理記号で  ε>)(δ>¬PRn )(0<d( P, A )<δd ( f (P), c )<ε  
 は、 
 
任意の実数δに対して、あるPが存在して、『0<d( P, A )<δd ( f (P), c )<ε』を満たさない」
  を成り立たせる正の
実数εが存在する  
    
* 論理記号で  ε>)(δ>)(PRn ¬0<d( P, A )<δd ( f (P), c )<ε 
 に言換えられる。(∵
全称命題の否定) 
任意の実数δに対して、あるPが存在して、『0<d( P, A )<δd ( f (P), c )<ε』を満たさない」
  を成り立たせる正の
実数εが存在する  
    
* 論理記号で  ε>)(δ>)(PRn ¬0<d( P, A )<δd ( f (P), c )<ε 
 は、
 
任意の実数δに対して、あるPが存在して、『0<d( P, A )<δ かつ d ( f (P), c )≧ε』を満たす」
  を成り立たせる正の
実数εが存在する  
    
* 論理記号で  ε>)(δ>)(PRn )(0<d( P, A )<δ かつ d ( f (P), c )≧ε 
 に言換えられる。(∵
ならばの否定)   
Step2-2:「命題Q成り立たない」を分析。
・「命題
Q成り立たない」とは、具体的には、
 「『
任意のRn上の点列{ Pi }={ P1 , P2 , P3,}={ (x11,x12,,x1n) , (x21,x22,,x2n) , (x31,x32,,x3n) ,}について、
   
PiA (i) かつ P1A , P2A , P3A ,ならばf (Pi)c (i→∞) 』が成り立たない」  
  
* 論理記号では「¬{ Pi })(f ( P )c ( P A )かつPiA (i)かつ(i) ( Pi A) f (Pi)c (i→∞)
 ということ。   
 これは、実は、
 「次の条件をすべて満たす
Rn上の点列
         { Pi }={ P1 , P2 , P3,}={ (x11,x12,,x1n) , (x21,x22,,x2n) , (x31,x32,,x3n) ,}
  が存在する。
   条件
1. PiA (i)
   条件2. P1A , P2A , P3A ,
   条件
3. 任意の自然数Nに対して、あるiが存在して、《iN かつ d ( f (Pi), c )≧ε'' 》を満たす』
       を成り立たせる
実数ε''が存在する』 」    
  
* 論理記号では
  { Pi })(PiA (i)かつ(i) ( Pi A)かつ(ε''>)(NN)(iN)iNかつd (f(Pi),c)ε''
 に他ならない。 
 このことは、以下の考察から明らか。
・「『
任意のRn上の点列{ Pi }={ P1 , P2 , P3,}={ (x11,x12,,x1n) , (x21,x22,,x2n) , (x31,x32,,x3n) ,}について、
   
PiA (i) かつ  P1A , P2A , P3A ,ならば f (Pi)c (i→∞) 』
  が
成り立たない」  
      
* 論理記号では「¬{ Pi })(PiA (i)かつ(i) ( Pi A) f (Pi)c (i→∞)
 は、
 「『
PiA (i) かつ  P1A , P2A , P3A ,ならば f (Pi)c (i→∞)』 
  を
満たさないRn上の点列{ Pi }={ P1 , P2 , P3,}={ (x11,x12,,x1n) , (x21,x22,,x2n) , (x31,x32,,x3n) ,}もある」    
      
* 論理記号では「{ Pi }¬PiA (i)かつ(i) ( Pi A) f (Pi)c (i→∞)
 と言いかえられる。(∵
全称命題の否定)  
・「『
PiA (i) かつ  P1A , P2A , P3A ,ならば f (Pi)c (i→∞)』 
  を
満たさないRn上の点列{ Pi }={ P1 , P2 , P3,}={ (x11,x12,,x1n) , (x21,x22,,x2n) , (x31,x32,,x3n) ,}もある」    
      
* 論理記号では「{ Pi }¬PiA (i)かつ(i) ( Pi A) f (Pi)c (i→∞)
 は、
 「『《
PiA (i) かつ P1A , P2A , P3A ,…》かつ f (Pi)c (i→∞)とならない》』
  を満たす
Rn上の点列{ Pi }={ P1 , P2 , P3,}={ (x11,x12,,x1n) , (x21,x22,,x2n) , (x31,x32,,x3n) ,}もある」    
      
* 論理記号では「{Pn })(PiA (i)かつ(i) ( Pi A)かつ¬ f (Pi)c (i→∞)
 に言換えられる。(∵
ならばの否定)   
・「
f (Pi)c (i→∞)とならない」は、定義に遡ると、
 「『
任意の実数ε'' に対して、ある自然数Nをとると、《nNd ( f (Pn), c )<ε'' 》 』
  
