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「被団協」新聞2018年10月号(477号)

2018年10月号 主な内容
1面 吉永小百合さんがトーク 「核兵器の全面的廃絶のための国際デー」記念イベント
グテーレス国連事務総長から手紙
2面 <秋の相談事業講習会>東北ブロック・青森 ― ヒバクシャ国際署名活動交流も
「国際平和デー」記念行事 2020年までに核兵器廃絶を 広島
<秋の相談事業講習会>四国ブロック・愛媛 ― 原発問題の講演も
日本政府の条約参加、なんとしても ヒバクシャ国際署名行動で訴え 千葉県連絡会
次世代への継承目標に 福岡市博多支部が原爆展
3~5面 グテーレス国連事務総長が軍縮アジェンダをジュネーブ大で講演
 人類守る軍縮 人命救う軍縮 未来世代の軍縮

5面 非核水夫の海上通信 170
7面 あの日、この場所で起こったことを後世に伝えたい 広島・己斐小学校
胎内被爆者の証言を朗読 朗読グループ「はじめの一歩」
証言のつどい開く 原爆被爆者相談員の会 広島
活動維持募金にご協力ください
8面 原爆症認定の病気の診察を、近くの診療所や在宅で受けるには
「償ひは未来の非戦原爆忌」

 

吉永小百合さんがトーク
「核兵器の全面的廃絶のための国際デー」記念イベント

「日本に住む私たちみんなで声を出し政府に届け、核兵器禁止条約に批准を」
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川崎哲さん(左)と吉永小百合さん(右)
〈撮影・水本俊也〉
田中代表委員

田中代表委員の基調講演

 第1部では、田中熙巳日本被団協代表委員の基調講演、ICAN国際運営委員の川崎哲さんと俳優の吉永小百合さんのトークがありました。
 田中さんは、「核兵器廃絶への道筋に光は見えた」と題して講演しました。はじめに2010年代に入って核兵器の非人道性に焦点が合わされるようになり、昨年7月に国連で核兵器禁止条約が採択されたことを述べ、「署名も批准もしない」と言っている日本政府を動かすことが私たちにとって最大の課題である、と述べました。同時に、核保有国とその同盟国の核抑止政策を変えることの必要性を強調。「原爆の被害者からみれば、これからの戦争で武器を使ってやるということは、究極的には核戦争になってくるものではないかと恐れています。二度と核は使ってはいけない、核をなくす、核に頼ろうとする考えは間違っていることを、日本国民が肝に銘ずることではないかと思います」として、憲法第9条の重要性を指摘しました。
 また、外務省の「軍縮教育」はささやかな教育しかやっていない、として「核兵器廃絶教育を若い人たちにやっていただきたい」と訴えました。
 世界中の市民を動かすためにヒバクシャ国際署名を活用し、核兵器禁止条約をすみやかに発効させていきたい、皆さんとご一緒に取り組んでいきたい、と述べました。

吉永小百合さんのトーク

 川崎さんとの対談で吉永さんは次のように述べました。
 本当に素晴らしい核兵器禁止条約がつくられたのですが、まだまだ、日本ではそれを知っている人も少ないような気がします、ですから私たちの力でもうちょっと大きな声を出して、政府に届けて、(政府は)アプローチが違うとかおっしゃいますが、なんとか批准して発効させ、核兵器のない本当の平和な世界を作っていくことが大事なのではと思っています。
 若い人たちは禁止条約は『いいね』とネットで意思表示することもできると思います。日本のみんなが、もっともっと知って、核兵器は絶対ない方がいいし核の傘はいらないということを、みんなが思えるよう、友だち同志でも話し合えたらと思います。
 9月の初めにオーストリアに行き、原子力発電所が一つも稼動していないことを知りました。チェルノブイリ事故の後、国民投票で50%以上の人がノーと言って稼動しなくなったそうです。いさぎよい決断に感銘を受けました。
 日本は唯一の被爆国でたくさんの方々が亡くなってつらい思いをしていらっしゃるということを考えると、絶対に核兵器は止めましょうと自ら言うべきではないかと思います。
 今まで60年映画の世界にいて、3本、原爆の映画を撮っています。その体験から、私の声は小さいですけれど、みんなに『核兵器のことを考えましょうよ』と言いたいなと思っています。

木戸季市事務局長の訴え

 第1部終了後、日本被団協の木戸事務局長が、「私たちが生きている間にどうしても核兵器をなくしたいと、2016年に始めたヒバクシャ国際署名を、今年も国連第1委員会に届けます」とあいさつしました。

パネルディスカッション

 第2部は軍縮教育をテーマに、国連広報センターの根本かおる所長の司会で、今西靖治外務省軍備管理軍縮課長、ミドルベリー国際大学院の土岐雅子研究員、サガサキ・ユース6期生の工藤恭綺さんによるパネルディスカッションでした。


グテーレス国連事務総長から手紙

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「国連は、被爆者の体験を共有し協力しあうことを約束します」

 日本被団協は8月6日の中満泉国連事務次長との懇談の際に、木戸季市事務局長からアントニオ・グテーレス事務総長あての手紙を託していました。核兵器禁止条約採択を歓迎し、「被爆者と国連は、核兵器をなくし、人類を救おうという思いを同じにしています」などと伝える内容でした。
 これに対し8月16日付の返信が郵送で届きました(写真)。日本語訳を全文ご紹介します。

