リハビリテーションの作業療法や養護教育の作業学習などで、レザークラフトはよく行われている作業種目です。私が片手作業用に製作した補助具を中心に、紹介致します。
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はじめに
補助具を作った経緯
実施例
実施例
補助具
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補助具を作った経緯



 レザークラフトが作業療法で行われているということは、私も知っていました。でも、どのようにして何をするのかは、全くわかりませんでした。

 むかし、革を始めたばかりの頃にアメリカの雑誌で、ベットにうつ伏せになり義手に刻印を持ち、革に模様を施している少年の写真を見たことがありました。その写真を見て、すごいものだなあと思っていました。
 私が革の作業療法について持っていたイメージは、唯一その写真からの物でした。作業療法のことは、実際には全く知らなかったわけです。(今も知らないのですが…。)


 そんな私がリハビリ用の補助具をなぜ作り始めたかというと、きっかけは「作業療法とレザークラフト」(日本レザークラフト教会編)という本を見たことです。この本を見たときに、レザークラフト用の補助具があまり存在しないということを知りました。最初に思ったことは、もしも自分が補助具を必要とする立場になったときに、もう少し充実した補助具類が欲しくなるであろうと言うことでした。ある程度のレベルの物作りをするために、補助具の種類を増やすことが必要だと感じました。
 
 それから、革の世界にいるからには、そのうち作業療法の世界とも接点が生まれるのではないかと思われましたし、革を通して社会との接点がもてそうな気もしました。なかなかボランティアなどの時間はとれませんが、専門の革のことであれば日常を通して何かできるかなと。

 そこで私は、全国で片手作業用の補助具が必要とされているに違いないと思いこみ、最初の補助具を作り始めたわけです。この全国で…という部分は完璧に私の思いこみによる勘違いだったようなのですが、勝手に思いこんでしまうのは、いつもの私の行動パターンであります。

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はじめの頃に作った補助具

 最初に作った物はほとんど実用性のなさそうな物でしたが、それらの写真の日付を見ると1995年の9月になっています。この頃の初期の補助具を、作業療法に革を取り入れている、地元の施設に持っていってみましたが、見事に反応なしでした。全国で必要とされているはずだったのに…。
 私の地元では片手の作業種目には切り絵などを用いることが多く、革はほとんど行われていないと言うことを聞いたのは、そのずっと後のことでありました。
 私なりにめげたのか、次の写真の日付は1年後になっています。

 1年後となった1996年の夏に、私はいくつか作った補助具を「作業療法とレザークラフト」を発行していた日本レザークラフト教会の森下雅代さんに送りました。私の地元では使ってくれるところがなかったのですが、そのままお蔵入りもどうかと思い、思い切って送ってみたものです。ありがたいことに、返事をいただき試していただけることになりました。
 反応がありうれしくなった私は、その後また1年くらいは、結構な時間を割いて補助具をあれこれ作っていました。

 1998年には、「作業療法とレザークラフト2」が発行されて、その中で私の作った補助具も紹介していただきました。どこの誰とも知らぬ私の補助具を紹介してくださって、感謝であります。ちなみにこのシリーズは3まで発行されていますので、革のもう一つの世界を知るためにも、ぜひご覧ください。

 今回私のサイトで紹介する補助具は、上記の冊子で紹介されている物が中心となりますが、画像や解説がより詳細なものになります。また、その後に作った何点かの補助具も紹介いたします。中には、私なりに可能性を感じている道具もありますが、道具として完成させるためには、お金をかけてちゃんとした機械加工をしないと難しいと感じることが少なくありません。

 リハビリの現場では、予算が十分ではないことも少なくないようです。そこで、私が補助具を作るときの条件は、「どこにでもある材料で誰にでも安く簡単に作れる物」と言うことにしました。実際、簡単に作ることのできるものばかりですので、現場に即してより良い物を作っていただく、たたき台となればと考えております。



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 最近は、私の作った道具を試してくださっている県外の施設の方と話をする機会ができたり、養護教育に取り入れてくださる先生が何人かいらっしゃいます。それで、直接の情報を少しは知ることができるようになりました。全て私の想像で作ったので、現場の声を聞くことができて初めて、自分で作った物がどんな物だったのかがわかるような気がしています。


 私にとって、補助具を作って最も良かったことは、常識的な考えをしないようにする訓練ができたことです。「革はこうでなくてはいけない」とか、「基本はこうだ」という考えを捨てる訓練ができたのが、何よりも自分のプラスになりました。

 片手に刻印を持ち、もう片方の手のハンマーで叩くという私たちがふだん行っている作業方法も、いろいろある作業方法の中の一つの形にすぎませんでした。補助具を考える中でいろいろな発見があり、楽しいものでした。



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