一条

■この法律において借地権とは、建物の所有を目的とする地上権及び賃借権を言う。

■他人の土地を使用する権利のうち、借地法の適用となるものを示す。

二条

■借地権の存続期間は、石造、土蔵、煉瓦造または、これに類する堅固な建物の所有を目的とするものについては60年、その他の建物所有を目的とするものについては30年とする。ただし建物がこの期間の満了前に朽廃したときは、借地権は、これによって消滅する。契約で、堅固な建物について30年以上、その他の建物について20年以上の存続期間を定めたときは、借地権は前項の規定にかかわらず、その期間の満了により消滅する。

■法定期間と合意期間の時の事項である。

三条

■契約で借地権を設定する場合に建物の種類および構造を定めないときは、借地権は堅固な建物以外の建物の所有を目的とするとみなす。

■取り決めの無いときの適用。

四条

■@借地権者が契約の更新を請求したときは、その借地上に建物がある場合に限って以前の契約と同じ条件の借地権が設定されたものと見なされる。ただし土地所有者の側に、自分でその土地を所有するなど正当な事情があって、所有者が遅滞なく異議を述べた場合は、更新されない。
A契約の更新が行われなかった場合、借地権者は、それまでに自分の権原に基ずいて借地に付属した建物等を、買い取るよう請求することができる。
B第5条1項の規定は、1項の場合に準用される。 

■正当事由があり、更新できない場合は、建物等を時価で買い取ることを、要求できる。

五条

■@当事者が契約を更新するにおいては、借地権の存続期間は更新の時より起算して堅固の建物については、30年、その他の建物については20年とする。この場合は第2条第1項但書の規定を準用する。
A当事者が前項の規定する期間より長い期間を定めたときは、その定めに従う。

■合意更新時の規定である。                                      

六条

■@借地権者が、借地権の消滅後土地の使用を継続する場合においては、土地の所有者が遅滞なく異議を述べない時は、前の契約を持って、更に借地権を設定したものとみなす。この場合においては、前条第1項の規定を準用する。
A前項の場合において建物があるときは、土地の所有者は、第4条第1項の但書に規定する事由が無い場合は、異議を述べることができない。 

■法定自動更新の規定である。

七条

■借地権の消滅前に建物が滅失した場合に、残存期間を超えて存続すべき建物の築造に対して土地所有者が遅滞なく異議を述べないときは、借地権は建物滅失の日から起算して、堅固な建物については30年間、その他の建物については20年間存続する。ただし、残存期間がこれより長い時は その期間による。

■火事、地震等のときの規定である。

八条

■前2条の規定は、借地権者が更に借地権を設定した場合にも準用する。

■承諾がなされた転借の場合も同様に保護する。

八条の二

■@防火地域の指定、付近の土地の利用状況の変化その他の事情の変更によって、現在借地権を設定すれば、堅固な建物の所有を目的とすることが相当とされるようになった場合において、堅固な建物以外の建物を所有する皆の借地条件を堅固な建物の所有の目的に変更することについて、当事者間の協議がまとまらない時は、裁判所は当事者の申し出によって、その借地 条件を変更することができる。
A増改築を制限する皆の借地条件がある場合において、土地の通常の利用上相当とされる増改築を行うことについて、当事者間の協議がまとまらない時は、裁判所は、借地権者の申し立てによって、その増改築につき土地所有者または賃貸人の承諾に代わる許可を与えることができる。
B裁判所が前二項の裁判をする場合において、当事者間の利益の衡平を図るため必要があるときは、他の借地条件に変更したり、一定の金銭の支払いを命じたり、その他相当の処分をすることができる。
C裁判所が前3項の裁判をするについては、借地権の残存期間、土地の状況、借地に関する従前の経過、そのその他一切の事情を考慮しなければならない。
D借地権者が更に転借地権を設定している場合において、必要があるとき裁判所は、転借地権者の申し立てによって、転借地権および原借地権の双方について、第1項、第3項の裁判をすることができる。
E裁判所は、特に必要が無いと認める場合の他に第1項ないし第3項または、前項の裁判をする前に、鑑定委員会の意見聴かなければならない。

