ロケット打ち上げ  その1
大感動、大興奮! これを見なきゃ、死ねないぞ

 公開:2015年8月23日〜
更新:2015年8月25日 *写真を1枚追加

子供の頃からの夢

  子供の頃からの夢は沢山あるが、ロケットの打ち上げも、その一つ。サターンVは、頭底叶わなかった。せめて、スペース・シャトルは、と思っていたら、終わってしまった。ところが、昔には考えられなかったが、今は日本は世界に誇るH-II ロケットがある。しかも、2014年には、4回も打ち上げられている。これは、行くしかない。

 ところが、東京から種子島のアクセスは、けっこう大変。便も宿もレンタカーも、打ち上げの情報を手にする頃には、もう取れないのだ。要するに、限られた切符の争奪戦。しかも、打ち上げの前後に休むのは難しく、大金をかけて行っても、打ち上げの延期は日常茶飯事。以前、一度チャレンジしたが、結局種子島の観光旅行になってしまった事があった(それはそれで、大変充実したものだったけれど)。

 2015年の夏休みは、小浜島だった。本当に綺麗な海に大感激。最終日の夜、荷物をまとめていたら、ふとロケット:「こうのとり」5号機 の打ち上げのニュースが無いのに気付いた。チェックしてみたら、打ち上げが再延期となり、明後日になっているではないか! これは帰っている場合ではない。だって、H-IIBロケット(固定ロケット・ブースター4本装着で最大)で、最も美しい、と言われている夜の打ち上げだもの! 急遽、荷物をまとめ直し、種子島に向かう事にした。不要なものは、宅急便で自宅へ送った。上述の通り、打ち上げの前々日の夜だから、全てが手遅れ。しかし、前回見れなかった時にいろいろコネクションを付けておいたのと、再延期のせいか、何とか最後のピースを埋める事ができ、パズルが完成した。結局、鹿児島に夜到着し、打ち上げ当日に、種子島入り。


種子島宇宙センター以外に観光するなら、「千座の岩屋」がおすすめ。種子島宇宙センターに行く時でも帰る時でも立ち寄れる。
干潮なら、洞窟の中に入れる(入り口は、左右2箇所にあり)。

 種子島の港は北端にあり、種子島宇宙センターは南端にあるが、車で1時間もかからないので、レンタカーで縦横無尽に島内を巡ることができる。さて、世界一美しい発射場と言われる種子島宇宙センターの所以は、上の写真のような風景の続きに種子島宇宙センターがあるだけでなく、センター内の緑も見事だからだ。

 ロケットの丘からの眺め。左から、80m気象塔(もう一つあり、これで打ち上げを判断 - 最も正確な気象予報と思われ、常時これを見ていた)、大型ロケット組立塔、大型ロケット発射場:第2射点、第1射点。

 ロケットの打ち上げが見れなくても、ここに来るだけの価値があると思う。打ち上げの見学所は沢山あるが、最も近くで見れ、一番人気なのは、恵美之江展望公園。ここも争奪戦になるが、並ぶだけの価値がある。

 恵美之江展望公園で望む海は、白波が美しい。地元の人によると、珊瑚礁が広がっている、との事。

 ロケットの打ち上げには、雷雲が大敵。空は夕焼けとなり、期待は確信へと変わって行く。

 空には天の川が見え、ロケットの右上には、さそり座が高く見えてきた。水蒸気が多く、打ち上げ前まで、明るい照明が点いていたので、撮影はできなかった。日にちを代え、合成しても面白い写真になったかもしれない(わざとらしいかな?)。

 打ち上げ15分前位になると、会場の照明が消えた。一気に気分が高揚していく。そして、カウント・ダウン。10、9、8、7、となっていくたびに、ただならぬ緊張が走る。そして、カウント0と同時に 閃光が走った。数秒遅れて、大音響が。

 
 
 
 
 
 
 
 
(コンデジ・動画から切り出し)

 空には小さな太陽が輝き、珊瑚礁の海は照らされ、伸びた煙の軌跡との対比の美しさは圧巻。絶句、ではなくて、思わず「凄〜い!」の声が出る。周りからも、一斉に声が上がる。「バリバリバリ」という大音響は胸にビリビリ響き、ロケットは、あっという間にぐんぐん上昇して行く。

 炎は、無秩序ではなく、完全にコントロールされた爆発であるのが十分伝わる。実にインテリジェントな、おりこうさんの炎。写真は連続しているけど、ちょっと省略。

 2分半過ぎには、固定ロケット・ブースターが切り離されるのが、肉眼ではっきりと確認できた。こんなものは、肉眼で見えない、と思っていたので、感激! 昼の打ち上げだったら、見えなかったかもしれない。写真・左の赤い軌跡が、燃え尽きた固定ロケット・ブースター。写真・右にも、ロケットの軌跡の左側に、赤い軌跡が2本写っている。ロケットは、ぐんぐん小さくなり、放物線を描くように見かけの高度が下がって行き、光も赤く偏位して行く。やがて、星の一つとなり、 そして消えていった..... 大感動!!

