リハビリテーションの作業療法や養護教育の作業学習などで、レザークラフトはよく行われている作業種目です。私が片手作業用に製作した補助具を中心に、紹介致します。
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「秋田市立港北小学校での取り組み」


 左の写真は、初めて授業にレザークラフトを取り入れた特殊学級で作られた作品です。携帯電話のストラップなのですが、模様がわかりやすいように、革の部分をトリミングした写真です。

 初めての試みと言うことで、指導される先生も革は難しいのではないかというイメージを、最初は持っていらしたようです。

 実際に始めてみると、生徒さんたちが自分で模様を考えてスタンピングをしたり、穴あけをしたりと、楽しそうに夢中になって作業をしてくれたそうです。一緒にやっていた先生たちも、楽しかったようですよ。

 クラフトした物は、実際の作品として形になり、実用性がある物は人に使ってもらうことができるから、良いですよね。

 作業については、簡単な説明を事前に先生に致しましたが。その中で、コバ磨きは実施するのが難しい作業だったそうです。模様付けや染色は、生徒さんが楽しそうに自由にできたそうです。

 初めてと言うことで、工具などの初期費用が多少かかりましたが、革に持っていた高いというイメージほどではなかったと言うことでした。実際、いろいろな工夫で費用を抑えることも可能です。バザーなどで、材料費はある程度回収できる部分もあるようなので、工具の費用を見て頂ければ、大きな費用の負担もなくレザークラフトを授業に取り入れることができるようです。

 小学校の特殊学級での取り組みに接するのは初めてでしたので、私も勉強になりました。これからも取り組みを続けて頂いて、応用の幅を広げて楽しい物作りをしていただけるとうれしいです。


「さらなる取り組み」

 携帯ストラップなどの簡単な革の工作から始めた港北小学校の特殊学級では、2年目以降も引き続き革の物作りへの、授業での取り組みが行われています。内容も格段に進歩して、小学校でここまでできるのかと驚くほどのレベルになりました。先生が私の工房の教室に入会してくださり、一緒に教材を考えることができたので、私自身もとても勉強になりました。
 上の画像は、手作りのベルトです。それぞれデザインが異なり、別の生徒さんが作ったものです。どのような技法であれば生徒さんが自分でできるかを先生が考慮して、デザインが決められました。装飾用の革ひもを三つ編みにして、ベルトに開けた穴に通しています。左のベルトは周囲を手縫いにし、右のベルトは革ひもかがりにしています。

 画像が小さくて、細かいところはわかりにくいかもしれませんが、実物を見るとほとんど販売用の製品と思えるくらいの仕上がりでした。

 最後のバックルの取り付けは、生徒さんと先生が私の工房に来て、一緒に行いました。お父さんへプレゼントする、集大成的な作品です。

 左の作品は、ソフトな革を使ったきんちゃく袋です。手縫いで作られています。やはり1年の集大成的な作品ですが、これも高いレベルでまとまりのある仕上がりでした。

 小学校の特殊学級で、手縫いの技術で作品作りができるというのは、一般的には認識されていないことなのではないかと思います。私自身も、このクラスの取り組みで初めてここまでのことができると言うことを知りました。

 ベルトもきんちゃく袋も、生徒さんと先生の1年間の取り組みが実った作品ですね。生徒さんが先生よりも要領が良くなり、先生が工程で迷ったときには生徒さんが教えてくれたこともあるという話も伺いました。
 この画像も、授業で取り組んだ作品群です。生徒さん自身が、模様や配色をオリジナルでどんどん考えていくそうです。
 作品のレベルが高いので、本当に生徒さんが自分たちで作業をしたのかという驚きもあったようなのですが、ご覧の通り様々な工夫をしながら作業が行われました。

 上の画像は、左が小型の手縫いバイスでベルトを固定しながら作業をしているところです。革ひもかがりも、バイスを利用して行われました。バイスは、先生のご家族の手作りです。

 中央の画像では、どのように作業が進められたのかが一目瞭然です。どのような作業をしていくのか、わかりやすくまとめられた工程表なども作られて、子どもたちが何をするのか、視覚的にわかりやすいような工夫もされていました。

