英国でクリスマスと言えばつきもののクリスマス・プディングは、今ではあちこちの店で質の良いものが売られていますが、もともとはどこの家庭でも手作りされていました。クリスマス当日に家族でおいしいプディングを囲むためには、何と遅くとも6週間前には準備を始めていなければならないのです。でも、もう12月に入ってしまった!大丈夫、そんなときには手早く作れるピーターのプディングもあります。今回はMidnight Teatime Specialと題してこのプディング二種との作り方をご紹介します。
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柔らかいパン粉 110g 薄力粉 50g 牛脂(または溶かしバターかマーガリン) 110g ブラウン・シュガー 110g レーズン(きざんだもの) 220g サルタナ・レーズン 110g カラント(赤すぐり) 110g 干しアンズ(きざんだもの) 50g 干しプルーン(種を抜いてきざんだもの) 20g ミックス・キャンディ・ピール(きざんだもの) 110g 砂糖漬けのさくらんぼ(きざんだもの) 50g 酸味のあるりんご(おろす) 50g にんじん(おろす) 50g きざみアーモンド 50g レモンの皮(おろす) 小さじ1/2 オレンジの皮(おろす) 小さじ1/2 ナツメグ 小さじ1/4-1/2 ミックス・スパイス 小さじ1/2-1 シナモン 小さじ1/4-1/2 卵(大) 2 レモン汁 大さじ1 オレンジの汁 大さじ1/2 黒みつ 大さじ1/2 スタウトかエール(またはビール) 70ml ブランディかラム酒 ワイングラス1/2杯 |
![]() 1. すべての材料をボールに入れて混ぜる。できればこれを一晩寝かせたほうが風味がよくなる。 (このとき家族全員が一人一回ずつボールの中身を混ぜて、願いごとをする) 2. 型にバターを塗り、ボールの中身を流し入れる。バターを塗ったワックスペーパーとアルミホイルでしっかりふたをする。調理の過程でふくれるので、型に生地を入れすぎないよう注意する。 生地をしっかり押しかためると出来上がりがかっちりするが、そうでないほうがいい場合は流し入れたままにする。 3. 型のサイズによって違うが、だいたい6ー8時間蒸す。蒸し上がったらすぐに濡れたふたをはずし、充分冷ましてから再び乾いたふたをする。乾いた、涼しい場所に保管する。 クリスマスの日の朝もう一度2ー3時間蒸し、ブランディ・バターを添えて出す。 * ドライフルーツで手に入らないものがあれば、同量の好みのものを選ぶ。 * ミックス・キャンディ・ピールはオレンジやレモンの皮を砂糖漬けにしたもの。 バター50g(できれば無塩)をクリーム状になるまで練り、ふるったアイシング・シュガー80gを加えて白くなるまで泡立て器でよく混ぜる。ブランディ大さじ1-2を少しずつ加える。 * 食卓に出す前日くらいに作っておいて、固まらせておくこと。凍らせるとブランディの風味が損なわれるので冷凍庫には入れないほうがよい。 |
食べる前に大さじ1-2杯のブランディをプディングの上からかけて火をつけ、青白い炎が上がっている間に食卓に出します(ここで拍手)。こってりしてかなり重いので、分けるときは薄目に切ったほうがいいでしょう。普通はブランディ・バターを添えて出すようですが、わたしの友人の家ではブランディ・クリーム(生クリームにブランディを加えたもの。クリームは6-7分立て)を添えていました。これもおいしい!お好みでお好きなほうをどうぞ。残ったプディングを翌日以降に食べる場合は、スライスしたものを軽くフライパンであたため、クリームを添えて出します。プディングは乾いた涼しい場所に保管すれば、一年は持つそうです。
昔ながらのクリスマスのお楽しみとしては、一晩寝かせるときに中にきれいに洗った硬貨や指ぬき、馬の蹄鉄(もちろんミニチュア)などを入れておいたりします。それぞれのものにはいろいろ意味があって、たとえば蹄鉄は幸運のしるし、指ぬきは「はずれ、まぬけ」。