が成立しない」 
      
* 論理記号では¬ε'' >0)(NN) (nN)nNd ( f (Pn), c )<ε''
  ということであり、これは、
  「
『ある自然数Nをとると、《nNd ( f (Pn), c )<ε'' 》』を満たさない実数ε'' がある
      
* 論理記号では(ε'' >0)¬(NN) (nN)nNd ( f (Pn), c )<ε''  
  と言換えることができ、(∵
全称命題の否定) 
  これはまた、
  「
任意の自然数Nに対して、《nNd ( f (Pn), c )<ε'' とならない』を満たす実数ε''がある」
      
* 論理記号では(ε'' >0)(NN)¬ (nN)nNd ( f (Pn), c )<ε''  
  と言換えることができ、(∵
存在命題の否定)  
  さらにこれは、
  「
任意の自然数Nに対して、あるnが存在して、《nNd ( f (Pn), c )<ε''を満たさない
    を成り立たせる
実数ε''がある」
      
* 論理記号では(ε''>0)(NN)(nN)¬nNd ( f (Pn), c )<ε''  
  と言いかえることができ、(∵
全称命題の否定) 
  これもまた、
  「
任意の自然数Nに対して、あるnが存在して、《nN かつ d ( f (Pn), c )≧ε'' 》を満たす』
    を成り立たせる
実数ε'' がある」
      
* 論理記号では(ε'' >0)(NN)(nN)nNかつd ( f (Pn), c )ε''  
  と言換えられる。(∵
ならばの否定)    
Step3:「命題P成り立たないならば、命題Q成り立たない」を証明。
任意の実数δに対して、あるPが存在して、『0<d( P, A )<δ かつ d ( f (P), c )≧ε』を満たす」
  を成り立たせる正の
実数εが存在する  
    
ε>)(δ>)(PRn )(0<d( P, A )<δ かつ d ( f (P), c )≧ε 
ならば
次の条件をすべて満たすRn上の点列
   
{ Pi }={ P1 , P2 , P3,}={ (x11,x12,,x1n) , (x21,x22,,x2n) , (x31,x32,,x3n) ,}
 
が存在する。
 条件
1. PiA (i) すなわち、 (ε’>) (NN) (iN) ( iN d ( Pi , A ) <ε’)   
 条件
2. P1A , P2A , P3A ,   
 条件
3. 任意の自然数Nに対して、あるnが存在して、《nN かつ d ( f (Pn), c )≧ε'' 》を満たす』
     を成り立たせる
実数ε'' が存在する
         
(ε'' >)(NN)(nN)nNかつd ( f (Pn), c )ε''  
 {Pn })(PnA (n)かつ(n)(PnA)かつ(ε''>)(NN)(nN)nNかつd (f(Pn),c)ε''
を証明するために、
仮定
任意の実数δに対して、あるPが存在して、『0<d( P, A )<δ かつ d ( f (P), c )≧ε』を満たす」
   を成り立たせる正の
実数εが存在する  
のもとで条件
1,2,3をすべて満たす
Rn上の点列{ Pi }={ P1 , P2 , P3,}={ (x11,x12,,x1n) , (x21,x22,,x2n) , (x31,x32,,x3n) ,}の例をひとつあげる。

**********

仮定から、
仮定が存在を保証する「ある正の
実数ε」のもとで、
任意の実数δに対して」あるPが存在して、『0<d( P, A )<δ かつ d ( f (P), c )≧ε』を満たすというのだから、
この仮定と、仮定が存在を保証する「正の
実数ε」のもとでは、
δ
11/1 にたいして、『0<d( P1, A )1/1=δ1 かつ d ( f (P1), c )≧ε』を満たす点P1の存在が保証され、
δ
21/2 にたいして、『0<d( P2, A )1/2=δ2 かつ d ( f (P2), c )≧ε』を満たす点P2の存在が保証され、
δ
31/3 にたいして、『0<d( P3, A )1/3=δ3 かつ d ( f (P3), c )≧ε』を満たす点P3の存在が保証され、
δ
41/4 にたいして、『0<d( P4, A )1/4=δ4 かつ d ( f (P4), c )≧ε』を満たす点P4の存在が保証され、
   :
δ
i1/i (i は自然数 )にたいして、『0<d( Pi, A )1/i =δi かつ d ( f (Pi), c )≧ε』を満たす点Piの存在が保証され、
   :
となる。
この仮定と、仮定が存在を保証する「正の
実数ε」のもとで、
存在が保証された
P1 , P2 , P3,…を並べてRn上の点列{ Pi }をつくる。
この仮定と、仮定が存在を保証する「正の
実数ε」のもとで、存在が保証された点列{ Pi }は 
  ・ 
(iN) (d( Pi, A )1/i1 )  …(3-0-1)
  ・ (iN) (0<d( Pi, A ) )    …(3-0-2)
  ・ (iN) ( d( f (Pi), c )≧ε)   …(3-0-3)
を満たしている。 

