2001年 Photo&Poem特集 No.3 7月号
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10 YEARS AFTER nonya プチトマトの実がついたと 子供のようにはしゃぐ君の瞳は まだ昨夜の喧嘩のことを 忘れていないよと言っている 後ろからのぞき込む バツの悪い僕の視線は 幼いトマトと君の横顔の間を おそるおそる綱渡りする 互いの手の内が 分かり過ぎるゲームは どちらかが潔く負けなければ いつまでも終わらない 今日の朝食は かなり焦げたハムエッグと 苦いだけのコーヒー 息の詰まりそうなダイニングの片隅で 今日は君の大好きな ケーキを買って帰ろうと思った 自分の荷物は自分で背負わなきゃと 偉そうに言っておきながら 君の荷物に甘えやわがままを 忍び込ませた僕の負い目は ますます君を強くさせ ますます僕を情けなくしていく 微妙なバランスのとり方とか 正確な距離の計り方とか そんなことばかり学んだ 10年間だとは思いたくない よく似たふたりと言われるけれど 君は今でも君らしく 僕は今でも僕らしいと 信じていたい いつもの曲り角で 何気なく振り返ると 僕のあやふやな後ろ姿に 君はまだ手を振ってくれていた 作者のHP http://www.interq.or.jp/rock/nonya/ |
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午後2時13分 イルカ通りにて かのっぴ 35℃ 紙で出来た淡い街を僕は踏みつけている 弱々しい光と温かすぎる熱に包まれている 甘すぎる炭酸飲料は内側で僕を溶かす ただでさえ淡い僕は紙細工になる 石畳 陽がよどみをつくっているあのあたりで そのゆったりとした流れに身を任せていた 目を閉じた僕は優しすぎる時と戯れながら 逃げ水といっしょに人目を避けて消えていった 街路樹 風は忘れっぽい僕に気づいてもらうために 木の葉で音をたてながら通り過ぎていった 蝉は木の葉の音に重なることで記憶を呼び覚ます 幼い頃に夢中で泳ぎながら浴びた水飛沫を 作者のHP http://www11.u-page.so-net.ne.jp/sc4/kano-i/index.html#contents |
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紫陽花 ひろゆき 僕の町に 万里の長城はないけれど 青紫の 美しいアジサイがある 僕の町に ピラミッドはないけれど 咲いたばかりの 小さなアジサイがある いとしい 思い出のような 作者のHP http://www26.tok2.com/home/yashiropoem/ |
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青い風景 織部夕紀 静かな雨に濡れている アジサイの色も 車の轍も 青く滲んで 昨日届いた手紙の一行も 青くなる 書き始めたときから 何日も後に書いた追伸の 暗号のような言葉が また雨に滲んで 見えなくなりそうで 震える手で 大好きな本の 大好きな台詞の中にある キーワードを 見慣れた文字の隙間にはさんでみる 「愛してる」 と滲んだ文字が 指先に染みる 青い風景 アジサイ色の道 通りすぎていく車の音 よみがえる あなたの声 遠くの窓から |
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すぐり yk すぐり 酸塊 その実は赤のスケルトン すぐり 酸塊 それは 凝縮された 生命(いのち)の宝珠 すぐり 酸塊 自身もさながら小宇宙にして かつ 空を映して光る魂 すぐり 酸塊 さみどりの葉陰の 愛らしき連珠 |
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あかい実のうた 夜行星 あかいあかい そのきらめきを 運ぶ調べ 寡黙な土の愛情と 陽気な風の温もりと 生い茂る葉からこぼれ来る 夏の陽射し ゆっくりと 流れゆく主旋律に乗って 丹念に 磨いて 磨かれて 内側まで研ぎ澄まされた その宝石の あかいあかい 命の輝き それはいつ ついばまれるのだろう 不意に幸運を得た小鳥によって この雲ひとつ無い空を 永遠に その囀りひとつに 閉じ込めたまま それはやがて どこで生まれるのだろう 新たなる このうたの始まり 作者のHP http://homepage1.nifty.com/yakousei/index.html |
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半分の夏 星粒 ビアホールの賑わいに すどおりの主婦はわたくし 半分の夏 半分の安い西瓜を買いました。 腎臓のよわいひとには 西瓜が効果的ですので。 虫網を抱いて 虫をさがしにいくこどもたちは デパートで売っていることを知りません。 過去のような とりのこされた 水彩画の 風景が ここいらあたりには 存分 残っているので すだれをおろして うたたねします。 半分の夏 海の無い 半分の夏 線香花火は ヒグラシが鳴くまでお預けです。 作者のHP http://www.avis.ne.jp/~peanuts/watasinosi.htm |
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青空にゆったりと 浮かんでいる 流れる夢の襞 とても柔らかそうで 思わず触れてみたくなる 手を伸ばせばとどきそうで