 親愛なる木戸さま、
 2018年8月8日、9日の長崎への公式訪問中に日本被団協の皆さまにお会いできたことに心から感謝申し上げます。
 広島と長崎は、核戦争の真の恐怖にさらされた唯二つの都市です。その恐怖を目の当たりにしながら核軍縮の提唱者として、被爆者は、人生をとおして人類のために重要な役割を果たしてきました。
 私は、この旅の間に出会った人々に感銘を受け謙虚になりました。私は彼らの、記憶とともに抱えている重荷を乗り越えたやさしさに、深い励ましを受けています。
 被爆者の証言は、核兵器の脅威のない世界のために活動をつづけるという私の決意を新たなものにします。国連は、被爆者の体験を共有し引き続き協力しあうことを約束します。
 原爆で亡くなった人々、苦しんできた被爆者に対し、世界は、彼らが耐え忍んだ悲劇が決して繰り返されないようにする義務があるのです。
 敬具
アントニオ・グテーレス


<秋の相談事業講習会>東北ブロック・青森 ― ヒバクシャ国際署名活動交流も

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 9月2~3日、青森県八戸市種差海岸のホテルで、東北ブロックの相談事業講習会が開催されました。青森、岩手、秋田、宮城、福島の各県から被爆者と支援者40人が参加しました。
 1日目は青森県原爆被害者の会藤田和矩会長の開会挨拶、中央相談所委員会の木村緋紗子委員(日本被団協代表理事)から主催者挨拶のあと、原玲子相談員から「被爆者援護と介護問題」のテーマで講演。ケアマネジャーの選び方や家族介護手当の活用などについて話され、困ったときは相談所発行の「問答集―介護編」を活用するよう紹介されました。
 次に、長年被爆者外来を担当しておられるあおもり協立病院の竹本照彦医師からお話があり、その質疑の中で、保健師が相談事業を担当している青森県の例は全国的にも貴重だということが判りました。
 ヒバクシャ国際署名の活動交流では、ひとりで2500人分を集めた岩手県の伊藤会長の取り組みをはじめ、貴重な経験が交流されました。
 2日目は、田中熙巳日本被団協代表委員から「核兵器禁止条約をめぐる情勢と今後の取り組み」のテーマで報告がありました。(辻村泰子)


「国際平和デー」記念行事 2020年までに核兵器廃絶を 広島

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 9月21日、広島では平和文化センターの主催で国連が定めた「国際平和デー」の記念行事を開催しました(写真)。
 集まったメンバーは、広島市役所平和推進課職員、2つの広島県被団協役員、生協広島県連、高校生ほか趣旨に賛同した約30人でした。
 平和公園の慰霊碑前で献花、黙とうしたのち平和文化センターの常務理事があいさつ。全員で2020年までの核兵器廃絶を訴える大弾幕を掲げました。(箕牧智之)


<秋の相談事業講習会>四国ブロック・愛媛 ― 原発問題の講演も

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 9月16~17日、四国ブロックの相談事業講習会が、愛媛県松山市の道後温泉で開催されました。
 初日は「被爆者と介護問題」について中央相談所相談員の原玲子さんの講義があり、その後「『核、戦争のない世界』は可能か」の演題で藤森俊希日本被団協事務局次長の講義を受けました。おふたりともそれぞれに熱のこもった講義で、参加者アンケートでは「よく理解できた」が大多数でした。同夜は懇親・交流会があり、参加者全員が一人ずつ日ごろの思いなどを出し合い和やかで楽しく過ごしました。
 2日目は「被爆者はいま、原発をどう伝えるべきか」と題する松浦秀人代表理事の講演に続いて各県の活動経験交流を行ない正午前に散会しました。参加者は講師を含め21人でした。(松浦秀人)


日本政府の条約参加、なんとしても
ヒバクシャ国際署名行動で訴え 千葉県連絡会

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 千葉県ヒバクシャ国際署名推進連絡会は、9月17日12時半から13時半まで、JR本八幡駅北口で第10回統一行動を行ないました(写真)。千葉県原爆被爆者友愛会はじめ11団体から32人が参加しました。署名は104人分でした。
 参加団体の代表がリレートークで訴え、アカペラで歌う「青い空は」の歌など、行き交う人の目をひきました。リレートークの発言からは、なんとしても日本政府に核兵器禁止条約への署名・批准を迫ろうとの熱気が感じられました。また署名をしてくれた男性は「安倍政権を替えなくては。頑張れ」と励まして立ち去りました。
 次回は11月17日、JR津田沼駅北口を予定しています。(児玉三智子)


次世代への継承目標に 福岡市博多支部が原爆展

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 福岡市原爆被害者の会博多区支部は8月12日、9回目の「原爆と人間」展を博多市民センター視聴覚室で開催しました。136人の参加がありました(写真)。
 今年の特徴は、小学生、中学生、留学生とのコラボレーションが実現したことです。次世代への継承を目標として活動している私たちですが、年々バトンを渡すことができつつあり、いい関係が生まれて、今後も連帯が続くよう努力していく決意です。
 昨年までは「あの日の出来事」の台本を、当時の被爆年齢にあった学童に出演してもらい、集団で朗読してもらっていましたが、今年は小学校の平和授業感想文の中から4人分と、中学2年女子2人の作文を代読。ネパールとベトナムの学生がスピーチし、参加者とのディスカッションで中国の学生が発言しました。
 弁護士さん中心に編成された「ひまわり一座」の憲法劇や、最後には会場全体がうたごえで盛り上がり、充実の原爆展を終えました。スタッフの方たちの応援があって成功につながりました。準備の中で会員が4人増えました。大きな成果といえます。(吉崎幸恵)


