ゾンダーバリア

   機界文明の戦闘兵器、即ちゾンダーロボなどがほぼ常時展開しているバリアシステム。基本的にはプロテクトシェードと同じく空間湾曲技術を応用したもので、一種のレプリションフィールドを展開。レプリションフィールドと通常空間の反発力を利用し、強力な力場(ポテンシャルカスケード)を形成してあらゆる攻撃から身を守ることができる。この力場は非常に強固な壁のようなもので、プロテクトシェードとは異なり、光学(ビーム)兵器を反射させることは出来ない。機界31原種の展開するバリアも基本的な原理は同一である。
   ゾンダーバリアの強度は単純に展開する主体である機体のエネルギィ量に比例する。つまり強力な機界文明の兵器(以下、機界兵器と省略)ほど強力なゾンダーバリアを展開することが出来るのだ。またEI−01や、機界31原種などの強力な機界兵器はこのゾンダーバリアを二重三重に展開することで、より強力な防御体制を整えているのである。
   EI−02を例にとってみよう。EI−02はゾンダーロボの中でも初期型ということもありさほど強力な機界兵器ではなかったが、それでもなお航空自衛隊が擁する戦闘飛行機・F−19改のミサイル攻撃をもってしてもそのバリアシステムを打ち砕くことは出来なかったのである。周知の如く、日本の自衛隊は世界でも屈指の軍事力を誇る戦闘集団であり、それが機界兵器の前に一蹴されたという事実は、人類が機界文明に対して、もはや核兵器とGストーン以外に有効な対抗手段を持っていないという示唆でもある。実際に機界文明に対して核兵器が使用されることはなかったが、もし人類がGストーンを手にしていなければ、あるいは手にしていたとしても状況如何によっては、使用される可能性は充分すぎるほどあったといえよう。しかも使用されたところで機界兵器に対して効果が認められるか否かは依然不確定なのである。
   Gストーン搭載型AIロボット部隊、即ちGGG機動部隊はこの強固なバリアシステムに対し、いくつかの打開案を提示している。もっとも単純なものではガオガイガーブロウクンマグナムや、撃龍神双頭龍などに代表されるように、より強力な力場で持って、ゾンダーバリアを突破する方法である。ゴルディオンハンマーも基本的にはこの方法でバリアを突破している(グラヴィティショックウェーブによる光子分解はゴルディオンハンマーが目標本体と接触した際にはじめて発生する)。これは機界兵器がバリアを展開する際に消費するエネルギィとそれによって生じる力場を粉砕してなお機界兵器に打撃を加えることが出来るほどの強力な攻撃力を前提としており、Gストーンを擁するGGG以外には実質上不可能である。
   第二に、ギャレオンメルティングウェーブや、それを応用して開発されたメルティングサイレン、或いは天海護少年Gパワーの放出によってゾンダーバリアを消失させる方法が挙げられる。バリアが消失した状態であれば、人類の擁する通常兵器でも機界兵器に対して充分に損害を加えることが可能である。しかしギャレオンやマモル少年と、彼らに関する情報はGGGが独占するところであり、メルティングサイレンについてもその詳細は部外秘となっている以上、これもまたGGG以外には実行不可能である。付記するならばマモル少年の場合、彼が有するGパワーの放射と、機界文明機動兵器の動力源であるゾンダーメタル、原種核が放射する素粒子Z0を対消滅させることで、動力源の出力自体を低下させ、バリアを展開不可能な状態にすることでバリアの無効化を果たすのだが、一方メルティングウェーブやその応用兵器であるメルティングサイレンは特殊な振動によるバリアの分解、無効化を果たす点で根本的に異なっているといえる。
   第三の方法はさらに特殊である。ガオガイガーがハイテクツール・ディメンジョンプライヤーを使用して、バリアを展開された空間もろとも排除するのである。これはGGG機動部隊のプラチナフォーメーションにも組み込まれた方策であったが、EI−01に対して使用した際は、湾曲空間ごと弾き飛ばされてしまい、プライヤーズを機能停止に陥れてしまっている。
   結局GGGの提示した打開策はGストーンの存在を前提としたものであり、各国の軍隊が使用できるものではない。これらと異なる、人間が可能な方法でゾンダーバリアを無力化するのであれば、第四の手段、即ち機界兵器を内部から、人間、あるいは訓練された動物が破壊するほかに方法はない。ただ、当然ではあるが、この方法は大きな危険が伴う。瞬間的な再生能力を持つ機界兵器に対しては、一度により大きな損害を加えねばならない。この場合、その為に最も有効なのはやはり爆弾であるが、ゾンダーロボの内部では、潜入した物もまたその内部に取り込まれてしまう可能性が高い。訓練を受けることができるほどの高い知能を有した生物であればなおさらである。またゾンダーロボはその気になれば潜入者の脱出口を封じた上で、潜入者を抹殺し、爆弾だけを体外へ排出することも可能であると考えられる。やはり、GGGによる第一から第三の方法が最も安全かつ効率的で確実であろう。