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ロシアの3回に及ぶ臨界前核実験に抗議

日本被団協は9月5日、ロシア大使館を通じてプーチン大統領に臨界前核実験に抗議する文書を送りました。

2000年9月5日

ロシア連邦大統領
ウラジミル・プーチン閣下

日本原水爆被害者団体協議会
代表委員 藤平 典
代表委員 坪井 直
代表委員 山口 仙二
事務局長 田中熙巳

臨界前核兵器実験に抗議する

 貴国の原子力省は9月4日、去る8月28日、30日と9月3日の計3回にわたって臨界前核実験を、北極海のノバヤゼムリア島の核兵器実験場で実施したことを明らかにした。
  実施理由はこれまでと同様、核兵器の信頼性と性能維持が目的であるとしている。信頼性確認の実験がこれほど度々行わなければならない必要があるのか、新しい核兵器の開発を目ろんでいるのではないか、疑問を抱かざるを得ない。
  55年前の第二次大戦末期にアメリカが投下した原子爆弾により人類史上かつてない惨害をこうむった広島、長崎の被爆者は、自らの体験にもとづいて「ふたたび被爆者をつくるな」と叫び続けてきた。一方で、核兵器はその製造・実験の過程でも世界の各地で想像を絶する数の放射線被害者をつくりだしている。核兵器は人類と共存できない狂気の兵器であることを指摘し、核保有国をはじめ、すべての国々に、核兵器廃絶のための国際条約締結をめざして直ちに行動することを求めてきた。
  貴国の臨界前核実験に対しては、1998年12月に初めて実験を実施して以来、今年1月8日の実施まで、一貫して抗議し、その停止を要請してきた。この要請を無視して、またも、臨界前核実験を強行したことに満身の怒りを込めて、重ねて抗議する。しかも、閣下を始め貴国の幹部が来日し、貴国との平和友好、経済協力の話し合いを進めているとき、日本の被爆者の感情を逆なでするような今回の実験の報道に接し、強い憤りを禁じ得ない。
  核兵器による威嚇とその使用は国際法と人道法に違反することは、国際司法裁判所の勧告的意見からも明らかである。近年の国連総会の決議にも明らかなように世界の政治は核兵器廃絶へ向けて大きく動き出している。核大国である貴国はアメリカとともに核兵器の廃絶に向けてただちに交渉を開始すべき人類史的使命を自覚しなければならない。

 私たちは全人類の名において貴閣下に要求する。
1. 臨界前核兵器実験をこれ以上繰り返すな
2. 新たな核兵器の開発計画を放棄せよ
3. 国連総会とNPT再検討会議の最終文書の合意にしたがって、核兵器廃絶のための国際条約をすみやかに締結せよ