ボルツァノ・ワイエルストラス Bolzano-Weierstrass の定理





Bolzano-Weierstrassの定理」−内容
Bolzano-Weierstrassの定理」−証明
実数の公理における「Bolzano-Weierstrassの定理」の位置
実数の公理における「Bolzano-Weierstrassの定理」の位置の証明



Bolzano-Weierstrassの定理」−内容

[有界数列・部分列を用いた表現]

・「実数列a1,a2,a3,…」が有界数列ならば
 「実数列a1,a2,a3,…」のあらゆる部分列
   ・a1,a2,a3,…
   ・a1,a3,a5,…
   ・a2,a3,a4,…
   ・a2,a4,a6,…
   :
   :
 のなかに、
 少なくとも1列の収束数列を見つけることができる。

[標語]

 このことは、以下のキャッチコピーで言い表される
 ・「有界数列には、収束部分列が存在する」[] 
 ・「有界数列収束部分列を含む」[吹田]
 ・「有界数列は常に収束部分列をもつ」[杉浦;永倉宮岡:黒田]。

[部分列の定義に遡った表現]

・「実数列a1,a2,a3,…」が有界数列ならば
 ある狭義単調増加自然数列
   n1,n2,n3,…(任意のkN にたいしてnkN かつnknk+1
 が存在して、
   数列 
a
, 
n1
a
, 
n2
a
, 
n3
a
, 
n4
a
, 
n5
 
 は収束列となる。  


[有界数列と部分列の定義に遡った表現]


・「実数列a1,a2,a3,…」に対して、ある実数m,Mが存在して、  
       任意のnについて  an [m,M]を成立させられるならば
 ある狭義単調増加自然数列
   n1,n2,n3,…(任意のkN にたいしてnkN かつnknk+1
 が存在して、
   数列 
a
, 
n1
a
, 
n2
a
, 
n3
a
, 
n4
a
, 
n5
 
 は収束列となる。  
  





[文献−実数の連続性まで見通したスケールの大きな説明]
 ・赤攝也『実数論講義』§5.4公理6-5(pp.144-150):「アルキメデス+区間縮小法」⇒「ボルツァノ・ワイヤストラス」の証明;
 ・杉浦『解析入門I』I-§3-定理3.4(p.24)「アルキメデス+区間縮小法」⇒ボルツァノ・ワイヤストラス
            定理3.6(pp.26-7)⇒ボルツァノ・ワイヤストラス⇒「アルキメデスコーシー収束条件
 ・黒田『微分積分学』§2.6.1定理2.14(pp.57-8):証明付。コンパクト性。
 ・矢野『距離空間と位相構造』4.1閉区間は点列コンパクト(p.128);定理A.17B-Wの定理(p.243):証明付;
 ・神谷・浦井『経済学のための数学入門』定理2.2.3(pp.71-4) :証明付

[文献−実数の連続性まで見通さないスケールの小さい説明]
 ・吹田・新保『理工系の微分積分学』定理5(p.11.):証明付。1章§2-V-集積点(p.16):集積点の概念をつかった表現。
 ・笠原『微分積分学』1.2定理1.14(p.15):証明付(区間2等分
 ・細井『はじめて学ぶイプシロン・デルタ』演習問題16-2(p.177)「閉区間のなかで定義された無限数列は」;解答(p.213):区間2分
 ・永倉・宮岡『解析演習ハンドブック[1変数関数編]』3.2.6-iii(p.106)
 ・小平『解析入門I』§1.6-e 定理1.30(p.65):平面上の点列について。証明付(ハイネボレルの被覆定理から)。
 ・De La Fuente, Mathematical Methods and Models for Economists, Theorem3.3(p.52)

[文献−Bolzano-Weierstrassの定理についての記述がみあたらない]
 ・加藤『微分積分学原論
 ・松坂『解析入門1』ない。コンパクトの話は、第三巻。
 ・和達『微分積分
 ・青本『微分と積分1








収束数列有界」であったが、逆(「有界数列収束」)は成立しなかった(→定理)。
 しかし、
 「有界数列収束」を、
 「有界数列部分列のなかには、収束数列が存在する」まで弱めると、
 成立するーこれが、Bolzano-Weierstrassのメッセージ。
「有界な無限集合は、少なくとも一つ集積点を持つ」と言い換えることができる。
                  (吹田・新保『理工系の微分積分学』p.16)



     →点列コンパクト/ハイネ・ボレル・ルベーグの被覆定理   
  cf. 定理:収束する数列は(数の集合として)有界である。  
    定理:有界な単調数列は収束する。  


→[戻る]



実数体における「Bolzano-Weierstrassの定理」の証明




 ・
   { an }を有界 ―すなわち上にも下にも有界― とする。
     ここから、
       実数の連続性公理 および 
       定理「Rの下に有界な任意の空でない部分集合は、必ず最大下界(下限)をもつ」 
     より、
   { an }には、最小上界(上限) p1最大下界(下限)q1が存在する。
   つまり、
     p1anq1 
   
