月を見ないなんてもったいない その1
ダイナミックに表情を変える月。知ると、全く別に見えてくる!

  公開:2020年5月5日〜
更新:2020年5月29日-2 Moon Globe HDを追加

プトレメウス〜ティコ
(撮影:2020年5月1日19時24分 月齢8.0  五藤GTL1251200APO + 松本EMS + Nikon NAV-HW 12.5mm + Leica Q 手持ちコリメート1発撮り、トリミング拡大 )

  望遠鏡を手にしたら、誰だって月に向ける。欠け際のクレーターの彫りの深さとシャープな像には感動するけれど、大小のクレーター、どれも大差ない? 月は消えるわけでも無いし、見ようと思えば、晴れていれば見ることができるし、次第に遠のいてしまっていないだろうか? 月は、望遠鏡の性能テスト? 撮影対象?

 私の場合、「月世界の招待」というsite と出会って、見方が一変した。中でも、「月名所めぐり」 は目から鱗。クレーターといっても、有名なコペルニクスが六角形で、しかも外側の二次クレーターが放射状に広がっていること、直線壁やアルタイの断崖といった特徴的な崖があること、ヒギヌス谷やトリスネッカー谷のように面白い形の谷があること、リンクルリッジと呼ばれる皺があちこちで見えること、グリュイテュイゼン・ガンマやホルテンシウスのドームのような半円球状の隆起があること、クラビウスのように、クレータの中にいくつもの小クレーターが美しく並んでいるものがあること、クレーターに溶岩が流れ込んで、美しい入江を形成しているところがあること、などなど、いろいろとここから教わった。しかも、これらは光の当たり具合で、表情が激変していく。また、このsiteは写真も素晴らしく、アルプスの谷の谷がどう見えるのか、プラトー・クレーターの中の小クレーターがどう見えるのかも一目瞭然。いろいろな本も出ているけれど、私の教科書は、これ。

 で、私はこのsiteを印刷して編纂し、自分用のガイドブックを作って運用している。実際に見ていて感じるのは、日本語の名前が入った、詳しくてわかりやすい全体図が欲しい。コロナのため、ゴールデンウイークも家に籠っているが、幸い連日快晴でシーイングも抜群。翌日も仕事が無いので、気ままに観望を楽しみ、そして健忘を兼ねて、全体図の作成にとりかかった。まずは月齢8.0と11.4。番号は、自分用のガイドブック資料とリンクしたもの。月齢別に、あと3-4枚作成したいと思っている。 なお、写真は全て正立像、北が上。基本、松本EMSで正立像での観望が主なのと、当然だけど、基本的表示なので正立像。

 
 *月齢8.0の拡大版はこちら        月齢11.4の拡大版はこちら

 月齢19.4の拡大版はこちら

 お月見は、もっぱら五藤GTL1251200APOを使用している。圧倒的に素晴らしい光学系と長焦点が相まって、200〜250×、時に324×で表情豊かな月を見せて (魅せて)くれる。時に、Zambuto 40cm ドブ。これで見る450×は、正に月面遊泳飛行の世界。もちろん双眼望遠鏡も活躍。架台は、DayStarで紹介したiOptron AZ Mount Pro。倍率を上げてじっくり見る時は、やはり便利。

*iOptron AZ Mount Pro (DayStarで太陽観望)

  口径 f 焦点距離 倍率 実視界 見掛視界 アイ・レリーフ 射出瞳径 備考
五藤 GTL1251200APO  125mm 9.6 1200mm            
Nagler 5     31mm 39 2.1° 82° 19mm 3.3mm  
Ethos     21mm 57 1.8° 100° 15mm 2.2mm  
NAV-HW 17mm     17mm 71 1.4° 102° 16mm 1.8mm  
NAV-HW 12.5mm     12.5mm 96 1.1° 102° 16mm 1.3mm  
Ethos     10mm 120 0.83° 100° 15mm 1.0mm  
Ethos     8mm 150 0.67° 100° 15mm 0.8mm  
Ethos     6mm 200 0.5° 100° 15mm 0.6mm  
Pentax XO     5mm 240 0.18° 44° 3.6mm 0.5mm  
Ethos SX     4.7mm 255 0.43° 110° 15mm 0.5mm  
Zeiss ABBE II     4mm 300 0.14° 43°   0.4mm  
Ethos SX     3.7mm 324 0.34° 110° 15mm 0.4mm  
                   

