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米大統領と国連事務総長あての要請書

 日本被団協要請団は12月5日ワシントンの国務省担当者を訪れ、要請しました。また、12日には国連軍縮局情報部長を訪問し、アナン事務総長宛の 文書 を手渡し、要請しました。

2001年12月3日

米国大統領
ジョージ・W・ブッシュ殿

日本原水爆被害者団体協議会
代表委員 坪井 直
同  山口 仙二
同  藤平 典
事務局長 田中熙巳

要 請 書

 広島・長崎の原爆地獄の生存者から緊急のお願いです。人類史上最大の殺戮を身をもって体験した私たちとしては、9月11日のテロリストたちの暴挙を怒りを込めて糾弾すると同時に、いまアフガニスタンとその周辺で起こっている事態を前に大きな危機感と恐怖を抑えることができません。私たちは、その思いを別添の2つの「声明」(2001年9月28日付と10月15日付)で表明しました。
  私たちは、たとえようもない苦痛の生涯を生き抜いてきた体験に照らして、テロリストたちに対する怒りと犠牲者への悼みを貴殿と分かち合いたいと思います。けれども、貴殿が唱えておられるテロに対する「報復」を肯定することはできません。テロを根絶するためには、その根源を断ち、不正義を正さなければなりません。暴力に対して暴力で報復すれば、それは暴力の悪循環を生み、真の平和と正義の確立を遅らせるばかりです。
  私たち被爆者は、広島・長崎への原爆投下に報復を唱えたことはありません。反対に「ふたたび被爆者をつくるな」と、核兵器のない世界を求めつづけてきました。
どうか、テロに対する報復「戦争」を直ちにやめられ、中東における正義の回復に力をつくされますようお願い申し上げます。
  なお、「声明」では触れていませんが、従来から幾度もお願いしてきた以下の諸問題についてもここに重ねて要請するものです。

1. 昨年5月のNPT再検討会議で貴国をふくむ核保有5カ国が同意され、秋の国連総会においてもこれを再確認された「自国の核兵器の完全な廃絶を達成するという明確な約束」を直ちに実行に移してください。

2. 貴殿のイニシアチブで国際会議を開き、核兵器廃絶の国際条約を1日も速く締結させてください。

3. 臨界前核実験をふくむ核実験、核兵器の研究、開発をやめてください。

4. CTBTの批准を促進してください。ABM条約の見直し、ミサイル防衛構想の推進など、核兵器廃絶に逆行する政策をやめてください。

5. 日本に核兵器を持ち込まないでください。持ち込まれた核兵器と核兵器搭載艦船・航空機等があれば、それらをただちに撤去してください。

2001年12月12日

国連事務総長
コフィ・アナン殿

日本原水爆被害者団体協議会
代表委員 坪井 直
同  山口 仙二
同  藤平 典
事務局長 田中熙巳

要 請 書

 広島・長崎の原爆地獄の生存者から緊急のお願いです。人類史上最大の殺戮を身をもって体験した私たちとしては、9月11日のテロリストたちの暴挙を怒りを込めて糾弾すると同時に、いまアフガニスタンとその周辺で起こっている事態を前に大きな危機感と恐怖を抑えることができません。私たちは、その思いを別添の2つの「声明」(2001年9月28日付と10月15日付)で表明しました。
  私たちは、たとえようもない苦痛の生涯を生き抜いてきた体験に照らして、テロリストたちに対する怒りと犠牲者への悼みを貴殿と分かち合いたいと思います。けれども、いま米国主導で進められているテロに対する「報復」戦争を肯定することはできません。テロを根絶するためには、その根源を断ち、不正義を正さなければなりません。暴力に対して暴力で報復すれば、それは暴力の悪循環を生み、真の平和と正義の確立を遅らせるばかりです。
  私たち被爆者は、広島・長崎への原爆投下に報復を唱えたことはありません。反対に「ふたたび被爆者をつくるな」と、核兵器のない世界を求めつづけてきました。
どうか、米国に戦争を直ちに止めるよう忠告せられ、国連の主導のもとに中東における正義の回復に力をつくされますようお願い申し上げます。
  なお、従来から幾度もお願いしてきた以下の諸問題についてもここに重ねて要請するものです。

1. 核保有国の「自国の核兵器を廃絶するという明確な約束」を直ちに実行に移させるようイニシアチブを発揮してください。

2. 核兵器廃絶の国際条約を1日も速く締結するための国際会議をできるだけ早く開催してください。

3. 核兵器廃絶の世論をいっそう大きくするために、NGOとの連携のもとに「ヒロシマ・ナガサキ」をはじめ、世界各地の核兵器による被害の実態を調査し、核兵器の恐ろしさを世界に広く知らせることに力をつくしてください。そのために、私たちに日本の被爆者の証言と資料を利用してください。