抗議文

 日本被団協はアメリカの9回目の臨界前核兵器実験に抗議し、2月4日、首都圏に住む被爆者20名でアメリカ大使館前で抗議行動を行ない、以下の抗議文を手渡しました。
 また同日、ロシア・エネルギー省によって明らかにされたロシアの臨界前核兵器実験の実施に抗議し、プーチン大統領代行宛の文書 を大使館を通じて送りました。

2000年2月4日

アメリカ合衆国大統領
ウイリアム・J・クリントン閣下

日本原水爆被害者団体協議会
代表委員 伊東 壮
代表委員 山口 仙二
事務局長 藤平 典

臨界前核兵器実験に抗議する

 貴国は、2月4日未明(日本時間)、「オーボエ3」と名付けた9回目の臨界前核兵器実験を行なった。われわれは貴国が2005年までの7年間、毎年4回の割で臨界前核実験を行なう予定でいることに、繰り返し抗議し、核兵器にかかわるすべての開発、実験を取りやめるよう要求してきた。

 それは、われわれが体験した地獄の苦しみが、地球上のどこにでもくり返されてはならないと願うからである。貴国が投下した原爆によって家族を殺され、自らも後障害に苦しんでいるわれわれ被爆者は、「この地球上に核兵器の犠牲者を2度とつくり出してはならない」と心から願っている。この悲願を踏みにじる貴国と貴大統領の核兵器固執政策に、満身の怒りを込めて抗議する。

 貴国は臨界前核兵器実験はCTBT(包括的核実験禁止条約)に違反しないと言い張っているが、そのCTBTの批准さえも昨年11月、上院で否決し、核兵器実験を野放しにし、核兵器独占をより強固なものにしようとしている。

 核兵器については、昨年11月の国連総会で、核保有国に対して核兵器廃絶の誓約を求める決議が圧倒的多数で採決されたところである。新たな千年紀を迎えて、世界の世論は核兵器廃絶を緊急課題として実現することを強く求めている。

 貴国の臨界前核実験の強行は、こうした国際世論に逆行する暴挙である。貴国が核抑止論の立場をとり続けていることが核兵器の拡散を誘発し、地域的な核戦争の危機を招き、新たな核軍拡競争の危険を招こうとしていることを見るべきである。

 私たちは全人類の名において貴閣下に要求する。
1  臨界前核兵器実験の計画を中止せよ。
2  CTBTを批准し、核兵器実験のすべての計画を放棄せよ。
3  国連総会の決議にしたがって、核兵器廃絶を誓約せよ。
4  期限を切って核兵器を廃絶するための核兵器廃絶国際条約を締結せよ。

2000年2月7日

ロシア連邦大統領代行
ウラジミル・プーチン閣下

日本原水爆被害者団体協議会
代表委員 伊東 壮
代表委員 山口 仙二
事務局長 藤平 典

臨界前核兵器実験に抗議する

 貴国の原子力省は2月4日、昨年9月から今年1月までに計7回の臨界前核兵器実験を、ノバヤゼムリャ核兵器実験場で実施したことを明らかにした。実施理由は、核兵器の安全性確認と性能維持が目的だといっている。

 第二次大戦末期に、アメリカが投下した原子爆弾によって被爆したわれわれ被爆者は、自らの体験をもとに、「世界のどこにも、核兵器による被爆者をつくるな」と叫び続けている。われわれは、いかなる種類の核兵器であれ、それは人類と共存できない悪魔の兵器であることを指摘し、すべての核兵器の廃棄と、製造、保持、使用の禁止を要求している。核保有国を始め、世界のすべての国に、核兵器即時廃絶の国際条約の締結を求めている。

 この立場から、貴国が98年12月に臨界前核実強を実施したさい、われわれはエリツィン大統頒に抗議し、ふたたび核兵器実験を行なわないように要請した。
この要請を無視して、貴国がまたも、臨界前核兵器実験を強行したことに、強い怒りを込めて、重ねて抗議する。

 核兵器による威嚇と使用が国際法違反であることは、国際司法裁判所の勧告的意見にあるとおりである。昨年11月の国連総会では、核保有国に対して核兵器廃絶の誓約と、期限を決めて核兵器廃絶のための交渉開始を求める決議が圧倒的多数で採決された。新たな千年紀を迎えて、世界の世論は核兵器廃絶を緊急課題として実現することを強く求めている。貴国の臨界前核兵器実験の強行は、こうした国際世論に逆行する暴挙である。

 私たちは全人類の名において貴閣下に要求する。
1 臨界前核兵器実験を、これ以上くり返すな。
2 核兵器開発、保有、実験、使用のすべての計画を放棄せよ。
3 国連総会の決議にしたがって、核兵器廃絶を誓約し、期限を決めて、核兵器廃絶交渉を開始せよ。

核兵器廃絶