増改築に関する、借地非訟による、代許可の規定である。

九条

■代2条から代8条までの規定は、臨時設備のためや、その他、一時使用のために借地権が設定されたことが明らかな場合は、適用されない。

■一時使用の場合の除外規定である。                           

九条の二

■@借地権者が、賃借権の目的となっている土地上にある建物を第三者に譲渡しようとする場合において、その第三者がその賃借権を取得し、また転借しても、賃貸人に不利となるおそれがないのにもかかわらず、賃貸人がその賃借権を譲渡または転貸を承諾しないときは、裁判所は、借地権者  の申立てにより、賃貸人の承諾に代わる許可を与えることができる。この場合において、当事者間の利益の衡平を図るため必要があるときは賃借権の譲渡もしくは転貸を条件とする借地条件の変更を命じたり、または一定の金銭の支払いにかからせることができる。
A裁判所が前項の裁判をするについては、借地権の残存期間、借地に関する従前の経過、賃借権の譲渡または転貸を必要とする事情、その他一切の事情を考慮しなければならない。
B第1項の申し出があった場合において。裁判所が定める期間内に、賃貸人が自らその建物の譲渡および賃借権の譲渡または転貸を受けたい皆の申し出を受けたときは、裁判所は、同項の規定にかかわらず、相当の対価および転貸の条件を定めて、譲渡または転貸を命じることができる。
C前項の申し立ては、第1項の申し立ての取り下げがあったときまたは不適法として同項の申立ての却下があったときは、その効力を失う。
D第3項の裁判があった後は、第1項または第3項の申立ては、当事者の合意があるのでなければ、これを取り下げることができない。
E裁判所は、特に必要が無いと認める場合の他は、第1項または第3項の裁判をする前に鑑定委員会の意見聴かなければならない。

転貸及び第三者譲渡における借地非訟の規定である。

九条の三

@第三者が、賃借権の目的となっている土地の上にある建物を、競売または公売によって取得した場合において、その第三者が取得しても賃貸人に不利となるおそれがないのにもかかわらず、賃貸人が賃借権の譲渡を承諾しないときは、裁判所は、その第三者の申し出によって賃貸人に代わる許可を与えることが出来る。この場合において、当事者間の利益の衡平を図るために必要があるときは、借地条件を変更したり、または一定の金銭の支払いを命じることができる。
A前2項ないし第6項の規定は、前項の申し立てがあった場合に、これを準用する。 
B第1項の申し立ては、建物の代金を支払った後2ヶ月内にかぎり、これをすることができる。民事調停法第19条の規定は、同条に規定する期間内に第1項の申し立てをした場合に、これを準用する。           

競売・公売時の規定である

九条の四

第九条の二の規定は、土地の転借人と賃貸人との間に準用し前条の規定は、土地の転借人から競売または公売によって建物を取得した第3者と賃貸人との間に準用する。ただし、賃貸人が第九条の二3項の申し立てをするには、転貸人の承諾を得なければならない。 

転借地の建物譲渡および競売・公売にかんする許可の規定である。

十条

借地権者が自分の権利に基ずいて、借地上建物その他の物を付加しそれを他人に譲り渡した場合において、地主がこの譲り受けた他人に対し、賃借権の譲渡または転借を承諾しなかったときは、地主に対し譲受人から、自分が譲り受けた建物等を時価で買い取らせるよう請求することができる。

建物買取請求権の規定である。                              

十一条

■二条、四条〜八条の二、九条の二(九条の四準用含む)および十条の規定に反する契約条件で、借地権者に無理なものは結ばなかったものとして取り扱う。

借地人に対する著しく不利益な契約の無効規定である。

十二条

@地代または借賃が、その土地に対する税金やその他公課の増減もしくはその土地の価格の高騰・下落によって、また付近の土地の地代・借賃に比較して、不相当になったときは、契約の条件にかかわらず地代・借賃を増額または減額することができる。ただし、一定期間、地代・借賃を増額しないという特約を結んでる場合は、それに従うことになる。
A地代・借賃の増額について、地主と借地人との間で協議が成立しなかった場合、増額を受けた借地人は、その増額が正当であるとの裁判が確定するまで、自分が相当と思う額の地代・借賃を支払えばよい。ただし、その裁判が確定した場合において、すでに支払った額より下回っていたならば、借地人は、その不足額に年一割による支払期以後の利息をつけて、地主に支払わなければならない。
B地代・借賃の減額について、地主と借地人との間で協議が成立しなかった場合、減額の請求を受けた地主は、その減額が正当であるとの裁判が確定するまで、自分が相当と思う額の地代・借賃のの支払いを請求できる。ただしその裁判が確定した場合において、すでに支払いを受けた額が裁判で確定した額よりも上回っていたならば地主は、その超過額に年一割の割合による受領期以後の利息をつけて、借地人に返還しなければならない。             

地代の増減の合意が得られぬ時の規定である。

十三条

■@地上権を設定した土地所有者または土地の賃貸人は、弁済期がきてもいまだ支払われない地代または借賃のうち最後の2年分について、借地権者がその土地に所有する建物について先取特権をもつ。
A前項先取特権は、地上権または賃借権の登記をしなければその効力がない。  

地代・借賃の先取特権の規定。

十四条

■前条に定められた先取特権は、その建物について成立している一般債権者よりも、優先的に弁済を受ける他の権利よりも、先に弁済を受ける効力をもつ。ただし、共益費用・不動産保存・不動産工事の先取特権、および本条の先取特権の対抗要件である地上権または賃借権の登記をする前に質権・抵当権がなされていた場合は、これらの権利を有するものよりも先に弁済してもらうことができない。

■先取特権と優先順位の規定である。

十四条二〜十八条

借地非訟事件及び附則に関する事柄の条文です。省略させていただきます。  
                                
                                                           
                                                                                                                   

参考リンク

借地非訟事件請求