 月齢順 (撮りましたら、順次追加していきます。撮影:2020年4月30日〜)


左から、月齢1.5と地球照、月齢4.5 月齢5.6


左から、月齢7.0 月齢8.0(上弦)  月齢9.1


左から、月齢11.4  月齢13.9(雲の隙間から撮影)  月齢15.0


左から、月齢16.0  月齢19.4  月齢20.4


左から、月齢21.4 月齢22.3(下弦)  月齢24.2

*私は眼視派なので、撮影は手抜きです。鏡筒/アイピースは五藤GTL1251200APO/Nikon NAV-HW 17mm(月齢1.5はMasuyama32mm)で、
松本EMS使用で正立像。Leica Q 手持ちコリメート1発撮り。

 現像について (2020年5月17日)

  写真、特に月齢別のものは、実際に望遠鏡で見た状態に近いように現像している。今は、撮った写真をそれこそモーション・キャプチャーのように輪郭だけ使用してCGで仕上げることも可能だ。また、現像ソフトで、いかように強調可能だ。友人は、精細で、しかも見事なまでに強調した写真を撮って現像していて舌を巻いてしまうが、私はまだその技量は無い。何を見たいのか、表現したいのかで像は変わってくる。例えば満月。実際に望遠鏡で見ると明るくて平板だか、上に掲載した月齢15.0の写真も、現像の仕方によっては

 

のようにもできる。私は眼視派なので、特に強めの強調はせず、ここでは自分の望遠鏡で見たイメージを保持するよう努めている。
 

 Moon Globe HD (2020年5月29日)

 下で紹介したMoon Globe HDは、あまりも優秀。望遠鏡で見ているのと遜色が無い。天気も期日・時間に関係なく、電車内でも楽しめる。月齢20の画像が、これ。冒頭の写真の所は、こんな感じで見れる。iPadが望遠鏡になったみたいだ。

 手持ちコリメートでもこんなに撮れる、と掲載していたが、月齢順だって自由自在。それが、これ。







 月齢1.0〜29.0。29.5は新月につき割愛(PCモニター・全画面表示でないと、月齢5ずつの表示にはならないと思う)。

 といった具合で、素晴らしいとしか言いようがない。
 

 参考資料

  ちなみに私が参考にしている書籍は、これ。

 

の 地形 ウォッチングガイド
    (誠文堂新光社)

 これも教科書として有名。

  *カバーを外して使っていた結果、現在カバーは行方不明。

 

のかぐや
    (新潮社)

 かぐやの美しい写真に心を奪われるだけでなく、開発の話など、感動もの。

 

 

フル・ムーン
FULL MOON
    (新潮社)

 アポロ計画で撮影された写真。 Hasselblad で撮影された、銀塩写真の極み。
  最近は小型版になってしまったが、受ける感動も小型化してしまうのが残念だ。

 

 

ニール・F・カミンズ
もしも月がなかったら
    (東京書籍)

 太陽系を知れば知る程、地球は奇跡の惑星である事が理解できる。
 もし月が無かったら、地球の近くで恒星が爆発したら、ブラック・ホールが地球を通り過ぎたら、など、10の仮想について書いている
 地球に関するアルマゲドン的な本は多数あるが、私はこの本を推薦。

 ソフトは、これ。

 

SkySafari Pro 6.0

 天体ソフトの革命。月面の名前も表示出来る。

 

Moon Globe

 無料のソフトなのに秀逸! HD版は有料(といっても\120)。

 

 かぐやの映像がYouTubeにupされているので、これらも保存して閲覧。 ブルーレイも出ていて、中古を\780で購入して見てみたが、これは、意外な程画質が良くなくて、ちょっとがっかり。また、以前、ソフトバックが上限無しにポイント還元をしていた時があって、それでゲットした月球儀も活躍。これに日本列島を合せると

   小さい。また、冥王星は、これの約2/3の大きさ。小さい!

 
 
   続く.....!

    当siteの月関連は

      皆既月食 2011年12月11日
      皆既月食 2018年1月31日

 2018年1月31日 22時50分。APM 130/f6 + Leica Q 手持ちコリメート撮影 1発撮り

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