エポック社・原氏

4.「体感ゲーム」は親と子どもが競うゲームなのだ

エポック社「体感ゲーム」の誕生

寺町:ちょっとじゃあ、先に近作の方をうかがってよろしいでしょうか。エポック社さんの最近のテレビゲーム、体感ゲームシリーズですけれど、あれは、平成に入ってからの商品ですね。プレステとか、そういうメインストリームに対してオルタナティブな部分から派生してきましたけれど、あれ、一番最初に発売されたのは、エポック社さん・・・ですよね?

原:うちです。エキサイトスタジアムですね。


エキサイトスタジアムDX(2002年)
ピッチングフォームの強さ、バットを振るタイミングでバーチャル野球を楽しめる。チームエディット機能付き


寺町:あの製品はどういったところから生まれたんでしょう?

原:あれはですね、ベースとして、あの頃はテレビゲームって高かったですよね。本体があって、カセット式で、本体が1万円を越える値段で。それで、チップを開発しているところからオファーがあったんですよ。非常に安いチップができた、と。これを使えばオールインワンで、要するに、安いものができますので一緒にやりませんか?と。そこらへんからですね。あの当時、5,980円だったかな。それでテレビゲーム1本、本体買わずにできちゃうわけですから。

寺町:(株式会社) 新世代さん・・・ですよね?

原:そうです。そこが新しいチップを開発されて、それが非常に安い、と。いうところから始まった共同企画です。
本体が無いと遊べない、本体を選ばなきゃいけない、自分はスーパーファミコンを持っているけれど、PSを持っていないとか、そういうのはどんなもんだろうか?昔のテレビベーダーとか、ブロックとか、本体関係なくしてそれを買えば遊べるよ、という形のものってどうなのかな?筐体にとらわれない形のものをちょっと考えられないかと。そのためにはやっぱり値段が問題。そういう安いものであれば、カセット一本分の安い値段でできる。この値段でできちゃうってことのインパクトもあってでてきたのかな、と。

  結局その当時、テレビゲームというのがどんどん内容が高度になって複雑化していって、それにつれて、遊ぶユーザーの年齢もどんどんあがっていっちゃって、いつのまにかふと気がついたら、僕達が体感シリーズでつかまえた世代っていうのは、とりのこされちゃっていたんじゃないかなって気がするんですよ。そういうところに、もうちょっと単純な機能で楽しく遊べるような、それでなおかつ、今までのテレビゲームの枠の中に入らないものが、ちょっと考えられないかな、というところで、実際、こういう指でチマチマやるんじゃなくて・・・、親から見ても不健全じゃないですか。

寺町:わはは、やっぱり不健全ですかね(笑)。

原:大人もそうなんだけど、特に子供に対してみれば、親は歓迎してないわけですよね。自分の部屋に閉じこもってこんなこと(ジョイパッド動かして画面集中)やってるっていう。うちの子供なんかもそうでしたけれど。(笑)

望月:そういう親に対しても、身体を少しでも動かしてやるということで、ちょっと、今までの暗いイメージからの脱却があったり。それとね、これ(パッドゲーム)じゃあ、お父さんはやっても全然子供に勝てないんですよ

原:うふふふ(笑)

望月:ところがバット振るんだったら、これは負けないぞ!って部分もあるし

寺町:ははあー! そっちで来られたわけですね!小さな子供と大人がいっしょに、という・・・

原:そうです。ほんとに、子供がそういう殻に、部屋に閉じこもっているのを引っ張り出して茶の間に持ってきて、親子揃ってやらせようよ、みたいなところがありましたよね。だから最初、ファミリーゲームって形で、なげかけをしていたと思うんですよね。野球はどっちかっていうと、男のお子さんとお父さんでしたけれど、次のピンポンで、家族揃ってって形になりましたもの。

寺町:あれはけっこうセンセーションで。テレビ番組の企画などにも使われていましたよね。

原:あともうひとつ、うち独自の理由付けというので、うちはその当時まで野球盤をはじめとした、アナログのアクションゲームってのをやっていて、それがちょっと飽きがきていたんですよね。それをもうちょっと進化させるという部分で、テレビゲームとクロスさせては?と。そうしたら、こういう形に・・・というところもあるんですね。だから、逆に野球が、エキサイトスタジアムが、エポック社がやるにふさわしいテーマだったとなるわけです。

寺町:うーん、なるほど。

原:だから、業界には、そういう投げかけもかなりしたと思うんですよね。

 

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