1.この{ Pi }は、
  条件
1 PiA (i) 」すなわち (ε’>) (NN) (iN) ( iN d ( Pi , A ) <ε’) 
 を満たす。
 なぜなら、
 
任意の実数ε’にたいして、1/ε’以上の自然数をNとしてとると、(3-0-1)より、 
    
iN  d ( Pi , A ) <ε’ 
 を満たす。…
(3-1)

 (ex-1ε’≧1の場合)
  
(3-0-1)より、iN に対して、d ( Pi , A ) < 1 だから、
  
ε’=1000,100,10,1 などでは、1/ε’以上の自然数、すなわち、1以上の自然数をNとしてとると、
                    
(つまりどの自然数をNとして取ってもよい)
   iN  d ( Pi , A ) < ε’ を満たし、
   
(3-1)が成り立つ。 。
 
(ex-21>ε’≧0.5 の場合)
 ・
ε’=0.99にたいして、1/ε’1.010101以上の自然数、すなわち、2以上の自然数をNとしてとると、
   
(3-0-1)より、 iN  d ( Pi , A ) < ε’ を満たし、(3-1)が成り立つ。 
 ・
ε’=0.7にたいして、1/ε’1.4285以上の自然数、すなわち、2以上の自然数をNとしてとると、
   
(3-0-1)より、 iN  d ( Pi , A ) < ε’ を満たし、(3-1)が成り立つ。    
 ・
ε’=0.5にたいして、1/ε’2 以上の自然数をNとしてとると、
   
(3-0-1)より、 iN  d ( Pi , A ) < ε’ を満たし、(3-1)が成り立つ。 
 
(ex-30.5>ε’≧0.333… の場合)
 ・
ε’=0.499にたいして、1/ε’2.004008以上の自然数、すなわち、3以上の自然数をNとしてとると、
   
(3-0-1)より、 iN  d ( Pi , A ) < ε’ を満たし、(3-1)が成り立つ。 
 ・
ε’=0.4にたいして、1/ε’2.5以上の自然数、すなわち、3以上の自然数をNとしてとると、
   
(3-0-1)より、 iN  d ( Pi , A ) < ε’ を満たし、(3-1)が成り立つ。 
 ・
ε’=0.333…にたいして、1/ε’3以上の自然数をNとしてとると、
   
(3-0-1)より、 iN  d ( Pi , A ) < ε’ を満たし、(3-1)が成り立つ。 
 
(ex-40.333>ε’≧0.25の場合)
 ・
ε’=0.3にたいして、1/ε’3.333以上の自然数、すなわち、4以上の自然数をNとしてとると、
   
(3-0-1)より、 iN  d ( Pi , A ) < ε’ を満たし、(3-1)が成り立つ。 
 ・
ε’=0.26にたいして、1/ε’3.846以上の自然数、すなわち、4以上の自然数をNとしてとると、
   
(3-0-1)より、 iN  d ( Pi , A ) < ε’ を満たし、(3-1)が成り立つ。 
 ・
ε’=0.25にたいして、1/ε’4以上の自然数をNとしてとると、
   
(3-0-1)より、 iN  d ( Pi , A ) < ε’ を満たし、(3-1)が成り立つ。 
 :

2.この{ Pi }は、条件2 P1A , P2A , P3A ,…」を満たす。
 
(3-0-2)より、(iN) ( d( Pi , A ) >) 。つまり、(iN) ( d( Pi , A ) ≠0) 。   
 
距離の定義より、 d( Pi , A )=0となるのは、Pi = Aのときに限られるから、
 
(iN) ( d( Pi , A ) ≠0)は、(iN) ( Pi A ) を意味する。  

3.この{ Pi }は、
  条件
3 任意の自然数Nに対して、あるiが存在して、《iN かつ d ( f (Pi), c )≧ε'' 》を満たす』
              を成り立たせる
実数ε'' が存在する」
   
(ε'' >)(NN)(iN)iNかつd ( f (Pi), c )ε''
 
を満たす。
 なぜなら、
 仮定と、仮定が存在を保証する「正の
実数ε」のもとで、存在が保証された{ Pi }は、
 
(3-0-3)より、 (iN) (d ( f (Pi), c )≧ε) を満たすので、
 
(NN)(iN)iNかつd ( f (Pi), c )ε  
 も満たすが、
 このことは、
 「仮定が存在を保証するε」が、「条件
3が存在を主張するε'' 」の実例をなすこと、
 そして、
{ Pi }が条件3を満たすこと
 の証左にほかならない。

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