グテーレス国連事務総長が軍縮アジェンダをジュネーブ大で講演
 人類守る軍縮 人命救う軍縮 未来世代の軍縮

2018年5月24日
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8月9日長崎平和祈念式典で挨拶する
グテーレス事務総長

 アントニオ・グテーレス国連事務総長が5月24日、軍縮アジェンダ(行動計画)「共通の未来のために」の発表に際してスイスのジュネーブ大学で講演しました。ポルトガル出身で1995年~2001年は同国の首相を務めました。2017年1月1日に国連事務総長に就任し、今年8月9日には国連事務総長として初めて長崎平和祈念式典に出席しました。講演全文をご紹介します。(日本語訳・国連広報センター)


 学生の皆さん、学長ならびに教職員の方々、スイス国家評議会議長、来賓の方々、皆様、このような温かい歓迎を受け優しいお言葉をいただき、心から感謝いたします。
 ここジュネーブに戻って来られたことは、私にとって特段の喜びです。
 ここで皆様とともに、地球規模の重大な不安要因、すなわち、あらゆる種類の武器がもたらす脅威という問題について議論できることは光栄です。
 私は平和と外交、そして人道援助活動の世界の中心地であり、多くの紛争を予防、解決してきた平和構築機関の本拠地が集まるここジュネーブで私の軍縮アジェンダを発表したいと考えていました。
 私たちにその機会を提供していただいたジュネーブ大学の善意に感謝いたします。
 ここ数週間、あるいは数カ月の間、イランとシリア、朝鮮半島との関連で、軍備管理の問題が毎日ニュースになっています。
 こうした最近の動向について、少しお話ししたいと思います。
 私は、シンガポールで予定されていた米国大統領と朝鮮民主主義人民共和国の指導者の会談が中止となったことを、深く憂慮しています。そしてこの両者に対し、対話を続け、朝鮮半島の平和的かつ検証可能な非核化に向けた道を模索するための対話を続けるよう、強く訴えたいと思います。
 私はまた、欧州連合(EU)をはじめ、イランと協力して包括的共同作業計画(JCPOA)の維持をはかるあらゆる動きを歓迎します。
 国家間のこのような合意は、地球規模の平和と安全保障に不可欠です。
 しかし、今日、私が発表する軍縮アジェンダは、核兵器や大量破壊兵器の範囲にとどまるものではありません。
 軍縮はあらゆる国、また、手榴弾から水素爆弾に至るまで、すべての武器に関わる問題です。
 これらの兵器は私たち皆を危険に晒しており、各国の指導者はこの危険性を最小限に抑える責任があります。
 各国が他の国の安全保障を顧みず、自らの安全保障だけを追求すれば、すべての国を脅かす地球規模の安全保障上の不安を生み出してしまうという矛盾がうまれます。
 軍縮は、軍備管理、不拡散、禁止、制限、信頼醸成、そして必要に応じて廃絶を含め、私たちの世界と未来を守るために欠かせない手段です。

 皆様、学生の皆さん、私たちは危険な時代を生きています。
 冷戦時代のような緊張関係が復活しており、しかもそれを取り巻く世界は以前よりも複雑です。
 ジュネーブの学生である皆さんの大半は、冷戦の時代にはまだ生まれていなかったでしょうが、冷戦時代は二つの超大国の勢力争いを全世界が固唾を飲んで見守っていました。ギリギリで回避された事態を含め、事故や誤った警報は数多くあったものの、私たちは幸いにも、核戦争を回避することができました。
 今、世界は多極化に向けて進んでいます。国際関係はより複雑で、予測できなくなっています。交流と対話のメカニズムはかつて緊張を緩和し、偶発的な事件が大規模な紛争に発展しないようにすることに寄与してきました。しかし今日、これらのメカニズムはうまく機能していないように見えます。
 同時に、戦争の性格自体も変わりました。
 今日の紛争はより頻繁で長期化し、一般市民への被害も大きくなっています。内戦は地域的、世界的な利害関係と結び付いています。紛争当事者は、場合によっては、暴力的過激派戦闘員やテロリスト、民兵組織、あるいは普通の犯罪者集団であることもあります。しかも、こうしたグループは銃だけでなく、ドローンや弾道ミサイルを含む大量 の武器を所持し、常にその増強を図っています。
 全世界、特に最も危険な地域で、軍事費が増大し、軍備競争が加速しています。
 昨年の軍事支出は、兵器購入額を含めて1兆7000億ドルを超え、ベルリンの壁崩壊後の最高となりました。この額は、全世界の人道援助に必要な金額の約80倍にも当たります。
 化学兵器も再び使用されています。国際社会は分裂し、効果的な措置を講じることができていません。
 戦場での使用を念頭に製造された強力な破壊力を持つ爆弾が、今では一般市民の居住区で使われています。
 また、既存の法律や条約の枠組みを越えかねない、人工知能や自律型システムを用いた新型兵器も生まれてきています。
 その一方で、貧困に終止符を打ち、健康と教育を促進し、気候変動に対処し、地球を保護するための取り組みに必要な支出がされていません。
 私の軍縮アジェンダには、このような背景があります。

