原因と治療の一覧表

 原因と治療を一覧表にまとめました。
 原因、症状のリンクはその項目がくわしく記載されているページを別窓で開きます。
 治療内容のリンクは一覧表の下に記載されている各項目の具体的内容にジャンプします。
 冠、ブリッジ、入れ歯では、どのように作られるのか、技工室での作業も簡単に付け加えました。どのように作られていくか知ることは、何のためにその診療をしているのかを知る助けになると思います。

 その歯だけをみれば詰め物で十分であったとしても、近くに歯がない部分があるとするなら、ブリッジを支える歯としてかぶせ物の形に削らなければいけないこともあります。ですから、あくまでも目安としての利用にとどめ、実際に口の中全体をみた場合にどういう治療になるのかは、担当の歯科医師に質問したり説明を受けてください。

原因 症状 治療内容

知覚過敏

冷たいもの、
熱いもの
歯ブラシで
擦るとしみる
薬剤やセメントの塗布(一般的)
レーザー照射(保険で可)
詰め物(歯が削れていてしみる場合)
神経を取る(知覚過敏がひどく、治らない場合)

虫歯

神経まで
進んでいない
甘いもの、
冷たいものに
しみる
痛みが比較的強く、神経の穴まで近いときは
詰め物の前に鎮静処置をすることがある
(虫歯の部分を削り、薬をおいて数日様子をみる)

詰め物

神経まで
進んでいる
熱いものでしみる
夜間に痛くなる
食べかすが入ると痛い
根の治療

根の治療が終わった後、
 削った部分が小さければ詰め物
 削った部分が大きければ

神経が
死んでいる

上記の症状があった
痛みが消えた
(虫歯はある)

何もしない状態で痛い
歯ぐきの腫れ・痛み
かみ合わせが高い

根の治療
根の先に膿が溜まって痛みがあるときは、
根の中から膿を出す
歯ぐきが腫れている場合は切って膿を出す

根の治療が終わった後、
 削った部分が小さければ詰め物
 削った部分が大きければ

根の中の虫歯がひどく、残せない場合は抜歯

歯の破折

何もしない状態で痛い
歯ぐきの腫れ・痛み
歯が動く

残すことが可能であれば根の治療を行う
 →詰め物

残すことが不可能であれば抜歯
 →ブリッジ入れ歯

歯の脱臼

何もしない状態で痛い
歯が動く
歯の固定と根の治療
残すことができなかったときはブリッジなど

歯の着色

歯の裏側など部分的
タバコやコーヒー

研磨剤で除去する
除去後に再び着色することがある
虫歯や詰め物の周り 虫歯の場合は削って詰め直す
詰め物の種類が原因のときは材料を変える
(研磨で取り除ける場合もある)
1本だけ色が変
神経が死んでいる
根の治療を行う
 歯の漂白(神経が死んでいる歯のみ保険可)
 部分または全部を覆うで修正
全体的におかしい
病気や薬
歯の漂白(神経が死んでいる歯のみ保険可)
部分または全部を覆うで修正
歯の位置異常 歯並びの不正
歯ぐきが下がる
必要であれば矯正治療を行う
歯の喪失 歯の位置が変化
かみ合わせが低い
ブリッジ入れ歯
必要に応じて根の治療や歯の矯正を行う
歯周病 歯磨きで血が出る
 歯ぐきの腫れ・痛み 
 歯が動く 
 かみ合わせが高い 
 歯の病的移動 
 歯ぐきが下がった 
 口臭がする 
歯周病の治療

必要に応じてかみ合わせの調整や
歯の固定を行う

咬合性外傷 詰め物や冠が高い
歯が動く
かみ合わせの調整
根の病気や
歯周病でもおきる
かみ合わせの調整とまたは歯周病の治療
歯ぐきの外傷 歯ぐきが下がる 歯磨きの力が強くなり過ぎないように注意する
歯ぐきの色 色素の沈着

粘膜疾患で色が
変化する場合もある

必要に応じて色素を取り除く

粘膜疾患の場合は外科的に切除する場合もある

口内炎 粘膜の痛みや出血 必要があれば投薬、経過観察
顎関節症

歯ぎしり

顎・首・肩の異常 顎関節症 : かみ合わせの修正、薬物療法、
スプリント(マウスピース状、目的により形が
違う)、整位術など

歯ぎしり : かみ合わせの修正、スプリント、
自己暗示法など

骨隆起

歯と関係した
腫瘍・嚢胞

痛くはないが
膨らんできた
必要があれば外科的に切除する
口臭 口の中に原因がある
体に原因がある
原因に合わせた治療が必要

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歯周病の治療

歯周病の程度 主な治療内容 期間の目安
歯肉炎・軽度の歯周炎 適切な歯磨きの指導
スケーリング(歯の表面の歯石取り)
1〜2ヵ月
中程度の歯周炎 上記に追加して
スケーリング・ルートプレーニング
(歯周ポケットの中の歯垢や歯石の除去)
2〜3ヵ月
重度の歯周炎 上記に追加して
歯周外科手術
3〜6ヵ月
(外科を行う部位数に
より、 期間は異なります)

