日本被団協、アメリカの臨界前実験に抗議

 アメリカ政府が3月26日未明(日本時間)、臨界前核実験を強行したことについて、日本被団協は抗議文をアメリカ大使館を通じてクリントン大統領に送付しました。

 26日午後2時、被爆者15人がアメリカ大使館を訪れ、抗議文を手渡し被爆者としての抗議の意志表示を行いました。

 なお、日本政府にたいしても、アメリカの臨界前核実験に抗議するよう要請する文書を小渕外務大臣宛に送るとともに、直接外務省で要請しました。各政党にたいしても、政府が抗議するように働きかけてほしい旨を要請する文書をファックスで送りました。

 各県でも、抗議行動を行なっています。

 日本被団協の抗議文書は以下の通りです。

1998年3月26日

アメリカ合衆国大統領
ウイリアム・J・クリントン閣下

日本原水爆被害者団体協議会
代表委員 伊東 壮
代表委員 伊藤 サカエ
代表委員 山口 仙二
事務局長 藤平 典

臨界前核実験の強行に抗議する

アメリカ政府は26日未明(日本時間)、ネバダ核実験場の地下で、臨界前核実験を強行した。昨年9月につぐ3回目の臨界前核兵器実験の強行に、われわれ被爆者は、満身の怒りをもって、断固抗議する。

今回はとくに、イラクに対して核兵器使用もありうると威嚇を行なった直後の実験である。2月の危機は世界世論によって抑えられたとはいえ、貴国はいまもなお、単独攻撃もありうると威嚇をつづけている。

国際司法裁判所は、「核兵器による威嚇も使用も国際法違反」と明確な勧告的意見を言い渡している。貴国は、核兵器の威嚇と使用を前提に臨界前核実験を行なっているのであり、貴国の行為は完全なる国際法違反の行為である。

貴国が核抑止力論の立場を続けていることが、インドなどに核兵器保有の衝動を引き起こし、新たな核保有国を増やす結果を生み出そうとしている。

核戦争の犠牲者であるわれわれ被爆者は、自らの体験を通じて、核兵器は人類と共存できない悪魔の兵器であることを知っている。核兵器によっては、人類の平和も、幸福も絶対にもたらすことはできない。核兵器の廃絶によってこそ、人類に未来があることを、貴大統領は知るべきである。われわれ被爆者は、この地球上にふたたび被爆者をつくりださないため、つぎのことを要求する。

1. アメリカは、臨界前核兵器実験をふくめてすべての核兵器実験をやめよ。
2. アメリカは、すべての核兵器を廃棄せよ。
3. アメリカは、核兵器廃絶の国際条約を締結せよ。

1998年3月26日

外務大臣 小渕恵三殿

日本原水爆被害者団体協議会
代表委員 伊東 壮
代表委員 伊藤 サカエ
代表委員 山口 仙二
事務局長 藤平 典

アメリカの臨界前核実験への抗議要請

アメリカ政府は26日未明(日本時間)、ネバダ核実験場の地下で、臨界前核実験を強行しました。昨年9月につぐ3回目の臨界前核兵器実験の強行に、われわれ被爆者は、満身の怒りをもって、断固抗議しました。

今回はとくに、イラクに対して核兵器使用もありうると威嚇を行なった直後の実験です。2月の危機は世界世論によって抑えられたとはいえ、アメリカ政府はいまもなお、単独攻撃もありうると威嚇をつづけています。

国際司法裁判所は、「核兵器による威嚇も使用も国際法違反」と明確な勧告的意見を言い渡しています。アメリカは、核兵器の威嚇と使用を前提に臨界前核実験を行なっているのであり、アメリカの行為は完全に国際法違反の行為です。

アメリカが核抑止力論の立場を続けていることが、インドなどに核兵器保有の衝動を引き起こし、新たな核保有国を増やす結果を生み出そうとしています。

核戦争の犠牲者であるわれわれ被爆者は、自らの体験を通じて、核兵器は人類と共存できない悪魔の兵器であることを知っています。核兵器によっては、人類の平和も、幸福も絶対にもたらすことはできません。核兵器の廃絶によってこそ、人類に未来があることを、アメリカは知るべきであります。

臨界前核実験の相次ぐ強行について、私たちは、「ふたたび被爆者をつくらない」との願いを込めて、次の措置をとられるよう要請します。

1. アメリカ政府にたいし、核兵器実験の強行にきびしく抗議してください。
2. 日本政府として、核兵器廃絶の国際条約の締結にイニシアチブを発揮してください。

「被団協」4月号の記事  核兵器廃絶