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北朝鮮のNPT脱退宣言にたいする声明

声明

北朝鮮の核兵器不拡散条約(NPT)からの脱退宣言の撤回を求めます

 1月10日、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)は、核兵器不拡散条約(NPT)からの脱退を宣言し、国際原子力機関(IAEA)の保障措置(核査察)協定の拘束を受けないことを宣言しました。
  私たち、原子爆弾の被害を受けた被爆者は、被爆後57年余を経た今日までつづく、体と心と暮らしの苦しみの体験の中から、ふたたび被爆者をつくるな、核兵器を使うなと叫びつづけ、核兵器の廃絶を求めてきました。とりわけ、2000年からは、核兵器保有国に対して、2000年NPT再検討会議での核保有国を含む加盟国の「核兵器の廃絶をめざす合意」のすみやかな実行を、誠実に行うことを求めてきました。
  北朝鮮政府は宣言にあたり「核兵器製造の意志はない」ことを言明しています。しかし、不平等条約とはいえ、NPTは新たな核兵器の開発を禁止した条約であり、この条約からの脱退は、核兵器の開発に道を開くことを宣言したのと同じで、矛盾した弁明であるといわざるをえません。核兵器は絶滅を目的とした悪魔の兵器です。人道上も、国際法にも反する兵器です。国際司法裁判所は1996年7月、核兵器の使用と威嚇は国際法に違反するとの勧告的意見を国連総会に勧告しました。このような兵器を外交の道具に使うことは忌まわしいことです。私たちはこのことを決して認めることは出来ません。
  2001年に登場したアメリカのブッシュ政権は国際世論に逆らって単独覇権主義政策を強行し、9.11テロ事件以降、国際的テロ撲滅を口実に、アフガニスタンを武力攻撃し、タリバン政権を転覆し、さらに、いくつかの国をならず者呼ばわりをして、いま、イラクへの核兵器の使用も選択肢に入れた武力攻撃の準備を執ように、着々と進めています。このような情勢の中で、北朝鮮はアメリカとの安全保障をめぐる外交交渉を有利にするための切り札として、核開発問題をエスカレートさせることは極めて危険といわざるを得ません。
  私たちは、北朝鮮がNPTからの脱退宣言を直ちに撤回することを求めます。

2003年1月14日
日本原水爆被害者団体協議会