人類を守る軍縮

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8月8日長崎で被爆者と懇談する
グテーレス事務総長(中央)
 学生の皆さん、皆様、私のアジェンダには優先課題が3つあります。それは人類を守るための軍縮、人命を救うための軍縮、そして未来世代のための軍縮です。
 第1に、人類を守るための軍縮は、核兵器、化学兵器、生物兵器という大量破壊兵器の削減と廃絶をねらいとしています。
 核兵器の完全な廃絶は、国連のDNAと言えます。事実、1946年に採択されたまさに最初の総会決議は、この問題を扱っています。
 そして、今日においても、核兵器の完全な廃絶は私たちの優先課題であり、私もその実現に向けた決意を新たにしています。しかし、この目標の達成に向けた努力は、深刻な危機的状況に直面しています。
 核兵器廃絶に関して、私たちの世界は後退しています。
 冷戦中を通じて、またその直後においては、困難な交渉ではあったものの、軍備を削減し、核実験を違法化し、特定の範疇のミサイルをすべて廃棄する合意に達することが可能でした。
 超大国間にコミュニケーションのチャンネルがあったことで透明性が高まり、信頼が醸成され、リスクは削減されていました。
 ベラルーシ、カザフスタン、ウクライナの旧ソ連3カ国は、ソ連崩壊後保有していた核兵器を放棄しロシアに送還しました。南アフリカは核兵器を自ら一方的に廃棄しました。他の国も同様に前向きな措置を取りました。
 当時の世界のリーダーは、軍備管理の用語と論理を巧みに操りました。それが安全保障と不可分であることを理解していました。
 しかし今、その時代の軍備管理・軍縮の合意がかつてない脅威にさらされています。
 現在、核兵器国間の戦略的対話は限られています。
 ロシアと米国の間で、さらなる核兵器削減に向けた二国間交渉はまったく行われていません。
 各国政府は、旧型の兵器システムの最新化をはかり、新たなシステムを開発し、量ではなく質に基づく「新たな軍拡競争」と呼ばれる競争に突入しています。
 世界には依然として、約1万5000発の核爆弾が備蓄されています。そのうち数百発は数分のうちに発射できる体制にあります。私たちは、たったひとつの機械的、電子的、人為的エラーが、一つの都市全体を地上から跡形もなく消し去る大惨事を引き起こすリスクに直面しているのです。
 核兵器不拡散条約(NPT)は国際の平和と安全保障の維持に中心的な役割を果たしていると広く考えられています。
 50年近く前に成立したこの画期的な条約は、核兵器を保有する国の数を10カ国未満に抑えることに成功しました。その保証措置体制は、民生用原子力プログラムの平和的利用を保証しています。
 しかしそれだけではなく、核兵器不拡散条約は核軍縮を促す環境の維持に欠かせない存在です。
 核不拡散と核軍縮は表裏一体の関係にあります。このふたつが相まって、核兵器国と非核兵器国の間の相互の法的取決めを構成しています。
 どちらかが破棄されれば、もう一方の破棄につながるということから、現在、この条約の将来が懸念されています。
 私は非締約国を含むすべての国に対し、NPTに基づく不拡散と核軍縮の義務と確約を遵守するよう訴えます。
 核兵器国、非核兵器国のいかんにかかわらず、すべての国が協力して、両者を分断する亀裂を埋めなければなりません。
 この違いを、人道上の配慮と、安全保障上の配慮の選択と捉える人もいます。しかし、これは誤った二分法です。
 人間の安全保障、国家の安全保障、そして世界の安全保障は切り離すことができません。人々がその生命に不安を感じていれば、そのコミュニティーや社会、そして国家のリスクも高まります。人々が安全であれば、その国も世界も安全になります。
 昨年採択され、2017年ノーベル平和賞授賞の主な理由にもなった核兵器禁止条約は、核兵器が提起する脅威に恒久的な終止符を打つことに、国際的な強い支持があることを実証しました。
 それはまた、核軍縮交渉の行き詰まりを打開するための呼びかけでもありました。

 学生の皆さん、皆様、核兵器保有国には、第一義的な責任があります。これらの国は、核兵器の使用を防止し、核戦争の危険を低減し、不拡散と核軍縮に関する努力をリードしなければなりません。
 そしてそれは、具体的な基準とタイムラインを定め、自国の義務を果たすことから始めなければなりません。こうした義務の中には、もう数十年も履行が遅れているものもあります。
 私はロシア連邦と米国に対し、中距離核戦力全廃条約をめぐる争議を解決し、3年後に有効期限が満了する新START条約を延長するとともに、核兵器の保有量削減に向けて新たな措置を講じるよう訴えます。
 両国は、他の核兵器保有国とともに、多くの重要な分野で具体的な行動を取ることにより、核兵器がもたらす危険の削減に向けた努力を至急、復活させるべきです。
 ここで、本日発表された私の軍縮アジェンダの本文から引用させていただきます。
 すなわち「これらの具体的な行動分野としては、あらゆる核兵器の総保有量の削減、核兵器の不使用の確保、軍事的な戦略および政策における核兵器の役割と重要性の減少、核兵器システムの即応能力の低下、高度な新型核兵器の開発の抑制、核兵器プログラムの透明性の向上、信用と相互信頼醸成措置が含まれます。」ということです。
 私はこうした努力を全力で支援していきます。
 過去72年間続いた核兵器を使用しないという慣行が、今後も恒久的に継続され不可侵の規範として普遍的に理解されるよう、すべての政府がその政策と行動を通じて努めるべきです。
 同じことは、核実験禁止についても当てはまります。包括的核実験禁止条約(CTBT)は、新型兵器の開発を抑制することにより軍拡競争に歯止めをかけるものです。
 朝鮮民主主義人民共和国を除くすべての国の政府は、過去20年間にわたって核実験のモラトリアムを守っています。CTBTが署名に開かれた1996年以来、国際社会はこの規範のあらゆる違反に対応してきており安全保障理事会も2016年、CTBTを支持する決議を採択しています。
 私はCTBTに加入していない国々に対し、滞りなく加入するよう訴えます。
 私たちは、核兵器に関する新たな理解と合意を形成していく一方、これまでに達成した貴重な成果を維持する必要があります。
 成功への唯一の道は対話と交渉であり、これを私たちの努力の指針としなければなりません。
 私は、リスク削減と信頼醸成を図る新たなアプローチや措置を模索するために、非公式な対話の場の設置を含め、加盟国に直接働きかけて、政府間の対話を促進する所存です。
 私たちは専門家との技術的なレベルの作業をさらに推進し、核兵器のない世界に向けた道を切り開くための実際的な措置を講じていきます。
 これらの措置の中には、非核兵器地帯の強化から、兵器用核物質の生産中止、戦略的核兵器運搬システムの制限、核軍縮を検証するためのアプローチへの合意に至るまで、部分的軍縮措置が含まれるべきです。
 核兵器のない世界という普遍的な目標の達成に向けて、これを緊急な課題として捉えて、私たちみんなで力を合わせましょう。