この縁のないキャンバスの上 きみはどこからどこへいくのか 風の筆でなぞられるがままに いくつも表情を変えながら ついさっきまで 同じ地面の上で空を映していた 水たまり 自転車でとおりかかった 近くの川の流れ きみを追いかけたぼくの額から 消えていた汗の粒 そのどれもが 今のきみに見え隠れする気がして この懐かしさはどこからくるのか 空に聞いてみるまでもなく なごんでしまう きみのなみだを受けた日の てのひらのぬくもり |
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雨あがり 織部夕紀 この風のなかに どれだけの夏が生きているのだろう 一瞬の雨に洗われた 冷ややかな空気のもとで 重なる雲や 鮮やかな花の色に 何かを感じとろうとするほど 待ち遠しい季節ではないのに 風は確実に季節を呼ぶ いつでも 私の足もとや耳や髪の近くを通り 神経の隅のほうから 感覚を揺らしはじめる 確実なものと 曖昧なもの そのどれもが一雨ごとに 浄化されてゆく たとえむせるように陰鬱な 梅雨の薫りの中でさえ ときどき崩れ落ちるようにして 洗われていくのがわかる 風に揺られてもう一度辺りを見た 確かな夏の光 私はそのとき 長い航海へ発つ準備を始める 作者のHP http://www.asahi-net.or.jp/~nk3y-tnb/ |
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澄み渡る青空 帽子の影に隠れて ここには駅があった 帰り際 昔の改札口に 作者のHP http://www11.u-page.so-net.ne.jp/sc4/kano-i/index.html#contents |
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君は明るいね 君は意地悪だね でもこの星の全てのものが その明るさに照らされて |
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夏の誘惑 キトキト虫+Mr.W氏 海という大きなボクの引出しから 青い夏という 夢をひとつ持ち出して 家出気分で 旅に出てみようかな 風が道を教えてる 空も何かを囁いてる ドキドキすること 見つけに行きたくなる 僕を 見つけにいこうかな ホントの自分胸の奥に押しこめて 雑踏の中 埃まみれだった毎日 風が口笛吹いてる 波が笑顔で答えてる ワクワクすること 待ってる気がしてきた キミを見つけにいこうかな ボクとキミが出会えるのは 青い青い夏の風景の中 二人きっと 笑顔で出会えるはずさ 季節は 輝き出した 新しいこと始めようよ 作者のHP http://www.geocities.co.jp/Bookend-Shikibu/7528/ |
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明日 泣こうと思う くた 明日 海を見にいこうと思う 君の書いた童話を持って 午前中に行けば ゆっくりと 思いだすことができるだろう 降っても晴れてもかまわない どちらにしても 君を思いだしてるだろう 明日 海を見にいこうと思う 君の書いた童話を持って おそらく 半分も読めはしないだろう それで十分だ 明日 海を見にいこうと思う 海を見にいこうと思う そして夜には 空を見ようと思う 君の好きな童話を持って 天の川に広がる いくつもの物語が 聞こえてくるように 降っても晴れてもかまわない どちらにしても 君を思いだしてるだろう ずっと 空を見ていようと思う 君の好きな童話を片手に もちろん 南十字星に辿り着けないだろう それで十分だ 七夕 空を見てようと思う 空を見ていようと思う 作者のHP http://laguz.gaiax.com/home/kuta |
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2001.8.17 作者のHP http://homepage1.nifty.com/yakousei/index.html |
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酷いバカに見えてしまって 救いようがないと笑われてもいいから 光輝くものばかり見て生きていたい 行く先々で善意ばかりを見つけて 心の底からは思いやりを引き上げ ダサい奴と言われてもいいから 手を差し伸べてみたい 光輝くものばかり見て 空に溶けるくらい満たされてみたい 同じ望みを持って 悉く失敗した人達のように 立派なのは遺骸の装飾品ばかりというのは 絶対に御免だ
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「夏」への想い yk 大地が歌っている 草となり 花となり 木となって 大地が歌っている 伸び上がるように せり上がるように ふと 足元を見る この土塊(つちくれ)も 大地の一部・・・ つまり この地球(ほし)のもの? 大地が歌っている 草となり 花となり 木となって 大地が歌う 「夏」への想いは 蒼穹を超え 碧空や 蒼天までも突き抜けて 遙か遠く 宇宙の果てまで 響き渡っているに違いない 大地が歌っている 草となり 花となり 木となって 大地が歌っている 伸び上がるように せり上がるように この限りない無音の歌が 君にも聞こえているだろうか? ![]() |
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