 右の画像は、ハトメ抜きの工夫です、ハトメ抜きを抜きやすいように、軸に木製の部品を取り付けてあります。同様の工夫は刻印にも施され、そのためには電動ドリルなどに使われる部品が利用されました。それが下の画像です。刻印が細くて握りにくかったという生徒さんも、この工夫で作業がしやすくなったそうです。先生の同僚のアイデアだと伺っています。




 毎年、秋には生徒さんが自ら販売に携わるバザーが行われるそうです。その時にはご覧のような作品が販売されました。

 革の作品類は人気も高く、人が並び販売開始後15分くらいで完売するそうです。
上記のような取り組みが、「月刊 実践障害児教育」の2005年1月号に紹介されました。10・11ページに掲載されています。
 

「いろいろな作品」

港北小学校で製作された、いろいろな作品を紹介します。



生徒さんのイラストを刻印にしました。
とても独創的なイラストです。


ひまわりをモチーフにした時計。
いろいろな技法を応用しています。


おうちの人にプレゼントしました。
時間を掛けて作った大作です。


このストラップを作るために、
実はいろいろな工夫をして作業しました。








「秋田市立土崎小学校での取り組み」

 通年ではありませんが、秋の作品展やバザーの作品作りにレザークラフトを導入されています。個性あふれる作品が製作されていました。

「バザーのために作った小物」
「床革で制作したお面の数々」
とてもダイナミックにかわいらしく仕上がっています。



「盲学校高等部の体験講習」

 2004年の11月に、初めて盲学校の高等部の生徒さん達を対象にした、革の物作りの体験講習を行いました。総合学習の中で、生徒さんがインターネットで私のサイトを見つけてくださり、日程や内容の打ち合わせをして講習を実現したものです。

 生徒さん達にとっても、革での物作りは初めてでしたが、私にとっても、盲学校の生徒さんとの出会いは初めてのことでした。先生にもお話を伺ったところ、当日は先生も付き添いで付いてきてくださり、生徒さん達は感覚が鋭くかなりの細かいことも自分でできるとのことでした。織物などもやったことがあるという話も伺い、特別な補助具などを準備しなくても、講習はできるものと判断しました。

 実際に、講習の当日は特別な準備をするでもなく、通常の講習と同じ状態でのぞみました。説明の話は、多少はいつもよりも言葉が多くなったかもしれませんが、生徒さん達は積極的にどんどん課題に挑戦してくださいました。その積極性と感性の鋭さは私の予想以上のものでした。

 刻印での模様打ちの練習の後に、作品に合わせて模様を構成して、バランス良く刻印を施していきました。弱視の生徒さんは、目を近づけたりルーペで模様を確認しながら、全盲の生徒さんも指先で触れて確認したり先生と相談しながら、素敵な作品を作ってくださいました。染色も良い雰囲気で仕上がりました。

 作品によっては、革ひもかがりの工程があったのですが、革ひもでのかがりは刻印打ちよりも難しいようでした。何か補助具を考えるべき工程だと思われます。

 3時間以上にわたる、長丁場の講習になりましたが、生徒さん達は最後までがんばってくださいました。お腹はペコペコになりましたが、私も含めて参加者に充実感のある講習会にできたのではないかと思います。
 講習会で作った作品です。左側にあるのが刻印や染色を施したメインの作品です。右側のトレー類は、残った少しの時間で製作しました。トレーではなくて、バラのオブジェに仕立てた生徒さんもいました。トレー類の仕上げは、学校に持ち帰ってからおこなっていただきました。


 講習会から、1ヶ月ほどたったある日、盲学校の生徒さん達からの、講習会の感想のお便りをいただきました。ふりがな付きの点字でのお便りもありました。

 みなさん、楽しんでくださった様子で、私も当日の講習会を思い出しながらお便りを読ませていただきました。

 感想のお便りは台紙に貼られて、ご覧の画像のように可愛らしい私?の似顔絵の表紙付きでした。大切にします。

 こんどはもっと難しいものに挑戦したいという感想もありましたので、またいつか機会を作り、革の物作りに取り組んでいただければと思います。


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