距離空間(R1,d)上のコンパクト集合についての定理トピック一覧

  定理:ハイネ・ボレル・ルベーグの被覆定理/R上のコンパクト集合の最大元最小元定理 

関連ページ―コンパクト集合の定義について:
  
R1上のコンパクトの定義R2上のコンパクトの定義Rnにおけるコンパクト集合、位相空間上のコンパクト
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R2上のコンパクト集合の性質Rn上のコンパクト集合の性質 
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定理:R1全体は、コンパクト空間ではない。

   


[文献]
佐久間
集合・位相』定理4.5(p.88);

   
     

ハイネ・ボレルの被覆定理ないしボレル・ルベーグの定理Heine-Borel's Theorem,Borel-Lubesgue's Theorem

設定

R:   実数全部をあつめた集合(実数体)   
(R,d) : 実数全体の集合Rに、距離dを与えてつくった距離空間 
I:   R部分集合 

[文献]
小平『
解析入門I』定理1.27;1.28(pp.62-4);
高木『解析概論17節定理111(p.16)
斉藤『数学の基礎:集合・数・位相5.2.14:Rの有界閉区間⇒コンパクト;5.2.15:Rnのケース有界閉集合⇔コンパクト(pp. 145-6);
松坂『集合・位相入門5章§2定理16(p.217)ユークリッド空間Rn有界閉集合⇔コンパクト;
矢野『距離空間と位相構造』定理4.1:R1の有界閉区間⇒コンパクト(p.124);定理4.3(p.126):コンパクト⇔点列コンパクト;定理4.5ユークリッド空間Rn有界閉集合⇔コンパクト(p.128) ;
佐久間一浩『集合・位相』定理4.5(p.88):Rnのケース;
杉浦『解析入門I1章§7コンパクト集合-定理7.4(pp.70-1) :Rnのケース;
岩波数学事典』項目92距離空間Fコンパクト距離空間;

定理

以下の3命題は、互いに同値である。
[命題1] R部分集合I有界閉集合である。
       (有界閉集合の例:
(有界)閉区間や、とびとびの(有界)閉区間) 
[命題2] R部分集合IR上のコンパクト集合である。
[命題3] R部分集合I点列コンパクトである。

活用例

活用例:長さを定義する集合関数μ()の性質6の証明
     
R1上区間の長さと、そのルベーグ外測度が等しくなることの証明 
     連続関数の最大値・最小値定理 

証明

(証明:命題1命題2
以下を参照。
  矢野『
距離空間と位相構造』定理4.1:R1限定(p.124);
  松坂『集合・位相入門5章§2定理16証明の後半部分(p.217);
  斉藤『数学の基礎:集合・数・位相』
     
2.5問題6(pp.64-5)→解(pp.251-2):順序対全般;5.2.14(p. 145) ;
  杉浦『解析入門I1章§7コンパクト集合-定理7.4(pp.70-2) :Rn:背理法; 
(証明:命題2命題1
以下を参照。
  松坂『
集合・位相入門
     
5章§2定理16ユークリッド空間全般.ハウスドルフ性をつかう(p.217);
  斉藤『数学の基礎:集合・数・位相』5.2.15前半:対偶を示す(p. 146) ;
  杉浦『解析入門I
     
1章§7コンパクト集合-定理7.4(pp.70-1) :Rn:対偶で有界を示し、
     
KがコンパクトならKの補集合が開集合となることを示すことで
     
Kが閉集合だと示す。; 
(証明:命題1命題3
以下を参照。
  志賀『
位相への30
     第5講コンパクト性
(pp.38-40):ボルツァーノ・ワイエルシュトラスの定理からR1R2;
  矢野『距離空間と位相構造4.1.2(p.128);
  杉浦『解析入門I
     
1章§7コンパクト集合-2(p.64): ボルツァーノ・ワイヤストラスの定理から;
         定理7.2(pp.67-8) :Rn一般
(証明:命題3命題1
以下を参照。
  志賀『
位相への30』第5講コンパクト性(pp.38-40):対偶を示すR2;
  矢野『距離空間と位相構造』定理4.5ユークリッド空間全般(p.128);
  杉浦『解析入門I1章§7コンパクト集合-定理7.2(pp.65-8) :Rn一般;
(証明:命題2命題3
以下を参照。
  矢野『
距離空間と位相構造』定理4.3距離空間全般について(p.126-7);