 学生の皆さん、皆様、私たちは他の大量破壊兵器、特に化学兵器の使用を終結、防止するための対策を施していきます。
 2014年以来、化学兵器禁止機関の事実調査団はシリアで化学兵器使用の疑いのある83件の事件を調査しました。この調査団は、これまで14件において化学兵器が使用されたか、その可能性が濃厚であると報告しています。化学兵器の使用はいずれも国際法上の犯罪です。また、化学兵器が広範に使用されれば、それは人道に対する罪となります。
 安全保障理事会は、こうした攻撃の責任を確実に追及する責任を果たしていません。
 私は化学兵器の完全な禁止という決意を再確認し、尊重できるよう、安全保障理事会の理事国と協力し、新たなリーダーシップと結束を築き上げるよう努力しています。
 化学兵器の使用者を特定する新たな中立的メカニズムの創設が必要です。シリア、もしくは他の国で、化学兵器が処罰を受けずに引き続き使用されることを許すことはできません。私はまた、化学兵器禁止条約とその制度を強化し、確実にこの画期的な条約を全面的に履行するため努力する所存です。化学兵器の保有も使用も決して許してはなりません。
 私たちは、生物兵器の禁止を堅く守り、そのための能力をさらに向上させねばなりません。
 科学技術の発展が生物兵器の開発と使用を容易にする中で、これらの兵器に関する懸念も高まり続けています。しかし現在のところ、生物兵器禁止条約を支える組織も査察機関も存在しません。
 よって私は、加盟国と協力し私に与えられた権限に基づき、すべての生物兵器使用の申し立てを調査するための中核となる常設メカニズムの設立に努めたいと思います。
 私はまた、生物兵器禁止条約の制度的能力の強化を含め、長期的な解決策も模索する意向です。
 化学・生物兵器を禁止する規範と条約の強化は、人類全体の利益となります。これらの兵器は禁止されており、決して使用されるべきではありません。

人命を救う軍縮

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8月6日広島で日本被団協と懇談した
中満事務次長(右から2人目)も
軍縮アジェンダを強調しました
 学生の皆さん、皆様、私の第2の優先課題は、通常兵器の被害を削減、軽減することにより、人命を救う軍縮です。
 即製爆破装置から弾道ミサイル、ロケット弾、大砲、さらには不法な拳銃に至るまで、通常兵器が幅広く入手できることが、武器を用いた暴力を助長し、世界の多くの地で混沌を生んでいます。
 軍事産業は、ますます多くの武器を生産し、武器取引の市場は拡大しています。
 各国、特に紛争が多い地域の国は、大量の通常兵器を蓄積しています。
 私たちはこのような不安定化をもたらす動向に対処せねばなりません。すでにこれまでいくつかの通常兵器を禁止・制限する条約が人命を救い、生き残った人々の生活を改善しています。
 対人地雷やクラスター弾は、何年も前から禁止されています。人道的理由により武器の売却を規制する武器貿易条約は、2014年に発効しました。
 しかし、こうした成果にもかかわらず、一般市民は依然として、武力紛争の矢面に立たされています。
 驚くべき数の一般市民が死傷しているだけでなく、紛争は記録的な数の難民を生み出し、食料や医療、教育の機会、そして生計手段を奪っています。2016年末時点で6500万人以上が戦争や暴力、迫害によって家や土地を失っています。
 武力紛争の主戦場が市街地へ波及することで、爆薬を使った兵器は特に一般市民の間で多くの死者を出しています。
 爆弾が市街地で用いられた場合死傷者の約90%は一般市民となります。こうした兵器は、病院や学校、水道、電力供給にも壊滅的な被害を及ぼします。
 これが、私が市街地での爆弾の使用に関する適切な制限や共通の基準、政策を設定しようとする各加盟国の努力を支援する理由です。
 私はまた、一般市民の死傷者のデータ収集も重要と考えます。政策や軍事作戦の手順と行動を変え、一般市民の保護のための世界的な基準を作るためには、さらに証拠となる統計が必要だからです。

