2017年3月号 主な内容
各地で広がる ヒバクシャが訴える核兵器廃絶国際署名

署名する湯ア英彦広島県知事(右)
湯ア広島県知事が署名
湯ア英彦広島県知事は2月20日、県庁に訪れた広島被爆者7団体の代表の要請に応え、「ヒバクシャが訴える核兵器廃絶国際署名」に賛同し署名しました。
坪井直県被団協理事長が署名の趣旨を説明し「忙しい中を対応いただき感謝している。人類の敵である核兵器をなくそうとの一点で署名活動をやっているので知事にも署名をお願いしたい」と署名を要請しました。
要請に応え署名した湯ア知事は「核兵器の廃絶に向けた思いをしっかりと届けたい気持ちで署名した。世界中の人々の力で核兵器禁止に向けて動いていってほしい」と署名の思いをのべました。
要請には坪井氏のほかもう一つの県被団協佐久間邦彦理事長ら各団体の代表が同席しました。
長野県内全首長が賛同
長野県の阿部守一知事と77全市長村長から賛同署名が寄せられました。
長野県では昨年5月末、県生協連、県教組、県原水禁、県原水協、県原爆被害者の会の5者が集まり、署名推進連絡準備会をスタートさせ署名活動をつづけてきました。
9月、全市町村長に署名の訴えと署名簿、返信封筒などを同封して送ったところ、毎月署名が届き、1月末までに全市町村長から寄せられたものです。2月に入って阿部県知事からも寄せられました。
県準備会では個人、団体に呼びかけ3月16日に長野市で署名推進連絡会結成総会を開きます。
賛同署名知事(2月24日現在)
広島県 湯ア英彦知事
長崎県 中村法道知事
栃木県 福田富一知事
神奈川県 黒岩祐治知事
長野県 阿部守一知事
兵庫県 井戸敏三知事
香川県 浜田恵造知事
ユーコープ広報紙が紹介
神奈川、静岡、山梨3県の生活協同組合ユーコープの広報紙「mio」(A4版カラー)2月号が「ヒバクシャ国際署名にご協力をお願いします」と題した4ページの特集を組んでいます。
最初のページは「『ヒバクシャ国際署名』は協力するとどうなりますか?」との問いに「山田さん」が回答。2ページに神奈川県原爆被災者の会会長中村雄子さんが登場。13歳の時に広島で被爆した体験を話し「核兵器は大人の責任で廃絶しなければいけません」「速やかな核兵器の廃絶を心より願い『ヒバクシャ国際署名』をお願いしています」とよびかけています。3、4ページの表裏は署名呼びかけと署名簿で、切り取って活用できるようになっています。
世田谷区連絡会が発足
ヒバクシャ国際署名世田谷連絡会が2月5日発足しました。世田谷同友会(被爆者の会)、原水協、原水禁、地区労、区労連の5団体の呼びかけによるものです。
10月に世田谷同友会と5労組会議(区労連、連合世田谷など)が共同してとりくむことを確認。11月準備会を立ち上げ、署名用紙を10万枚用意し区内在住文化人11氏が呼びかけ人となりました。
呼びかけ人は次の方々です。(敬称略)
池辺晋一郎(作曲家)、遠藤秀賢(僧侶)、木村徳子(被爆者)、鈴木瑞穂(俳優)、仲代達矢(俳優)、保坂展人(世田谷区長)、森井眞(明治学院大学名誉教授)、湯川れい子(音楽評論・作詞家)、吉原公一郎(作家)、渡辺皓司(画家)、渡辺信夫(牧師)
新宿区役所に署名用紙
新宿新和会(被爆者の会)は、区長から署名をもらうとともに、区役所のパンフ棚に署名用紙を置いてもらいました。
核兵器禁止条約交渉会議 準備会合NGO発言を決める
3月開始
昨年12月国連総会が決議を採択した「核兵器を禁止し廃絶する法的拘束力を持つ条約の交渉会議」が3月に開かれるのに先立って、2月16日ニューヨークの国連本部で準備会合が開かれました。交渉会議の議題や日程などで大筋合意しました。
コスタリカのホワイト駐ジュネーブ国際機関代表部大使を会議の議長に選出。共同通信によると議長は、条約制定交渉を「核兵器のない世界の実現を目指す国連の長い道のりの中で、歴史的に重要な節目」と位置付けた上で、参加各国に「建設的な対話」を要請しました。
3月会議でのNGOの発言について時間を割いて議論がつづきました。1日の会議の最後に毎日15分の発言時間を設けることになりました。15分の分担については確定していません。
日本は欠席
この会合には、核保有5大国から唯一中国が出席、米国の核の傘の下にあるオランダが参加する一方、日本政府は欠席しました。準備会合前に核兵器廃絶日本NGO連絡会が外務省に参加を要請した際、検討中として決めていませんでした。
条約交渉会議は3月27日〜31日と6月15日〜7月7日の2期に分けて国連本部で行なわれます。3月会議には、日本被団協を代表して藤森俊希事務局次長が参加する予定です。
【しらさぎ会】盛大に新春のつどい

