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春・創作の夢とともに
yk
春の浮き雲の 見守る中
何か 作りたくなって
DIYに気が向かう
駐車場のアスファルトも まぶしく
ふりかえると
光と風が さらに なだれ込むように胸にしみて
さて 何を作ろうか?
何やかやと イメージするプロセスがまた 愉しくもある
素材を手に 少し気楽な寄り道をする
園芸コーナーは 待ってましたの春の装い
そこに満ち溢れる 種々の香気
それぞれの花卉にたたずむ 和らぎとムードに
やはり 花があっての春なのだと 思う
それなりの感慨をもって店を出た
真新しい雲の上
夢も やわらかく やすらいでいた
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散 歩
好花
土手に戯れる蒲公英は
手を繋いで欲しそうにお辞儀をした
今日は小さないのちと
湧き水のところまで歩いてこうと思った
きっと何かがあるから
桜は満たされた午後には時間旅行をやめたらしい
淡く軽やかな姿を見ていると空気も次第に弛んでくる
枯すすきが冬の残響を伏目がちに讃えている
訳もなく佇んでいる落葉の背景に
死んだように眠る蚯蚓色の細い溝
脇には薄紫の子どもをいっぱい抱えて
突然反対側から
「今日は」と陽が降ってきた
薄紫のおかあさん...
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作者のサイト
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凛然たる流れ
七呼
凛として水はゆく
温もりを携えながら
それでも凛として
流れには芯がある様に
進んでゆくのは
携えた温もり
春を届けるため
命の流れの温もりを
伝えるため
生きていると伝えに
凛として水はゆく
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ぐみ
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ちょうちょ
青野3吉
子ねこはおどる
ちょうちょを追って
手まねきしてもさわれない
子いぬはおどる
ちょうちょを追って
しっぽのあいそは通じない
子ぶたがおどる
鼻でちょうちょを驚かし
動きにつられて横っとび
おさな子はよちよち歩き
ちょうちょに合わせておどれない
手のひらひろげて追いかけて
空をきった手は口元へ
ふ〜ん不思議を食べた顔
目がおどってる
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作者のサイト
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そっくりさん
葉月杏子
ぐわぁぁぁんと
あくび
雲
陽気に
片肘ついて
さがしもの
いた いた
田んぼクン
そっくりさん
目と目が合って
やぁ
ごきげんよう
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虚 空
ブル
元気でした
笑顔でした
一生懸命でした
犬でした
群れていました
そんな時でした
空に流れる雲を見ました
身体に充満する力は
吸い取られてゆきました
存在意義も
帰属意識も
生き甲斐も
こだまさえ響かせずに
からっぽでした
嘘を抜かれた頭と身体は
真昼の空の色に染まりました
何もできずに
今は万年床に転がっています
からっぽです
空を眺めています
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大木の夢
nonya
地中深く
頭を突っ込んでしまった僕は
ややっこしい根っこを
少しずつ伸ばしながら
夢を見る
僕の胴体で
しっとりと水を含んだ苔は
僕を堂々たる大木に
見せかけているだろうか
僕の太股から
好奇心の数だけ突き出した枝は
やすらぎの木陰を
作り出しているだろうか
僕の脛に
ぎっしりと茂った葉っぱは
気紛れな風のそよぎを
煌かせているだろうか
僕の足元に
途方もなく広がる青空は
小鳥達のさえずりを
響き渡らせているだろうか
目の前を
モグラがすり抜けていく
太くなってしまった根っこを
地中深く這い回らせて
僕はなおも夢を見る
夢を見ることで
存在し続ける
この空も
この風も
この森も
この僕も
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作者のサイト
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青 空
夜行星
寝転んでみたら
あんまりにも
澄んでいたものだから
思わず手を伸ばしてみたら
うっかりした指の隙間を
何かが抜けていった
風の船ひとつ青空の波間に
ハミングの糸弾きながら泳ぐ
飾りつけばかりの舫い綱で
頑なに縛り付けたぼくの虚栄心は
実は
こうもあっさりと
ほどけてしまうものかと驚いて
それにしても
君はどこまで深く
ぼくを誘ってくれるのだろう
その青さに溶けきってしまう不安を
やわらかすぎる陽射しでかくまって
もう少しだけ
この心地よさに
浸っていてもいいかい
誰もこない
この草いきれの堤の上で
向き合ったまま
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春のぬくもり
織部夕紀
突然の風が吹くと
紡いでいた色とりどりの糸が
灰色の空に絡まる
明け方の夢は
時間の国からのメッセージ
ぬくもりをかき消すように
再び強い風が吹く 気まぐれに
虹色の雨が降る朝
光射す雲を引き寄せ
ほどいた糸で
花の刺繍を施せば
真昼の夢にゆらゆらと春
ぬくもりは今
私の腕の中に
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春
銀色
そこは足を踏み入れると水っぽく、
またむせ返るほどの草いきれ。
足元から虫が飛び立ち、
絡みつく草は露を含んで先が重い。
春の日差しは生き物に命を与え、
空気にまで湿り気を与える。
しろつめくさ。
れんげ。
ぺんぺんぐさ。
からすのえんどう。
おおいぬのふぐり。
わすれなぐさ。
数えながら野原を横切り、
靴はすでに重いくらい水を吸っている。
頭上に桜の花弁が舞い、
鳥が歌う。
魚がはねる。
虫が飛ぶ。
未だ水を張らない田を横切り、
枯草が緑に変わる様を眺め、
蒲公英で黄色くそまった土手を上がる。
木々は芽吹き、
冬のことなどつい忘れてしまう。
夢にまで見た故郷の春。
既に無くしたものを探し私は歩く。
ふと目を上げて鳥の飛ぶ姿を見る。
自由に飛ぶ鳥をあこがれて、
地上の幸せを忘れたあの頃。
ここは幻想でしかない。
既に私は緑と土を失った。
車窓から眺める小さな緑の塊に
ふと心飛ばしてあの頃にもどる。
もう戻ることができない、
我が故郷の春。
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裸 木
夜行星
やっと
来たね
じっと
待って待って
飛び出してしまわぬよう
固く固く閉ざした
その疼く指先を
開ける季節が
ようやく
きみが
大きく葉を広げる前に
さよなら
しなくてはならないけれど
ぼくもなんとか
頑張ってみるよ
耐えることで
少しずつ
膨らんでいく
夢の
芽生えるころまで
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陽
梨麿
空気を赤く染めながら
沈んでゆくあの太陽は 今
水平線のうらっかわ
遠い大地の
朝陽になる
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あじさい

ひめりんご

ひめりんご

ひめりんご
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真っ直ぐに
七呼
すくすくと
伸びゆく枝の緑
小さな芽
正直な命は
手を伸ばす
ただ真っ直ぐに
すくすくと
太陽に向けて
手を伸ばす
目の前の
正直な命を
真似てみよう
すくすくと
手を伸ばし
光る爪は
芽の代わり
その指先は
何つかむ
適わない
正直な命を
真似てみよう
この手も負けずに
伸ばしてみよう
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緑色の人
梨麿
地を駆け巡る 森の人に憧れた
はばたいて飛ぶ 小さな彼らに恋をした
動くことのできない僕らは
あの青に向かって ただ手をのばすだけ
だけど僕らは生きている
この世で唯一
めくるめく季節を旅することのできる
緑色の人として
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mail
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すぐり |

ぼけ |
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つばき(ピンク・八重) |

れんぎょう |
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