 打ち上げから15分程して、「こうのとり」5号機が無事切り離され、正常に軌道に乗った」、とアナウンスがあった。私は余韻を味わっていたが、この頃には車がどんどん帰りだしていて、会場がヘッドライトで明るく照らされ、エンジン音が鳴り響き、興ざめ。残念。

 さて、今回は旅先から直接向かったので、機材が旅行用のままでの撮影となった。打ち上げ用ではなかったのが残念だったけれど、参考になるかもしれないので、一応紹介。カメラはCANON EOS 5DIII で、レンズは EF 70-200mm F4 IS USM + Extender EF1.4×III。本来なら、300mmExtender をかませて撮るところだった。当然、MF。H-IIBなので、一般に知られている露出よりアンダーに設定した。ISO:200、F9、1/1000で、連続撮影。もちろんファインダーは見ず、レリーズで押しっぱなし。 ロケットが頭上で安定した所を見計らい、視野を移動。ふたたび放置し、シャッターは同じくレリーズで押しっぱなし。最後のあたりは瞬時に感で設定したが、データを見ると、ISO:8000、F5.6(開放)、10秒になっていた。現像は、Digital Photo Professional 4 でほとんどが標準現像(撮ったまま)。連続撮影の写真は、カメラのjpeg (small)のものを使用。打ち上げの露出は、もう一段、明るくても良かった。

 動画は、CANON G1X2 で24mm、標準オート撮影。 もっと広角が欲しいところだ。撮影に集中するなら、もっといろいろ出来るだろうが、やはり見る事の方が圧倒的に大切なので、感に頼った盲目的撮影だった。

 それにしても、桜島の噴火が近い、とか台風が やってくる、とか言われている最中、H-IIB、しかも夜、快晴、恵美之江展望公園での観望、と、これ以上無い恵まれた環境での体験だった。でも、打ち上げが終わって片付けを始めた時、「あれは幻だったのだろうか。」と思う位、あっという間の出来事で、夢だか現実だかわからないような感覚が残っている。ロケットの打ち上げは、皆既日食、オーロラと同様、死ぬまでに体験しておきたい天文関係事象だった。また見たい! 見なければ!!


東京湾花火大会 (船で撮影)

 オーロラ観望のページに書いたけれど、火薬を平和利用すれば、こんなにも人を感動させられるのに、兵器に使えば殺人の道具だ。
 

種子島宇宙センター


宇宙科学技術館の正面から登る「カーモリの峰展望台」からの眺望は素晴らしい。写真・右は、像の水飲み。

 ロケットの丘も、種子島宇宙センター内にある。宇宙科学技術館も、是非訪れたい。館内には、各国のロケットの模型が展示されていて、大きさが把握できる。それにしても、サターンVは、本当に大きい。


写真・左側の左端(枠外)が、サターンV。写真・右側は、国産ロケットの模型展示 。

メインのロケット・エンジン:LE-7エンジンも展示されている。

 ロケット・エンジンは、超精密機械でもある。写真・右は、酸化剤を主燃料室に送り込む液体酸素ターボ・ポンプのカット・モデル。もちろん1回限りの使い捨て。空きがあれば、見学ツアーで、ロケットの実物も拝める。

 写真・左は、実物のLE-7エンジンの上部配管、写真・右は、ロケット・本体の配管の様子。

 ボーイング747の全長は70m、約400tが高度10000mを安全に世界中を飛び回っていた。しかし、わずか5.5tのものをISSの軌道に乗せるためには、全長約57m、約530tの機体を要し、しかも、今はアメリカでは満足に打ち上げられない程、宇宙に行く、という事は大変な事なのだ。 それにしても、でかい! これが宇宙に向かって飛んで行くなんて、本当に凄い!!

  時間があれば、増田宇宙通信所へ。各種衛星の模型と説明に納得。写真・右は、衛星レーザー測距観測棟の説明模型。
この続きは、次回の打ち上げの時に。再び体験できる事を願って、あえて、今回は、ここ迄。

     続く.....!

 


宇宙科学技術館・入口(iPhone・車の窓越し撮影)

  

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