プディングは日本で言う「プリン」とはもちろんまったく違うし*、ケーキともまた異なります。出来上がりは真っ黒で重く、質感もかなり密でどっしりとしていて、これだけドライフルーツが入っていることからも想像できるように結構甘さもあります。英国ではこのほかにもミンス・パイと呼ばれるさまざまなフルーツを洋酒漬けにしたものを入れた一口パイのようなものもクリスマスに食べます(作り方は下記参照)。私見ですが、これから1、2月という一年でもっとも寒い季節に向かうこの時期、昔の人たちは家禽類や秋の収穫で取れた果物やナッツ類をふんだんに使ったお菓子を家族みんなでたっぷり食べて栄養と脂肪をしっかりとって、寒さに負けないよう心と体の準備を整えたのでは...などと考えたりもします。現在の日本ではクリスマスは友人や彼氏彼女と過ごしてお正月は家族と、というのが多いようですが、ヨーロッパではちょうどその逆で、クリスマスには家族で静かに過ごし、大晦日から新年にかけては友人達と賑やかに、というパターンが一般的なようです。
* もともと英語のpudding を日本人が「プリン」と聞いてそう呼ばれるようになったようですが、日本で一般的なカスタード・プリンは英国ではcaramel custard などと呼ばれます。
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無漂白の薄力粉 1カップ 小麦胚芽 3/4カップ グラニュー糖か砂糖 3/4カップ ベーキングパウダー 小さじ2 塩 小さじ1/4 バターかマーガリン 大さじ2 牛乳 2/3カップ バニラエッセンス 小さじ1 ブラウンシュガー、または三温糖、なければ砂糖 しっかり詰めて1カップ 甘みのないココア 1/2カップ ぐらぐら煮立っている湯 2カップ |
1. オーブンを180℃に熱しておく。ボウルに無漂白の薄力粉、小麦胚芽、グラニュー糖、ベーキングパウダー、塩を入れ、すっかり混ざりあうまでフォークでかるく混ぜ合わせる。 2. 小さな鍋にバターかマーガリンをとかし、粉類の入ったボウルに加え、牛乳とバニラエッセンスも入れる。何も塗っていない焼き型にこの生地を流し入れる。 3. 別のボウルにブラウンシュガーとココアを入れて混ぜ合わせ、生地の上に平均にふりかける。 4. ブラウンシュガーをふった上に、煮えたぎった湯を注意深く注ぐ。このときかき混ぜないこと。焼き型をオーブンに入れて45分焼く。焼き上がったら粗熱を取り、型から出す。 5. 生地が焼けていくうちにファッジソースが焼き型の底の部分にでき、ケーキのようなものが型の上のほうに上がってくるので、これをめいめいに取り分けるようにする。ホイップクリームを添えて熱いうちに食卓に出す。 |
こちらは最初のものに比べて、材料も手順もずっと簡単なものです。実はわたしはこれを中学生の頃に「ピーターラビットの料理絵本」という翻訳本で見つけ、一念発起して作ったのでした。でも当時はプディングはおろか英国と米国の区別もよくついていない状態で(田舎で育ったもので)、もちろんクリスマス・プディングがどういうものなのかもまったく分かっていませんでした(ビアトリクス・ポターの挿絵はあっても、料理の出来上がり図は一枚も載っていなかったのです)。「ピーターとポターの」と二人(?)の名前を冠してしかも「特製」というからにはさぞかし素敵なものに違いない、と張り切って作ったところ...焼き上がってオーブンから出した真っ黒な物体を眺めたまましばし考え込んだのでした。失敗か成功か、それすらも判断がつかない。とりあえず出して食べてみる...なかなか味があっておいしい。ほらほら、クリームを添えてみるともっとおいしい。でも家族には明らかに失敗とみなされ、結局わたし自身と唯一おいしいと言ってくれた祖母の二人で片付けたのでした。英国に留学してクリスマスプディングの実物を見て、「あのときのあれは成功だったのね〜」とようやく知るのはそれから何年も経ってからです。
プディングレシピ参考文献 : "Marguerite Patten's 1,000 Favourite Recipes"
"Peter Rabbit's Natural Foods Cookbook" by Arnold Dobrin
completed 20.12.1999, modified 3.12.2000/1.12.2001.