内蔵ミラーコーティング

   GGG諜報部所属の勇者ボルフォッグのみに与えられた特殊装備。
   元来ミラーコーティングを行なうのは旧GGGの飛行要塞「三段飛行甲板空母」に装備されたミラーカタパルト以外になかった。というのも、ミラーコーティング処理の所期の目的は、超伝導リニアカタパルトであるミラーカタパルトの強力な電磁波から勇者達のAIや精密機器をミラー粒子によるコーティングで保護する事であり、ミラーカタパルトを利用しないかぎり、ミラーコーティングを行なう必要性は全くなかったのである。しかし、ミラーコーティングはこれに加えてレーザーやビームなど物理的衝撃を伴わない光学兵器を悉く反射、無効化する事ができ、またEI−08のような強力な電磁波によって守られている目標に対しても、その影響を考慮する事なく接近する事が可能となるなど、戦闘領域における多くの有効性が認められた。ミラーコーティングは単に電子機器の保護にとどまらない、きわめて有効なバリアシステムであったのだ。
   このバリアシステムを小型化し軽機動歩兵、すなわちGストーン搭載型AIロボットに搭載する事ができれば地球外知性体に対して究めて優勢に状況を展開する事が可能となる。GBR−1、すなわちガオガイガーのように空間湾曲によるバリアシステム・プロテクトシェードを展開するほどの出力を要することなく、しかも追加装甲などを施すのとは異なり、微粒子を機体表面にコーティングするだけであるからAIロボットの機動性を損なう事もない。ミラーコーティングシステムをAIロボットに塔載するためのシステム全体の小型化と簡略化の研究開発は氷竜、および炎竜の機体開発とほぼ同時期に進められた。
   その結果、まず完成したのが炎竜専用の特殊装備・ミラーシールドである。これはシールド表面にミラー粒子を蒸着、安定させ、携行用武装としたもので、いわばミラーコーティングを簡略化したものだ。さらにこのミラーシールドは光学兵器による攻撃を吸収、増幅して反射させる事ができ、これにより炎竜はガオガイガーのプロテクトシェードに頼る事なく目標からの光学兵器に対し防御を展開する事ができ、更に即攻撃に転ずる事が可能となった。しかし、このミラーシールドは「楯」であるがゆえに一方向からの攻撃しか受ける事ができず、また強力な電磁場において長くこれを防ぐ事ができないという欠点があった。
   それを克服し、ボルフォッグに搭載されたのが内蔵ミラーコーティングである。これは文字通りミラーコーティングシステムを機体内部に塔載し、AIの指令によって任意に機体表面をミラー粒子でコーティングできる、というもので、これによりボルフォッグは単機でミラーコーティングを行なうことができるのである。内蔵ミラーコーティングを実現させるための最大の懸案はやはりシステムの小型化であった。三段飛行甲板空母の上部デッキを占領している巨大なシステムを全長10m前後のAIロボットに塔載しようというのだから、その困難は推して知るべきであろう。加えてボルフォッグは諜報戦用というコンセプトから他のAIロボットよりも小型化する必要があり、また多数の探査隠蔽機能が搭載されることが既に決定していたため、困難は二重、三重であった。このためボルフォッグおよびガンマシンは当初の計画よりも機体が多少大型化し、また変形合体機構もある程度簡素化されている。最終的にはボルフォッグのミラーコーティング内蔵は成功したのだが、開発者曰く「どうやって詰め込んだのか自分でも良く分からない」とのこと。
   ともかく内蔵ミラーコーティングによりボルフォッグは高い防御能力と隠密性を獲得し、またこれを攻撃に転化する事によりGGGでも屈指の戦闘能力を有するにいたった。高速回転しつつミラー粒子を発射、目標を射抜く、ビッグボルフォッグ大回転魔弾、高速で分離合体を繰り返し目標を翻弄する超分身殺法などは特に記憶に留めておくべきであろう。 なおこの時ガンマシンもミラーコーティングを施されているが、これはガンマシンに内蔵されたものではなくボルフォッグの内蔵ミラーコーティングを用いて施したもので、分離後も一定時間の間はそれらが剥離せず、ガンマシンの機体表面に残留しているのである。
 後にマイクサウンダース専用のサポートユニットであるバリバリーンにも同様のものが搭載されることとなったが、こちらはマイクがコスモロボ状態で使用することが前提となっているため多少出力が不足しており、その結果ミラーコーティングが施されるのはバリバリーンの底面のみとなっている。