百歳の肥田舜太郎さん(中央)
肥田名誉会長百歳のお祝いも
埼玉県原爆被害者協議会(しらさぎ会)「新春のつどい」が1月29日さいたま市内で、来賓18人を含む60人が参加し、肥田舜太郎名誉会長の百歳のお祝いを含め盛大に行なわれました。
原事務局長、M中事務局次長の司会で、「今年も核兵器のない世界を実現するため、被爆者運動のAKB(A=あきらめない、K=こつこつと、B=ぶれない)で皆さんと共に力をつくそう」と呼びかけ、埼玉合唱団としらさぎ会合唱団による演奏を楽しみました。
黙禱のあと、田中熙巳会長は、トランプ大統領の登場による戦争への危険にふれながら、昨年の日本被団協60周年の取組みを紹介し、ヒバクシャ国際署名を「国際的な世論をつくるため、署名した人が更に広げるよう会話をする。全ての人と会話しホップ、ステップ、ジャンプと飛躍的に前進させよう」と呼びかけました。
百歳は通過点、核兵器をなくすことは大仕事
肥田名誉会長百歳のお祝いは、女優の斉藤とも子さんと96歳の被爆者堀田シヅヱさんがプレゼンターとなり、ピンクの羽織と帽子、花束を手渡しました。
肥田名誉会長は「百歳は通過点、105歳まで元気に生き又ここで皆さんとお話したい。核兵器をなくすことは大仕事。被爆者は110歳、120歳と生きなければならない。長生きして使命を果たそう」と元気よく呼びかけました。
核兵器禁止条約交渉に参加貢献を 外務省に要請

核兵器廃絶日本NGO連絡会
核兵器廃絶日本NGO連絡会に参加する日本被団協など13団体の17人が2月10日、外務省を訪問し、3月に国連で始まる核兵器禁止条約交渉に日本が参加し積極的に貢献することを、武井俊輔外務大臣政務官に要請しました(写真)。
要請書は、@日本政府として、3月に始まる核兵器禁止条約の交渉会議に参加することを公式に表明すること A核兵器禁止条約の交渉において、核兵器の非人道性に対する認識を土台にしつつ、核兵器廃絶を導く禁止条約を早期に締結することに積極的に貢献すること―の2点です。NGO連絡会共同世話人の田中煕巳日本被団協事務局長が、要請書を武井政務官に手渡しました。
参加の確約はせず
武井政務官は、岸田外務大臣が禁止条約交渉で「主張すべきことは主張していく」と参加の意思を表明していることを指摘し、「政府全体で検討している」として交渉への参加の確約はしませんでした。
「被団協」が特別賞 機関紙新年号コンクール
「被団協」新聞の印刷をお願いしている株式会社「きかんし」の顧客の親睦団体である「あたごくらぶ」が毎年行なっている新年号機関紙コンクールで1月30日、「被団協」新年号が「特別賞」を受賞しました。
「企画と編集技術が評価され優良紙に選ばれ」ての受賞は、2010年、15年、16年に続いて今年で4回目です。
【広島県被団協】新年代表者会議と新春のつどい

2月1日、県内各地の被爆者団体代表者約80人が集まり、広島県被団協新年代表者会議・新春の集いを開催しました。
坪井直理事長の「被爆者支援の充実と核兵器廃絶に向けて頑張ろう」との挨拶に続き、日本被団協木戸季市事務局次長、広島平和文化センター小溝泰義理事長ほかの来賓挨拶がありました。メッセージ披露の後、今年度の事業実績などを報告。厳しい財政状況にも触れ、参加者からカンパを寄せてもらいました。
日本被団協結成60年を記念して作成された映像を視聴したあと「新春の集い」に移り、弁当を食べながら懇談。最後に植田雅軌副理事長が挨拶に立ち「来年も元気でまた会いましょう」と誓い合って散会しました。
さまざまな被爆体験受けとめる機会を 東京・調布で「語りカフェ」
調布市内で2月12日午後、「語りカフェ」の集まりを持ちました。調友会(被爆者の会)や、毎年夏にイベントをしている「平和のつどい」の実行委員とで、18人ほどが集まりました。
被爆後71年が過ぎ、被爆者の方々も高齢化が進み、このままでは、様々な立場の被爆体験が聴けなくなり、後世に残せなくなることに危惧感が生じ、被爆体験を引き出しそれを受け止める機会をと企画されました。
30代や50代の方々の参加があり、杉並区から胎内被爆の方も参加されました。
様々な年齢差での被爆体験を話し、聴く機会が、日本中で今ほど必要な時はないだろうと思います。
調布市内の「語りカフェ」はこの先も続ける方針です。
朝日賞特別賞ブロンズ像「陽(よう)」作者・佐藤忠良氏のこと