 学生の皆さん、皆様、国連は、非合法な小型武器と弾薬が氾濫する状況に対し、平和と安全保障、男女の平等、持続可能な開発、国境を越えた犯罪、テロ対策、人道支援など、多くの角度から取り組んできました。国連のPKO要員はいろいろな国で武装解除プログラムに取り組んでいます。PKO要員は、持続的な平和に関する私たちの活動に不可欠な一部となっています。
 しかし、これらの活動は20もの異なる機関にまたがり、断片的かつ限定的です。
 それゆえに私は、小型武器の不法な流通と取引に対処する新たなイニシアティブを発表します。それは武器の回収と破壊を含め、不法な小型武器に取り組む政府の対策及び法的・政策的枠組みを支えるための資金を平和構築基金から充当するというものです。
 国連のPKO要員は全世界で武装解除プログラムに取り組んでいます。
 私のイニシアティブは、平和と繁栄を達成するための地球規模の取り組みである「持続可能な開発のための2030アジェンダ」を基盤としています。
 兵器への過度の支出は、持続可能な開発の資源を枯渇させます。また、安定した包摂的な社会、強力な行政・司法制度、効果的なガバナンスと民主主義、そして人権尊重の文化の創出とも相容れません。
 また、この問題にはジェンダーとも強い関連があります。たいていの場合、銃は男性的な特性を象徴しています。小型武器の所有者と使用者の圧倒的多数は男性です。女性は銃による暴力の実行犯になるよりも、犠牲者になる確率のほうが何倍も高いのです。
 小型武器が過剰に氾濫する状況は、性的暴力を助長し、伝統的な男女の性別に基づく役割分担と力関係を固定化させるものです。私たちはこの悪循環を断ち切り、暴力と流血の文化を防がなければなりません。

未来世代の軍縮

 学生の皆さん、皆様、私の第3の優先課題は、未来世代のための軍縮です。
 科学技術の進歩は、私たちの生活を多くの側面で変え、より良いものにしています。
 技術の進歩は、貿易と繁栄を増大するとともに、世界の多くの場所で生活を改善してきました。
 ビッグデータと解析、人工知能、自動化を含む技術は、私たちが気候変動の影響に対処し、これを緩和し、環境を保護し、あらゆる人の利益となる成長と開発の条件を作り出すことに役立つはずです。
 しかし、こうした進歩の多くは、危険かつ忌まわしい新兵器技術にも応用可能です。
 これらの技術は新たな戦争の領域を切り開き、さらなる軍拡競争の発端になりかねません。
 既存の法的、人道的、倫理的規範を侵すおそれのある進展も見られます。自律型兵器が誕生する可能性はすでに、相当の社会不安を生んでいます。人間はいつでも、武力の使用を統制できる立場にいなければなりません。
 中には武装無人偵察機のように、長年の国際法解釈に抵触しかねないものもあります。私たちには説明責任、透明性、監視を推進する共通の基準が必要です。
 また、遺伝子編集や合成生物学の進歩のように、新しいタイプの生物戦を可能にし、これらの禁止兵器の使用を容易にしかねないものもあります。これもまた、生物兵器禁止条約とその体制を強化すべき理由のひとつです。
 極超音速弾道ミサイルや宇宙兵器の開発が続けば、安全保障に対する新たな脅威が生まれ、核軍縮問題がさらに複雑化するおそれがあります。
 その一方で、悪質なサイバー空間の使用が増え、その影響はますます広がりつつあります。
 誰もが望まないでしょうが、もし世界で大規模な武力衝突が勃発するとすれば、私は大規模なサイバー攻撃がきっかけとなるに違いないと思っています。
 国連憲章を含め、国際法がサイバー空間にも適用されるというコンセンサスはすでに存在しています。
 しかし、実際に国際法がどのように適用されるのか、また、国家が法律の枠内で悪意ある、または敵対的な行為にいかに対応できるのかについては、コンセンサスはありません。
 重要インフラへのサイバー攻撃は、国際関係や平和と安全保障に深刻な影響を及ぼしかねません。大量破壊サイバー兵器の出現に直面する可能性さえあります。
 新兵器技術のリスクが重なれば、私たちの将来の安全保障の仕組みを一変させるような衝撃を与えるおそれさえあります。
 この分野での私たちの軍縮への取り組みも、これまでの流れを変えるような、紛争防止を念頭においたインパクトのあるものでなければなりません。
 私たちがともにできることはたくさんあります。政府は監視や透明性、説明責任を改善できます。
 すべての国家は、開発中の新兵器が国際法上、適法なのかそれとも禁止されるのかどうかを見極める義務があります。
 そして私は、サイバー空間でなされた行為に起因する紛争を予防するための仲介を行う用意があります。
 私はまた、人間が常に確実に武力の行使を統制することができるよう、法的拘束力のある取極めを含め、新たな措置を創案するために加盟国を支援する所存です。
 私は、平和目的のための科学技術の発展に努める科学者と技術者を呼び集める意向です。私たちは彼らの見識を至急必要としています。
 また、私は民間セクターによる責任あるイノベーションを促す機会も模索します。
 各国政府に対しては、多国間の予防・統制措置を引き続き模索するよう訴えます。

