スリランカの田舎料理
                     食堂・ゲストハウス・私宅のスリランカ料理 

 食堂もゲスト・ハウスも、あなたのスリランカの友人も、極上のスリランカ料理を作ってあなたを待っている。
「極上の」とは「田舎の」ということだ。
「田舎の」とは「本物」ということだ。

 田舎の料理をගමේ කෑමガメー・カェーマと言う。

 いまどき、都会に本物はない。田舎の人たちと気心が知れたら欲しい料理の注文も出してみよう。ただ、カレーと言うのじゃなくて、料理の名前を伝えて、こだわりの好みも伝えよう。スリランカはグルメの島だから、こういう要望に喜んで応えてくれる。
                             


マハナマ食堂

 スリランカでは昼食を一番豪華に作る。
 昼飯は料理の品数が多い。手が込んでいる。
  20世紀初頭にスリランカへやって来たスコットランドの資本家たちはぬわらエリアの山中で朝飯を豪華に作った。
 ODAでスリランカにやって来る日本人は夕食を手厚く作る。
 だが、熱帯スリランカ、その食のクライマックスは朝でも夜でもない。昼飯にこそ重きが置かれる。南国の陽の盛りのとき、食事が最も豪華になる。このスタイル、からだにとても良い。
 昼飯の後は腹が膨れてねむくなる。熱帯の午後は昼寝。沢山食べてゆったりと午睡を取る。
 これがスリランカの食の極意。

 上の献立はオーソドックスなスリランカの昼飯。
 写真中央上のポル・サンボール、これがなくてはスリランカ料理とは呼べない。マッルン、パリップと合わせてスリランカ料理の御三家だ。
 この日はトーラマール(さわら)がメイン。
  ご飯は高級なサンバを使っている。茹で米(パーボイルド・ライス)だ。シンハラ語で通称タンバップ・ハール。マハナマはスリランカ南部に位置するから、普通は生米を炊いて食べる。この食堂はちょっと高級なコロンボ風が吹いている。



マータラ朝市食堂

 朝市食堂はどこの田舎町にもある。
 ここはおばさんが店の入り口にいて帳場を取り仕切っている。帳場預りかと思ったら、おばさん一人で店を仕切ってた。
 町のバス停近くにはこの手のおばさん食堂、おじさん食堂が必ずある。近くの市場で働く人が利用する。料理の見てくれはともかく、うまい。
 スリランカで朝市に行ったら、市場の人に「旨い店、この辺りにある?」と訊いてみよう。マータラ朝市食堂のように掘り出し物、グルメの穴場をさぐりあてることがきっとできる。
 ここの料理だけど、たとえば、人参の煮物。人参は英語のキャロットで呼ばれる。それで、この料理はキャロット・カリヤ、curryという英語がシンハラ風に訛ってカリヤと料理名がつけられる。それとアラ・バドム(ジャガイモの炒め物)が付いていたりして、少々油っぽい。

 マータラ朝市食堂のおばさんが木箱の蓋を開けてゆで卵を取り出して、注文した定食にサービスで加えてくれた。卵、高いのに。
 ご飯に明るい紫の色がついている。赤米だ。コロンボの人は都会派だから赤米を嫌う。赤米を食らうのは貧乏の証だとさげすむ。何ともったいない。赤米が体にもたらす滋養の力をスリランカの都会人は見くびっている。



マータラ・ゲストハウス

 あっさりとした朝食。
 ポル・サンボールとキリ・ホディは朝食の定番。
 キリ・ホディはココナツ・ミルクのスパイシーなスープ。キリ・ホディをご飯にかけて指で混ぜ合わせて食べるのだけど、こんな風に朝食はパンで、という家が増えてしまった。パンとキリ・ホディでちょっと朝の腹ごしらえというのが当たり前になってしまった。
 パンは近所の店から出来合いを買ってくる。小さくてボロボロ・パラパラ。美味とは言えない。
 
 青いボールには指を洗うための水がはいっている。食後のフィンガー・ボールだ。浮かんでいる五弁の花はアラリヤ。
 その上にあるのはポル・サンボール。これがなくてはスリランカの食事にならない。





ゴール・ゲストハウス








 中央にアーッパ。その右にインディ・アーッパ。アーッパは不思議なパンケーキ。
 左上、黄色いスープはパリップ。その右にはとびきりに辛いルヌ・ミリス。
 左下のフルーツ、橙色の実はカジュ・プフラン。カジュはカシューのこと。種ではなくカシューの熟れた実をフルーツとして食べる。

  「スリランカ伝統の朝飯が食いたいんだ」と前の晩に言っといたら、こんなに沢山の品数を作ってくれた。感激して全部平らげたかったけど、インディ・アーッパは半分を残してしまった。




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