「佐藤忠良(さとうちゅうりょう1912―2011)宮城県に生まれる。東京美術学校彫刻科卒業後、新制作派協会彫刻部創設。兵役召集、シベリア抑留を経て創作活動再開。1960年高村光太郎賞受賞、75年中原悌二朗賞受賞、81年フランス国立ロダン美術館で個展開催など、内外で高い評価を得た。日本芸術院会員、文化功労者、文化勲章はすべて辞退。」――ブロンズ像に添えられていた「しおり」の紹介文です。
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佐藤忠良さんが、戦後一貫して平和民主運動にかかわられたことはよく知られています。1959年の第7回平和美術展からはじめられた「被爆者肖像画運動」もその一つでした。日本被団協を通じて寄せられた遺影写真をもとに、美術家平和会議の会員によって制作された原爆死没者肖像画は、美術展の特別コーナーに展示されたのち遺族に贈られる運動です。佐藤さんは当初から、毎回制作に参加されていました。1993年8月には「被団協」新聞に「平和展の作家たちが被爆で亡くなられた方々の肖像画を描き続けてもう30年余になる…」と、制作への思いを寄せています。
美術家平和会議と日本被団協が共催する肖像画運動は、現在も続いています。
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日本被団協が2016年度朝日賞特別賞を受賞(前号既報)。写真は、正賞のブロンズ像「陽(よう)」と賞状です。
ブロンズ像の高さは、140ミリ四方45ミリの厚さの台座を入れて450ミリ。
賞状は縦380ミリ、横535ミリ。
日本被団協結成60周年記念バッジ 七宝焼き、3色、頒価500円

日本被団協は昨年、結成60周年記念バッジを製作しました。
これまでの「つるバッジ」と同じデザインですが、楕円の長径が30ミリと、一回り大きいサイズです。七宝焼きで、色は赤、紺、セルリアンブルーの3色。裏面に「被団協60周年 NO MORE HIBAKUSHA」の文字が入っています。1個500円+送料。
ご希望の色、個数と送付先の住所、氏名、電話番号を明記して、郵送(〒105―0012港区芝大門1―3―5ゲイブルビル9階)またはFAX(03―3431―2113)で日本被団協までお申し込みください。
相談のまど 介護保険サービスを利用するとき、被爆者手帳が使えるのですか?
【問】介護保険で「要支援1」の認定を受けています。一人暮らしなので、ヘルパーさんとデイサービスを利用することになりました。
先日、友達から利用料支払いで被爆者健康手帳も使えるのではないかと聞きましたが、どういうことでしょうか。
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【答】現在「要支援1」の認定を受けていらっしゃるとのことですが、介護保険証に記載されている認定期間中のデイサービスに関わる利用料については、被爆者健康手帳を提示することで自己負担はなくなります。ただし、食事代や雑費は全額自己負担です。
ホームヘルパーによる訪問介護については、住民税が非課税の場合「被爆者訪問介護助成受給者証」の交付を受けて、事業者に介護保険証と被爆者健康手帳と共に提示すれば利用料の自己負担はなくなります。
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厚生労働省は2016年から3年間かけ、予防給付(要支援1、2)を「総合事業」に切り替えることを決定しています。総合事業はこれまでのような全国一律の給付ではなく、各保険者(市区町村など)がそれぞれサービスを決め、現行相当サービス(@)と多様なサービス(A)に振り分けられます。Aには、基準緩和(A型)、住民主体の支援(B・D型)、短期集中(C型)があります。
現在「要支援1、2」の人は認定期間が切れたあと要介護1〜5に該当しなければ、総合事業に移行されます。
総合事業の対象となった場合、現行相当のサービスのみが被爆者健康手帳の給付の対象になります。
手帳取得できました
本紙449号「証人さがし」に掲載の武内(旧姓井上)昌子さんに、手帳が交付されました。
証人は見つかりませんでしたが、放射線影響研究所(前身は原爆傷害調査委員会、通称ABCC)が、被爆後に母親の被爆状況を調査した資料及び同研究所が調査した複数会員の被爆状況資料、戸籍附表、地図など、提出した書類が総合的に判断されて交付となりました。ご協力ありがとうございました。