 学生の皆さん、皆様、みんなが団結して行動しなければ、より安全な世界を創ることはできません。政府や専門家、市民社会、個人を含め、私たちが力を合わせて行動した時に、軍縮は最もうまく行くのです。
 私たちの軍縮に対する見方が変わる中で、こうしたパートナーシップも変化しなければなりません。では、私たちの主要な多国間フォーラムである軍縮会議と国連軍縮委員会はどうでしょうか。ともに設立40周年を間近に控えていますが、最近の20年間は、いずれもほとんど成果を上げることができていません。
 これらを再活性化すべき時はすでに来ています。
 そのためには、両者間の調整を進め、重複を排除し、専門知識をよりよく活用すべきことはもちろんですが、何よりも必要なのは、これまでの政治的な立場を変える勇気です。私は加盟国と協力しながら、これを達成できる方法を探ってゆくつもりです。
 今後の一つの道筋として新しい声を取り入れ、二つの機関をできるだけ包摂的かつ多様化させることが挙げられます。
 世界の平和と安全のためのあらゆる活動において、女性が果たすべき指導的役割があります。画期的な軍縮条約を達成したり、国際世論を結集させる役割を担ったことで、何人もの女性がノーベル平和賞を受賞しています。女性はすべての軍縮プロセスに、意思決定者として参加しなければなりません。私はそのためにあらゆる支援を行う固い決意があります。
 この会場におられる学生の皆さんのような若者は、世界に変革をもたらす最も重要な力です。
 皆さんがご自分にとって大切な大義のために時間と労力を費やしたり、ご自分が正しいと思うことを訴えるため立ち上がったり、声を上げて力を発揮されることを私は希望します。
 また、皆さんには地元で行動し、ボランティア活動を行ったり、市民団体を通じて活動したりする機会もあります。
 ソーシャルメディアは人々をつなぐ手段としてかつてない役割を果たし、社会運動や非政府組織、インターネット・コミュニティを通じて、国境を越えて世界中の人々と手を携えることを可能にしています。
 国連は皆さんと力を合わせ、皆さんがさらに大きな声をあげ、時代に必要な変化をリードできるような知識と技能を身に着ける手助けをします。
 私は、皆さんが自分の力とつながりを利用し、核兵器のない世界、兵器が管理、規制され、資源がすべての人に機会と繁栄をもたらすように使われる世界を求めることを希望しています。
 国連は、外交政策の手段としての戦争を廃止するという目標を掲げ、創設されました。
 しかし、それから70年を経た今、私たちの世界はかつてないほど危険になっています。
 軍縮は暴力を防ぎ、これに終止符を打ちます。

 軍縮は持続可能な開発を支えます。
 そして軍縮は、私たちの価値と原則に沿うものす。
 それこそが私が今日、ここで軍縮のためのアジェンダを提示した理由です。
 私はすべての人が力強く立ち上がってくださることを願います。
 ご清聴ありがとうございました。後ほどの議論を楽しみにしています。


あの日、この場所で起こったことを後世に伝えたい

8月6日広島・己斐小学校で 山田玲子(東京)
母校の小学校に慰霊碑
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己斐小学校校庭に立つ慰霊碑

 8月6日、今年も、広島市立己斐小学校で「ピースメモリアルの夕べ」が開かれました。
 1945年8月6日、私は広島市立己斐国民学校5年生の時に運動場で被爆しました。
 己斐町は爆心地から2・5キロメートル西北の山手にある町です。
 原爆投下後、炎に包まれた市内中心地から火傷や怪我を負った裸同然の無残な姿の人たちが次々と街の中や学校に逃げてきて、道路は人で溢れ歩くことができない状態になりました。
 その人たちは声を出す力もなく炎天下で重なり合って倒れたまま7日、8日のうちに亡くなり、9日にはまるでゴミのように集められて名前すら確かめられることもなく運動場で荼毘に付されてしまったのです。その数「2300体」の数字だけが記録として残っています。
 私は、この人たちのことが忘れられず、この場所で起こったことを知らせて残さなくてはならないと、ずっと思い続けていました。
 2008年8月6日、若いひとりの教師によって「ピースメモリアルの夕べ」が己斐小学校で開かれていることを知り感動した私は、この運動場に慰霊碑を建立しようと意志を固めました。
 広島市長(当時秋葉忠利氏)、教育委員会、校長先生と面談して承諾を戴き、己斐町在住で当時在学していた1年生から6年生までの20人に世話人となるよう依頼して、己斐町の各団体の長に賛同と募金をお願いして廻りました。
 碑のデザインは広島市立大学芸術学部長、「祈り」の文字は新藤兼人映画監督に依頼して、2010年7月31日に完成しました。
 碑の完成後には、俳優の吉永小百合さんから色紙が届きました。
 多くの人の支援で碑が完成したことを感謝し、碑の前で毎年引き継がれている「ピースメモリアルの夕べ」に大きな喜びを感じています。

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献花する山田さん(右) 参加者の前には児童の絵が巻かれたろうそくが
並べられ、薄暮の中点灯されました

胎内被爆者の証言を朗読 朗読グループ「はじめの一歩」

保育園で13回目

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 朗読グループ「はじめの一歩」の13回目となる今年の朗読会では、『ヒロシマのいのち』(指田和著)から好井敏彦さん(香川県)の証言を朗読することを決め、そこで初めて「胎内被爆」を知りました。「胎内被爆者等の体験記」も入手し、3人の証言・体験を朗読しました(写真)。
 2005年に朗読会を始めましたが、毎回、原爆と被爆者について知らないことを少しずつ知っていく、その繰り返しでした。15年には「原爆被害者の基本要求」を3人の朗読で20分の台本にまとめました。
 今年7月28日の朗読会(東京・大田区内の保育園)には、好井敏彦さんが台風12号の中香川県から来てくださり、ピアノの弾き語りを披露。子どもも含め33人の参加者に、朗読とピアノの音色が沁みるようにつたわっていくのを肌で感じました。
 聴いてくださる方々とつくりあげる舞台にしたい、来年に向けてチャレンジしようと力をもらいました。(岡本和子)