 これ以外に根の治療、かみ合わせの治療、ブリッジや入れ歯などの治療が必要であれば、さらに期間がかかります。かなり重症で口の中全体の改善が必要な場合は1年近くかかることもあります。
 
 もっと細かな治療内容について知りたい方は歯周病の講義をご覧になってください。

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根の治療

神経が残っている場合

1回目 麻酔をする
虫歯の部分を削り、神経の穴まで開ける
神経を取り除く
根の長さを測る
長さに合わせて栓がきちんとできるように形成する
(針状の器具(リーマーやファイル)で行う)
根の中に薬を入れ、フタをする
2回目 1回目で根の形成が終わらない場合、続きを行う
(1本の歯で神経の穴が複数あるときなど)
1回目の処置で形成が終了していれば3回目の処置を行う
根の中に薬を入れ、フタをする
3回目 根の中の栓をする
4回目以降 詰め物やかぶせ物の治療を行う

神経が死んでいる場合

1回目 神経が死んでいるので麻酔は必要ない
虫歯の部分を削り、根の穴まで開ける
根の長さを測る
根の先で膿の袋になっているところまで達するよう、細い針状の器具
(リーマーやファイル)で測った長さより少し長めに刺し、
膿の部分に薬が届くようにする
測った長さに合わせて栓がきちんとできるように形成する
(根の中で虫歯になっている部分も取り除く)
根の中に薬を入れ、フタをする
2〜3回目 1回目で根の形成が終わらない場合、続きを行う
(1本の歯で根の穴が複数あるときなど)
根の中に薬を入れ、フタをする
根の中がきれいになるまで、何回か繰り返す
4回目 根の中の栓をする
5回目以降 詰め物やかぶせ物の治療を行う

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詰め物の治療

詰め物の種類

内容

インレー 削った歯の型取りをする
石膏を流して模型を作る
ワックスで詰め物の形を作る
金属を流すための型になる材料でワックスを埋める
金属を溶かして型に流し込む
掘り出して研磨する
アマルガム 無機水銀と金属の粉末を練り合わせ合金にする
削った部分に詰める
形を整えながら固まるのを待つ
コンポジットレジン 白いプラスチック状の材料
現在はペーストを光で固めるタイプのものが主流
削った部分にレジンを接着させるための前処理をする
レジンのペーストを詰め、形を整えて光で固める
グラスアイオノマーセメント 白いセメント
粉と液を練るタイプとペーストを光で固めるタイプがある
粉と液を練るタイプは削った部分に詰め、固まるのを待つ
かみ合わせの面には不向き

インレーの場合

1回目 必要に応じて麻酔をする
虫歯の部分を削り、詰め物の形に整える
削った部分とかみ合う部分の型をそれぞれ取る
かみ合わせの位置を記録する(ワックスなど)
2回目 インレーを試適し、かみ合わせなどの調整を行う
研磨する
セメントでつける

その他の場合

1回目 必要に応じて麻酔をする
虫歯の部分を削り、詰め物の形に整える
詰め物を入れる
固まった後に研磨する
2回目 アマルガムの場合は、2回目に研磨を行う

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冠(かぶせ物)の治療

冠の種類 内容
部分被覆冠
(ぶぶんひふくかん)
歯を部分的に削り、一部(頬側)は自分の歯を利用する
前歯は歯が4面、奥歯はかみ合わせの面を入れて5面あり、
冠で被覆する面により3/4冠4/5冠と呼ばれる

唇側のみを白い材料だけで作るラミネートベニアクラウンもある(自費診療)

全部被覆冠
(ぜんぶひふくかん)
歯の周りを全て冠で覆う

全部鋳造冠(ぜんぶちゅうぞうかん) : いわゆる銀歯

前装鋳造冠(ぜんそうちゅうぞうかん) : 唇側の金属を薄くし、その上に白い
材料を用いる。保険だとレジン、自費だとポーセレン(セラミック)で前装する

ジャケット冠 : 冠を全てレジンやポーセレンで作る。冠を全て白くできるが、
強度にかけ、金属に比べて壊れやすい

歯冠継続歯(しかんけいぞくし) : 根の中に入れる金属の土台と上の歯の
部分が一体になった冠

 

  診療室 技工室
1回目 歯を削り型取りする
かみ合わせの位置を記録する
(ワックスなど)

前歯の場合は歯の色を決める

最初におおまかな型取りをし、
より精密な型を取るためのトレー
(その人専用の型枠)を作り、
2回目に歯を削る場合もある

型に石膏を流し、歯の模型を作る
作る歯の部分を取り外せるように細工する
咬合器(かみ合わせの器械)に模型を付ける
ワックスで歯の形を作る
金属を流すための型になる材料でワックスを埋める
金属を溶かして型に流し込む
掘り出して研磨する

