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米核戦略見直しに抗議し、大統領に手紙

 日本被団協は、米国ブッシュ政権の核戦略見直し計画に抗議し、ブッシュ大統領宛に手紙を送りました。

2002年3月26日
日本原水爆被害者団体協議会

ブッシュ大統領、
 あなたは、先の年頭教書演説で、朝鮮民主主義人民共和国、イラク、イランを名指しで「悪の枢軸」呼ばわりし、テロ「報復戦争」をこれらの国に拡大する意図を明らかにした。同時にあなたは、これら3国にロシア、中国、リビア、シリアを加えた7カ国に対する核攻撃シナリオの策定を中心にした「核戦略の見直し」を指示した。この報道は、全世界に大きな衝撃をあたえた。
 その後、あなたの「核戦略の見直し」指示の内容が明るみにでた。それは、生物兵器、化学兵器の保有を理由にイラクに対する先制攻撃―それには、核兵器の使用が含まれる―、地下壕貫通用新型核兵器の開発、そのための核爆発実験の再開など、常軌を逸した、おそるべき狂気の計画であり、平和をもとめる人類の英知と希望にたいする倣岸不遜な挑戦である。
 きわめて当然のことなから、全世界からきびしい非難・糾弾の声があがっている。
 あなたのこの計画は、2000年5月のNPT再検討会議の最終文書をも反故にし、国際社会が半世紀をついやして積み上げてきた核兵器廃絶への歩みを一挙に逆転させようとするものである。
 わたしたち、被爆者=広島・長崎の生存者は、あなたの国の政府が57年前に投下したあの2発の原爆によって命を奪われた数十万の死者たちとともに、揮身の怒りを込めてこの暴挙を糾弾する。
 わたしたち被爆者は、みずからの体験にもとづいて宣告する。核兵器は、他の何ものにもまして非人道残虐であり、文字どおり悪魔の兵器でおる。核兵器をもてあそぶものは人間ではなく、悪魔である。

ブッシュ大統領
わたしたちはあなたに問いたい:
 広島・長崎への原爆投下こそ人類史上最大のテロ行為ではなかったのか。
 被爆者が「報復」を唱えたことがあったか。

 あなたはいま、全世界、全人類を敵にまわして悪魔の道を選んだ。わたしたち被爆者は人類の名においてあなたに要求する:
 人道に立ちかえり、核戦略見直し計画を放棄せよ。
 テロ「報復戦争」をすぐやめよ。イラクをふくめ、いかなる国に対してもこれ以上の戦争を継続するな。
 いかなる情況のもとでも核兵器を使うな。
 2000年NPT再検討会議での、核兵器廃絶の明確な約束を守り、ただちにそれを実行せよ。