山河のラオス〜コーンの滝と四千の島々
 
Khong Phapeng & Siphan Don
 
 
コーンの滝と四千の島々
 

 
メコン川
 


   
超大河
ラオスの南、カンボジアとの国境が近くなると、メコン川はその幅を10km以上にも拡げ、中州と呼ぶにはあまりに大きい島々が次から次へと姿を現わします。北部とは違う、もうひとつのメコン。同じ川でありながらこんなにも違うのかという大自然の驚異を見ることができます。
   

 
コーン島
 


  中でも最大の島がここ。あまりに大きいので対岸としか思えません。大統領の出身地でもあります。ちなみに大統領の名前はカムタイ・シーパンドーン。出身地が一目瞭然です。わかりやすいですね。  

       
 
狛龍
下船して船着場のあたりをしばし散歩していたところ、お寺がありました。壁のない造りもさることながら、狛犬の代わりに龍というのが面白いですね。
 
南国の寺院
境内にはヤシが生い茂り、建物のデザインや色使いにも独特なものがありました。他の場所では見たことがありません。南方仏教のひとつの形なのでしょうか。
 
お墓
墓石もストゥーパと一体化したような、ちょっと変わった形です。高さは2m弱でかなり大きめ。被葬者やその一族はきっと経済力があったんだろうな。
 

 
デット島
 


   
バンガロー
シーパンドーン(四千の島々という意味)は一大リゾート地でもあります。インフラが未整備で文明の恩恵からはかなりかけ離れたエリアなのですが、川に面してバンガローが建ち並び、ハンモックで読書をする欧米人旅行者をよく見かけます。原始生活というか、何もないところがかえっていいんでしょうね。
   

   
積み出し埠頭
インドシナを植民地としたフランスはメコン川を物流の大動脈として使うことを考えました。その中継基地となったのがここ。コン島から鉄道で運ばれた物資は、ここで船に積み替えられヴィエンチャンやルアンパバンへと運ばれて行きました。さしずめ20世紀初頭を偲ぶ産業遺産といった趣です。
   

 
コン島
 


       
 
埋没林
メコン川の只中から木が生えている、と驚いた風景。雨季で水かさが増しているからそう見えるんでしょうけど、見た目はけっこう水深がありそうでした。
 
鉄道橋
コン島からデット島へ、ラオス唯一の鉄道がかつてこの橋を渡っていました。コンクリートのなかなかしっかりとした造りです。どんな列車が上を通ったのかと思えば……。
 
蒸気機関車
そう、これなんですね。当時の蒸気機関車が森の中に一台だけ残されていました。近くでみてみるとまるでオモチャのように可愛らしいサイズ。力出ないでしょ、これじゃ。
 

       
 
線路跡
機関車が走った線路もまた可愛らしいものでした。それにしても民家の軒先なんだけど。家の中を突っ切って走ったのか?まさか。当時は空き地だったのか?それもなあ。
 
寺院
木立に囲まれた草原の中に、コン島唯一の寺院があります。島の人口はかなり少ないだろうに、さすが仏教国、ルアンパバンのものにも負けない立派な造りです。
 
カエル
少女がぶら下げているのはメコンで獲れたカエル。これも貴重なたんぱく源です。売り物ではなく自分ちで食べるのです。大漁だったのかな。でもどうやって獲るんだろう?
 

 
リーピー(ソンパミット)の滝
 


   
歴史を変えた怒涛
ヒマラヤに端を発し何千kmもとうとうと流れてきた大河メコンが初めて見せる猛々しい姿、リーピーとコーン。これらふたつの滝のため、フランスはメコンを船で溯ることを諦め、鉄道の建設を決意します。それは同時に植民地政策の転換をも意味しました。海軍を始め、船輸送ができないわけですからね。
   

   
女性的
現地で会ったラオス人の女性は「コーンよりリーピーが好き」と言っていました。なるほど、男性的な荒々しさを感じさせるコーンの滝に比べて、リーピーの滝はどこか女性的な優美さを思わせます。あちこちに岩場が顔を覗かせているのが、かえって繊細な印象を与えるのかもしれません。
   

 
コーンパペンの滝
 


   
大迫力
コン島から船で戻り、車に乗り換えて国道13号線を今度はメコンの東端に向かいます。駐車場が整備された展望台に着くとコーンの滝が一望。横一線に拡がった川が轟音とともに落ちる様は、まさに大迫力。この感動をどう伝えてよいものやら。自然には逆らわないでおこうと思いました。
 

 
増水
台風で決壊した川、いや、山を突然襲った鉄砲水か。いずれにしても、これだけの水量が森林を覆う景色は日本ではまず見ることができません。驚きなのは、毎年これだけの水に洗われていながら依然として豊かな緑が維持されていること。根こそぎ流されても全然不思議じゃないはずなのに。
   

       
 
ラオスのナイアガラ
誰が言ったんでしょうね。さすがにそれは言いすぎだと思うけど。ただ、高さはあまりないけど幅はかなりあるんですよね。だから見た目大きく感じるというのはあります。
 
支流
周辺部では河口の三角州のように滝がいくつかの支流に分かれています。水流が複雑に渦巻いていて、落ちたらまず確実に浮かび上がれないな。
 
津波
リーピーもコーンも、総じて言うと「滝」というよりは「津波」と言った方が実感に近いかもしれません。正面から見ていると飲み込まれそうな気がしてきます。
 


   

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