欧州議会 2018年10月24日 プレスリリース
プラスチック海洋汚染:欧州議会 2021年までに
使い捨てプラスチック製品禁止の欧州委員会案を支持


情報源:European Parliament Press Releases October 24, 2018
Plastic Oceans: MEPs back EU ban on throwaway plastics by 2021

http://www.europarl.europa.eu/news/en/press-room/20181018IPR16524/
plastic-oceans-meps-back-eu-ban-on-throwaway-plastics-by-2021


訳:安間 武/化学物質問題市民研究会
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2018年10月31日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/eu/eu/EP/181024_
Plastic_Oceans_MEPs_back_EU_ban_on_throwaway_plastics_by_2021


  • 使い捨てプラスチック製カトラリー(ナイフ/フォーク、スプーンなど)、綿棒軸、ストロー、コーヒースターラーは 2021年から禁止される。
  • 欧州議会は、オキソプラスチック(生分解性プラスチック)及びいくつかのポリスチレン(スチロール樹脂)の製品を加えた。
  • 代替製品が利用可能でないプラスチック製品は 2025年までに少なくとも25%削減されること。
  • タバコのフィルターと漂流漁具に対処すること。

 海洋ゴミの 70%以上を占めるこれらの製品は欧州議会により承認された計画案の下に、2021年からEU市場で禁止されるであろう。

 欧州議会は、2021年から EU 市場で禁止されるプラスチック製品のリストに、オキソ分解性プラスチックの袋や包装材、及び発泡スチロール製のファーストフード用容器を加えた。

その他の非禁止プラスチック製品の各国削減目標

 代替品が存在しないいくつかの製品の消費は、2025年までに少なくとも 25%、加盟国により削減されなくてはならない。これには、使い捨てのバーガー用箱、サンドウィッチ用箱、又は果物、野菜、デザート、アイスクリーム用の容器が含まれる。加盟国は、再使用リサイクルとともに多数回使用に適する製品の使用を推奨するための国家計画案を作成するであろう。

 飲料用ボトルのようなその他のプラスチック製品は分別して収集され、2025年までに、少なくとも 90%の割合でリサイクルされなくてはならない。

タバコの吸い殻と流出漁具

 欧州議会は、削減措置にはまた、タバコの吸い殻、特にプラスチックを含むフィルターを含めることに同意した。それは、2025年までに 50%、2030年までに 80%削減されなくてはならないであろう。

 ひとつのタバコの吸い殻は、 500 から 1000 リットルの水を汚染することができ、道端に投げ捨てられると分解するのに 12年かかる。それらは、二番目に多い”使い捨て”プラスチック製品の汚染源である。

 加盟国はまた、プラスチックを含む漂流又は投棄漁具は、2025年までに少なくとも15%のリサイクル目標をもって、少なくとも年間 50%は回収されることを確実にすべきである。漁具はヨーロッパの海岸で見つかる廃棄物の 27%を占める。

製造者により大きな責任を持たせること

 加盟国は、タバコ会社が、輸送、処理、及びゴミ収集を含んで、これらの製品の廃棄物収集のコストを負担することを確実にしなくてはならないであろう。同じことがプラスチックを含む漁具製造者にも適用され、そのリサイクル目標を達成するよう寄与する必要がある。

談話

 報告者であるフレデリック・リエス議員(ALDE, BE)は次のように述べた。”我々は使い捨てプラスチック製品に対して最も野心的な法案を採択した。来るべき理事会との協議で最後までやり遂げることができるかどうかは我々しだいである。本日の採択は来るべき、そして野心的な指令への道を開くものである。それは、海洋環境を保護し、2030年までに 220億ユーロ(約 2兆8,000憶円)と見積もられるヨーロッパにおけるプラスチック汚染に起因する環境破壊のコストを削減するために本質的である”。

次のステップ

 フレデリック・リエス議員(ALDE, BE)によって起草された報告書は、賛成 571、反対 53、棄権 34で採択された。欧州議会は、EUの大臣が本件についての立場を調整した後、理事会との協議に入る

背景

 欧州委員会によれば、海洋ゴミの 80%以上はプラスチックである。これらの制限に包含される製品は全ての海洋ゴミの70%を占める。分解速度が遅いので、プラスチックは、EU 及び世界中の海、大洋、海岸に堆積する。プラスチック残渣は、ウミガメ、アザラシ、クジラ、鳥はもとより魚や貝類のような海洋生物中に、したがって人間の食物連鎖中に見いだされる。

 プラスチックは、便利で、融通が利き、有用で、経済的に価値のある材料であるが、上手に使い、再利用し、リサイクルする必要がある。ゴミになると、プラスチックの経済的影響は、材料の経済的価値の損失のみならず、浄化コスト並びに観光、漁業、及び海運の損失となる。
訳注:プラスチック海洋汚染関連記事
■プラスチック関連規制 ■マイクロプラスチック海洋汚染 ■ BBCの記事中に示された海洋汚染関連数値及びデイビッド・アッテンボローのメッセージ
BBC News, 24 October 2018

それらが消滅するまでにどのくらいの年月がかかるか?
【生物分解するための予想期間(年)】
品目予想期間
発泡スチロールカップ50年
アルミ缶200年
おむつ450年
プラスチックボトル450年
釣り糸600年
 正確な期間は製品のタイプや環境条件によって変化するであろう。
 出典:NOAA / Woods Hole Sea Grant
    BBC


欧州連合の海岸のゴミ
品目割合
プラスチック(漁具)27%
プラスチック(使い捨て)49%
プラスチック(その他)6%
非プラスチック18%
 出典:欧州委員会 2016年数値        BBC

デイビッド・アッテンボローのプラスチック メッセージ





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