   I1=[p1, q1]とする。
   I1を中点で分け、{ an }の項を無限個含むほうを、I2=[p2, q2]とする。
            (両方とも無限個含むときは、どちらでもよい)
   I2を中点で分け、{ an }の項を無限個含むほうを、I3=[p3, q3]とする。
   ・
   ・
   ・
   In‐1を中点で分け、{ an }の項を無限個含むほうを、In=[pn, qn]とする。
   以上の操作から、
    I1⊃ I2⊃ I3⊃… 
    p1p2p3≦…≦pn≦…≦qn≦…≦q3q2q1  
   
   { pn },{ qn }は有界な単調数列。ゆえに、定理「有界な単調数列収束する」より、     
   { pn },{ qn } は収束する。 pn→α, qn→β ( n→∞ )とおく。
   「区間Inの長さ」 =「区間In‐1の長さ」/2 
   すなわち、( qnpn )=( qn‐1pn‐1 )/2 としたことより、  
   ( qnpn )=(q1p1)/2n−1 
   ∴ qnpn→0   ∵1/n→0(n→∞)、liman=αとすると、limcan= c liman  
   よって、β−α=0 すなわち、α=β
   
   an1∈I1を任意にとる。I2は無限個の項を含むから、an2I2となるn2n1がある。(本当?)  
   これを続けて、ank∈Ikを満たすn1n2n3<…がとれる。(本当?)  
     pkankqk で 
   pk , qk→αであるから、 ank→α ( k → ∞ ) となり、
   収束する部分列
     
   を得る。
   (吹田・新保『理工系の微分積分学』p.11.定理5)
  (神谷和也・浦井憲『経済学のための数学入門』定理2.2.3(pp.72-4)
   笠原『微分積分学』1.2定理1.14(p.15) 
   黒田『微分積分学』§2.6.2定理2.14(pp.57-8)







以下、証明の議論の進め方で分類。

[文献−実数の連続性まで見通したスケールの大きな説明]
 ・赤攝也『実数論講義』§5.4公理6-5(pp.144-150):「アルキメデス+区間縮小法」⇒「ボルツァノ・ワイヤストラス」の証明;
 ・杉浦『解析入門I』I-§3-定理3.4(p.24)「アルキメデス+区間縮小法」⇒ボルツァノ・ワイヤストラス
            定理3.6(pp.26-7)⇒ボルツァノ・ワイヤストラス⇒「アルキメデスコーシー収束条件
 ・黒田『微分積分学』§2.6.1定理2.14(pp.57-8):証明付。コンパクト性。
 ・矢野『距離空間と位相構造』4.1閉区間は点列コンパクト(p.128);定理A.17B-Wの定理(p.243):証明付;
 ・神谷・浦井『経済学のための数学入門』定理2.2.3(pp.71-4) :証明付

[文献−実数の連続性まで見通さないスケールの小さい説明]
 ・吹田・新保『理工系の微分積分学』定理5(p.11.):証明付。1章§2-V-集積点(p.16):集積点の概念をつかった表現。
 ・笠原『微分積分学』1.2定理1.14(p.15):証明付(区間2等分
 ・細井『はじめて学ぶイプシロン・デルタ』演習問題16-2(p.177)「閉区間のなかで定義された無限数列は」;解答(p.213):区間2分
 ・永倉・宮岡『解析演習ハンドブック[1変数関数編]』3.2.6-iii(p.106)
 ・小平『解析入門I』§1.6-e 定理1.30(p.65):平面上の点列について。証明付(ハイネボレルの被覆定理から)。
 ・De La Fuente, Mathematical Methods and Models for Economists, Theorem3.3(p.52)

[文献−Bolzano-Weierstrassの定理についての記述がみあたらない]
 ・加藤『微分積分学原論
 ・松坂『解析入門1』ない。コンパクトの話は、第三巻。
 ・和達『微分積分
 ・青本『微分と積分1





















cf. 定理:収束する数列は(数の集合として)有界である。  
    ボルツァノ・ワイエルストラスの定理  
※活用例:有理数指数の累乗の大小関係/







→[戻る]




実数体における「Bolzano-Weierstrassの定理」の位置づけ

 ・「Bolzano-Weierstrassの定理」は、実数の連続性公理同値
  つまり、実数の連続性公理の言い換えにすぎない。
  →赤『実数論講義』§5.7(pp.144-153);、杉浦、松坂、斎藤 







cf. 定理:収束する数列は(数の集合として)有界である。  
    ボルツァノ・ワイエルストラスの定理  
※活用例:有理数指数の累乗の大小関係/



→[戻る]





実数体における「Bolzano-Weierstrassの定理」の位置づけの証明

 ・
 ・ 






cf. 定理:収束する数列は(数の集合として)有界である。  
    ボルツァノ・ワイエルストラスの定理  
※活用例:有理数指数の累乗の大小関係/




→[戻る]