歯周病(ししゅうびょう)を表す、異なった用語がいくつかあります。
歯周病=歯周疾患(ししゅうしっかん)=歯槽膿漏(シソーノーロー)
過去にはシソーノーローと呼ばれていました。歯槽とは歯を取り囲んでいる部分です。ここから膿が漏れているといった症状より、このような病名になりました。現在、膿だけが症状ではないことから、歯の周りの病気という意味の歯周病や歯周疾患という言葉が用いられています。
歯周病は歯ぐきだけが腫れた状態となる歯肉炎(しにくえん)と、歯と歯ぐきをつないでいる部分が壊されたり、歯を支えている骨が壊される歯周炎(ししゅうえん)に分類されます。
歯肉炎は適切な歯磨きによって歯垢が取り除かれると、健康な歯ぐきに回復させることが可能です。
歯周炎は壊されてしまった部分を元通りに再生させることは難しく、歯ぐきは下がったなりの位置で腫れのないひきしまった状態に治ります。詳しくは後述します。
歯周病には次のような症状があります。
歯ぐきから血や膿が出る |
歯ぐきが腫れる |
歯ぐきが下がって歯が長く見える |
歯がぐらぐら動く、または歯が抜ける |
口臭(歯周病菌が出すガスの臭い) |
これらのうち、ひとつあるいは複数の症状が表れます。ただし、歯周病以外でもこのような症状がみられることがありますので、自己判断しないで歯科医院できちんと調べてもらうことが大切です。
人によって症状は様々で、歯ぐきの腫れが強い人や、一見健康そうにみえるけれども歯と歯肉の境目(歯周ポケット)が深くなっている人もいます。
エックス線写真では骨が吸収してみえることもあります。
![]() ![]() 同じ人の歯ぐきとエックス線写真 |
下の前歯は全体的に歯ぐきが下がっています |
歯周病の原因はプラーク(歯垢)です。プラークは歯を磨かないでいると、ねばねばくっついてくるものです 。これは単に食べかすが溶けたものではなく、70%は細菌の塊です。 細菌やその毒素によって歯ぐきに炎症が起き、その結果として出血、膿、腫れなどになります。
プラークを構成するもの
歯周病の原因となる細菌は単独の種類ではなく、いくつかの種類が共同で巣をつくっています。巣はネバネバしたタンパク質の膜で覆われています。このような状態をバイオフィルムと呼びます。
バイオフィルムは特別なものではなく、自然界ではよくみられるものです。排水溝のぬめりも代表的なバイオフィルムです。
歯周病の原因となっているバイオフィルムは、主として歯あるいは根の表面についています。歯ぐきはこのバイオフィルムに面しているために腫れなどの症状を起こします。
歯ぐきの腫れを抑えるような薬は症状を和らげるための治療法でしかなく、原因を取り除くための治療法にはなりません。抗生物質(化膿止め)を用いても、バイオフィルム内には薬が浸透しずらいため、単独の細菌に用いるよりも、100〜500倍高い濃度を必要とします。これでは生体のほうに強い副作用が出てしまいます。
どのような薬であれ、急性症状で歯ぐきに細菌が入り込んできた場合には一時的に有効ですが、歯周病の原因を取り除く治療には至りません。
歯磨きや歯石取りといった、物理的にバイオフィルムを取り除く方法が、歯周病の原因を取り除く治療法となります。
最終更新2006. 3.11.