(証明:命題3命題2
以下を参照。
  矢野『
距離空間と位相構造』定理4.5距離空間全般について(p.126-7);

     

→[トピック一覧:コンパクト性]
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定理:コンパクト集合には最大元・最小元が存在する 

設定

R:   実数全部をあつめた集合(実数体)   
(R,d) : 実数全体の集合Rに、距離dを与えてつくった距離空間 
I:   R部分集合 

 

[文献]
松坂『
集合・位相入門5章§2定理161(p.218)

定理1

命題PR部分集合Iが、R上のコンパクト集合である」が成り立つ
ならば
命題
QR部分集合Iに、その最大元 max I・その最小元 min Iが存在する」

定理2

命題P'R部分集合I有界閉集合である」が成り立つ
ならば
命題
QR部分集合Iに、その最大元 max I・その最小元 min Iが存在する」

定理3

命題P'R部分集合Iが、点列コンパクトである」が成り立つ
ならば
命題
QR部分集合Iに、その最大元 max I・その最小元 min Iが存在する」

ハイネ・ボレル・ルベークの被覆定理により、上記三定理は同値である。

活用例

1変数関数の最大値・最小値定理
2変数関数の最大値・最小値定理 
n変数関数の最大値・最小値定理 

証明

松坂『集合・位相入門5章§2定理161(p.218)参照。
定理
2を示す。
・「
R部分集合I有界である」とは、
 「
R部分集合I上に有界かつ下に有界
 と定義された。
 したがって、
実数の連続性公理により、
 「
R部分集合I有界である」ならば、R部分集合Iには、上限supI下限inf Iが存在する。  
・「
R部分集合I閉集合である」とは、「Iのすべての境界点がIに属すこと」として定義された。
・上記二点より、
 「
R部分集合I有界閉集合である」ならば、supIinf Iが存在し、かつsupIinf IがIに属す
supmaxの関係infminの関係により、
  「
supIinf Iが存在し、かつ、supIinf IがIに属す」ならば、max I=supImin I=inf I
 となるので、
 上記は、次のように言換えてよい。
 すなわち、
  「
R部分集合I有界閉集合である」ならば、max Imin Iが存在する  

定理:カントールの共通部分定理

   


[文献]
岩波数学事典』項目92距離空間Fコンパクト距離空間;

   
 

 

     

 

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Reference

日本数学会編集『岩波数学事典(第三版)』岩波書店、1985年、項目92距離空間Fコンパクト距離空間。
矢野公一『
距離空間と位相構造』共立出版、1997年。 4章コンパクト空間4.1コンパクト性4.1.1コンパクト空間(p.123-125)
斉藤正彦『数学の基礎:集合・数・位相』東大出版会、2002年。第5章位相空間(その2)§2コンパクト性5.2.1-6 (p.142-3)
松坂和夫『集合・位相入門』岩波書店、1968年。第5章§2コンパクト性-Aコンパクト位相空間(pp.208-211)
彌永昌吉・彌永健一『岩波講座基礎数学:
集合と位相 III 岩波書店、1977年。 II.位相第3章コンパクト集合§3.1コンパクト位相空間-§3.2有限交叉性とコンパクト性(pp.243-8)
志賀浩二『位相への30』朝倉書店、1988年、第5講コンパクト性(pp.38-40):点列コンパクトのことをコンパクト性とよんでいる、第17講コンパクトな距離空間、第27講コンパクト空間と連結空間(pp.187-172)
西村和雄『
経済数学早わかり』日本評論社、1982年、第六章位相数学§3コンパクト集合3.1-3.2 (pp.295-300)。卑近な例もまじえつつ、具体的に説明。
佐久間一浩『
集合・位相―基礎から応用まで―』共立出版、2004年、4.3pp.87-92
杉浦光夫『
解析入門I』岩波書店、1980年、pp.33-48;55;66-7;70;.75-79;
小平邦彦『解析入門I (軽装版)岩波書店、2003年、pp. 13; 21;36; 46;53-65; 73.
高木貞二『解析概論改訂第三版』岩波書店、1983年、p.16.

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