前歯の場合は白い部分を作り、研磨する

2回目 かみ合わせなどの調整を行い、
セメントで冠をつける
 

 根の治療を行った歯に冠を作るとき、歯の頭の部分に欠損が大きい場合は土台が必要になります(歯冠継続歯は除く)。
 金属で土台を作る場合は型取りをし、できたものをセメントでつけます。その後、冠をかぶせる形に削ります。
 それ以外の土台は根の中にスクリューつきのピンを立て、レジンなどで盛り足した後、冠をかぶせる形に削ります。

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ブリッジの治療

 ブリッジの土台になる歯の削り方は上に書いてある冠の種類の中から選択されます(ラミネートベニアクラウンとジャケット冠は除く)。歯がない部分に歯の形で橋渡される部分はダミーまたはポンティックと呼ばれます。

  診療室 技工室
1回目 歯を削るときはブリッジが入るように
それぞれの歯の平行関係を調べる
型取りする

かみ合わせの位置を記録する
(ワックスなど)

最初におおまかな型取りをし、
より精密な型を取るためのトレー
(その人専用の型枠)を作り、
2回目に歯を削る場合もある

型に石膏を流し、歯の模型を作る
作る歯の部分を取り外せるように細工する
咬合器(かみ合わせの器械)に模型を付ける
ワックスで歯の形を作る
金属を流すための型になる材料でワックスを埋める
金属を溶かして型に流し込む
掘り出して研磨する

前歯を含むブリッジでは口の中でゆがみがないか
確認してから白い部分を作ることもある
(金属が固まるときに収縮し、ゆがむことがある)

2回目 奥歯だけのブリッジは3回目の治療に進む

前歯を含むブリッジでは金属だけのものを
口の中に試適し、調整を行う
ブリッジを分割したときは一体化させるための
位置で固定する

歯の色の種類を決める

ブリッジを分割して口の中でゆがみを調整した場合、
金属のロウを流し、一体化させる

歯の白い部分を作り、研磨する

3回目 かみ合わせなどの調整を行い、
セメントでブリッジを付ける

前歯を含むブリッジでは仮着して様子をみ、
次回につけることもある

 

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入れ歯の治療

  診療室 技工室
1回目 頬を引っ張ったり舌を動かしてもらったりして
入れ歯の範囲を決めるための型を取る

最初におおまかな型取りをし、
より精密な型を取るためのトレー
(その人専用の型枠)を作り、
2回目に入れ歯の型を取る場合もある

型に石膏を流し、模型を作る

部分入れ歯では着脱方向を決め、バネの部分を作る
ワイヤーを曲げながら歯に合わせる方法と
ワックスでバネを作り、金属に置き換える方法がある

入れ歯の範囲を決め、粘膜と接する床の部分をレジンで
数ミリ厚に作る
(歯に詰めるコンポジットレジンとは違う種類のもの)
バネがあるときはワックスで床と固定する

将来歯が並ぶ部分にワックスでブロックを作る

2回目 入れ歯の床の部分を調整する

上顎のワックスを付け足したり削ったり
しながら、歯が並ぶ平面を決める
 正面からは左右の瞳孔を結んだ線と平行
 横からは耳の穴と鼻の下を結んだ線と平行

基準になる面が決まったら、下顎のワックスを
付け足したり削ったりしながら、入れ歯の
高さを決める。下の基準を参考に用いる
 眼と口の距離=鼻の下と下顎の先の距離
 下顎を安静にした状態から2mm引いた距離

上顎と下顎が前後左右に正しくかむ位置で
上下顎のワックスを固定する

前歯が並ぶ範囲をワックスに刻む

人工歯の形と色を決める

より精密に作る場合は、顎を左右に動かした
ときの角度の記録を3回目に行うこともある

部分入れ歯で自分の歯がたくさんあるときは、
その並びに合わせる

模型を咬合器(かみ合わせの器械)につける

3回目に角度の調整を行う場合には、記録するための
装置をワックスに取り付ける

ワックスのブロックを削りながら人工歯を並べる
歯ぐきの部分はワックスで彫刻する

3回目 ワックスで作った入れ歯を試適し、口の中で
調整を行う
必要に応じ、ワックスを溶かして歯の位置を
修正することもある

入れ歯の歯ぐきになる部分の色を決める

調整したワックスの入れ歯を石膏で型取りし、
ワックスの部分を歯ぐき色のレジンで置き換える

レジンが固まったら掘り出し、入れ歯を研磨する

4回目 完成した入れ歯を口の中に入れ、
再度調整を行う

この後、入れ歯がなじむまでには何回かの
調整が必要である

 

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