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アメリカの6回目の臨界前核兵器実験に代表理事会が抗議

10月1日、日本被団協はアメリカの臨界前核兵器実験に対し、東京、埼玉、神奈川の被爆者とともにアメリカ大使館前で抗議行動をおこない、以下の文書を大使館を通じてクリントン大統領に送りました。

1999年2月10日

アメリカ合衆国大統領
ウイリアム・J・クリントン閣

日本原水爆被害者団体協議会
第273回代表理事会

臨界前核兵器実験に抗議する

 貴国は、2月10日(日本時間)、今年度初、通算6回目の臨界前核兵器実験を行なった。しかも、年内に更に1回の実験を行う計画を明らかにした。

 貴国が投下した原爆によって家族を殺され、自分も後障害に苦しんでいるわれわれ被爆者は、貴国の度重なる核兵器実験に満身の怒りを込めて抗議する。

 貴国は臨界前核兵器実験はCTBT(包括的核実験禁止条約)に違反しないと言い張っているが、核兵器の性能維持と新型核兵器の開発につながる核実験であることになんら変わりはない。「核保有国は直ちに核兵器の全廃に向けて核軍縮への具体的な取り組みを開始すること」を促す、第53回国連総会における決議に表わされている、核兵器のない世界をめざす世界の世論に対する新たな挑戦といわざるを得ない。

 貴国は、インド、パキスタンが行なった地下核兵器実験を、口をきわめて非難し、制裁を加え、脅迫さえした。イラクが大量破壊兵器の査察を拒否したことを口実に、国際世論にさからって武力行使さえ行なった。北朝鮮の核開発の疑惑を喧伝し、新しい日米軍事協力のための指針をなかば押しつけ、核先制攻撃も辞さない米軍の戦闘行為に対する日本の自動参戦の道を開こうとしている。

 弱小国には核兵器の実験も所有も許さないが、ロシアの臨界前核実験には口をつぐみ、自国とロシアには実験も、開発も、保有も、使用も許されるとは、何という身勝手さであろうか。核大国の横暴としかいいようがない。

 日本被団協第273回代表理事会は全被爆者を代表し怒りを込めて貴閣下に要求する。

1 臨界前核兵器実験の計画を中止せよ。

2 他国に率先して核兵器の放棄を宣言せよ。

3 核兵器廃絶への実効ある行動を開始せよ。

4 期限を切って核兵器を廃絶するための核兵器廃絶国際条約を締結せよ。

5 水爆原料となるトリチウムの生産再開を止め核軍縮を進めよ。 「被団協」新聞記事へ