証言のつどい開く 原爆被爆者相談員の会 広島

 原爆被害者相談員の会は、今年で37回となる被爆者証言のつどいを8月6日広島で開きました。午前中は参加者約220人が11の会場に分かれ被爆者の証言を聞き、意見交流しました。
 午後の全体会では、1981年12月11日に意見書を発表した原爆被爆者対策基本問題懇談会(基本懇)の全14回の会議で何が議論されたのか、田村和之広島大学名誉教授が講演。基本懇意見書は当会発足の契機となったもので、大変興味深い内容でした。当会機関誌『ヒバクシャ』第35号に田村氏の「基本懇で何が語られたか」を掲載しています。頒価500円。ご注文は相談員の会(携帯090―7375―1211)へ。(三村正弘)


活動維持募金にご協力ください

支援者のみなさんにもお願いします
日本被団協

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 被爆者の減少・高齢化に伴い、日本被団協の活動を維持し、進めるために、皆々様に誠に恐縮ですが、日本被団協活動維持募金へのご協力をお願い申し上げます。

 昨2017年は、国連で核兵器禁止条約が採択され、人間の歴史に記憶される画期の年でした。次いでICANにノーベル平和賞が授与され、核兵器廃絶に向け大きなうねりが起こっています。
 日本被団協は、結成当初から国内外で原爆は人間に何をもたらしたか、その実相を伝え、「自らを救うとともに、私たちの体験をとおして人類の危機を救おう」と核兵器の廃絶と原爆被害への国家補償を求め、壮大な運動を行なってきました。
 この運動には多くの活動費が必要ですが、現状では数年で財政的に維持できない日が来るという危機を迎えています。そのため、2016年6月より被爆者を中心に「日本被団協活動維持募金」に取り組み、多くの方々にご協力いただいていますが、この度、日ごろからご支援いただいている皆様に広く訴えることにいたしました。
 ①日本被団協活動維持募金は、2016年から2020年までの5年と期限を定めた募金です。
 ②2018年度は2000万円を目標にしています。
 ③募金額は自由ですが、目安としてお一人当たり年額1万円、または月額1000円をお願いしています。
 ④募金の送金方法は、「郵便振り込み」と「銀行口座からの自動引き落とし」があり、どちらでも結構です。一括送金、1年に1回送金、毎月送金などがあります。
 申し込みは右上の「申込書」に必要事項を記入の上、日本被団協までお送りください。不明な点などは遠慮なくご相談ください。
 日本被団協の活動を保障するための募金をよろしくお願いいたします。
【問い合わせ】電話03―3438―1897、FAX03―3431―2113


原爆症認定の病気の診察を、近くの診療所や在宅で受けるには

 【問】私は原爆症認定患者です。最近は足腰が弱り家の中の移動だけでも大変な状況になってきました。認定病名での診察は認定疾病医療機関指定の病院で受けなければなりませんが、それが難しくなりました。主治医に事情を話して年に2回程度の受診です。それ以外は近くの診療所でみてもらって、認定病名を管理してくれている先生と連携をとってくださっています。
 今後、年2回の受診も困難になると思います。そうした場合、今もらっている医療特別手当は受けられなくなりますか。

*  *  *

 【答】被爆者の平均年齢も82歳を超え、原爆症認定被爆者の多くの方が同じような不安を抱えているのではないかと思います。日本被団協の厚生労働省交渉でも、医療特別手当の更新手続きをなくしてほしいという声がだされています。しかし厚労省は、「今の法制度では検討の余地はない」と答えています。
 受診そのものが困難になり、在宅診療をうけなければならない事態が生じた時、在宅診療を担当している医療機関が認定疾病医療機関の指定を受けていることは少ないと思われます。こうした場合について厚労省は「在宅診療を担当している医療機関に認定疾病医療機関の指定を受けてもらうように」といいます。
 近くの診療所や在宅診療の医療機関に、認定疾病医療機関の指定を受けるよう、お願いしてください。なかなか言い出しにくいとは思いますが、原爆症認定と医療特別手当を受け続けるために指定医療機関でないと困ることを訴えて、相談してみてください。
 認定疾病医療機関の指定を受けるには、一般疾病医療機関の指定を受けていることが必要です。その上で認定疾病医療機関の手続きをすることになります。
 日本被団協としても、在宅診療を担当している診療所等が指定を受けることが難しくないよう、厚生労働省に要請していきたいと思います。


「償ひは未来の非戦原爆忌」

原爆忌俳句大会日本被団協賞

 第52回原爆忌全国俳句大会が9月9日、京都市の立命館大学国際平和ミュージアムで開かれました。昨年から日本被団協が後援団体に加わり「日本原水爆被害者団体協議会賞」が設けられています。
 今年は141人から530句の献句がありました。8月29日に最終実行委員会を開き、28人の選者と献句者による互選との合計で大会賞、京都府知事賞、京都市長賞、各新聞社賞などの入賞句が決まりました。
 日本被団協賞には、德田惠理子さん(京都)の「償ひは未来の非戦原爆忌」が選ばれました。大会賞は林よねさん(愛知)の「敗戦を知らぬ兵士の墓洗ふ」でした。
 入賞者には記念の盾と賞状が贈られました。