被団協新聞

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イラクに対するアメリカの核威嚇に抗議

1998年2月6日

米国大統領
ウイリアム・クリントン閣下

日本原水爆被害者団体協議会
代表委員 伊東  壯
同    山口 仙二
同   伊藤 サカエ
事務局長 藤平  典

イラクヘの核兵器威嚇に抗議する

 閣下が、昨年暮れ以来イラクに対し武カによる威嚇をつよめておられることについて、わたしたち広島・長崎の原爆被爆者はたいへん大きな不安をいだいてきました。そしてこの不安は今年になってますます深刻化し、米国による核兵器使用の可能性という恐ろしい悪夢をともなって、わたしたち被爆者と全世界の人々を脅迫するものになっています。

 報道によると貴閣下は、1月27日の国防大学での演説で、イラクに「大量破壊兵器をふたたび使用する能力を決して与えない決意」を表明され、「力の行使が唯一の解答となることもある」とのぺました。同じ日、国防総省のベーコン報道官は新聞記者の質問にたいし、「米国の対応は圧倒的な力による断固としたものになろう」「(地表貫通用の核爆弾の使用も)排除しない」と語っています。

 別の報道によると、貴閣下はすでに昨年11月、イラクヘの核攻撃を認める機密指針に署名しておられるということです。  事実、貴閣下はペルシア湾岸の米軍兵力を最近急速に強化され、強力な核攻撃能力をもつ空母その他の艦船あらたに配備されました。横須賀を母港とする核搭載空母インデペンデンスもこれに参加しています。

 このようにして、貴閣下は湾岸に、一触即発のきわめて危険な状況をつくり出し、イラクを核兵器で威嚇すると同時に、全人類を核戦争地獄の悪夢の前にふるえ上がらせています。これこそまさに、国際司法裁判所が国際法に違反するとした核兵器による威嚇そのものであり、絶対に許されない犯罪行為です。

 わたしたち被爆者は、平和を愛する全世界の人々とともに、貴閣下および米国政府のこのような行動を、渾身の怒りをこめて糾弾します。

 イラクヘの核威嚇をただちにやめよ。

 湾岸から核艦船、核兵器をすべて引き上げよ。

 横須賀、沖縄をはじめとする日本の軍事基地からすべての核兵器、核兵器関連施設を撤去せよ。