ペーパーバック 南の島のカレーライス


 


ペーパーバック
南の島のカレーライスamazon
10月7日発売ペーパーバック「南の島のカレーライス」
「南の島のカレーライス」(南船北馬舎刊/絶版)がペーパーバックに

発刊当時のままの「南の島のカレーライス」(南船北馬舎刊/絶版)が2013年にキンドルに加わりましたが、この本はそのペーパーバック版。
オリジナル版にはない「傘どろぼうの無実」も紙の本の初版のまま掲載。絵本の「かさどろぼう」は日本語版、シンハラ語版、英語版で話の結末が違っていて、その顛末を探っていくとスリランカに暮らす人々の社会が見えてきます。*日本語版は発売当初の福武書店版
 「南の島のカレーライス」は臨場感溢れる読みやすい文体。著者のスリランカ食体験、体当たりの文化体験が南の島の暮らしぶりとその奥に潜む世界をのぞかせてくれます。読み応えのある一冊。
 現在、紙の本は絶版状態で古書として出回っている紙の本「南の島のカレーライス」が高値で流通していて著者は戸惑いを覚えています。KhasyaReport(かしゃぐら通信)が「南の島のカレーライス」をペーパーバックとして発刊したいと思ったのは、誰にでも、いつでも、すぐに、そして安価にこの作品が届くようにと願ってのこと。価格は1,474円。注文すれば翌日(頃)にはお手元に届きます。お求めはamazonで

「南の島のカレーライス」
ペーパーバック版発行に寄せて

 スリランカ料理トモカの食材仕入れに東京を日々這いずり回っていた頃、新大久保から乗って四谷に向かう電車の吊り下げ広告で小学館の第1回ノンフィクション大賞作品募集を知った。店を切り盛りする傍ら書き溜めていたスリランカの料理に関する資料をどうにか世に送り出せないものかと案じている矢先だった。私の書き物はどのジャンルにも属しそうになく、どうしようか、途方に暮れている時だった。ま、かまわない、ノンフィクションには違いないからとサインペンで書き埋めた原稿用紙を紐でつづって応募事務局へ送った。店が忙しくてその後は経過を追っている余裕がなかったが、ある日、トモカのお客さんから「ノンフィクションに応募したでしょう」と相棒がレジで言われて選考に残ったことを知った。応募作品は最終選考に残らなかったがスリランカで知り合った青年がこのことを知って神戸のアジア専門の出版社に声をかけてくれて本になった。それ以降、ジャーナリズムがスリランカの食にまつわる仕事をするとき私に声をかけてくれるようになった。  そうした時間の流れの中で出版の界隈に変化の兆しが現れて個人が個人の権限で、業界のしがらみや個人の懐事情に振り回されず紙の本を出せる時代がやってきた。その新しい流れに乗って「南の島のカレーライス」はペーパーバックになった。内側に固まって歪になった業界を外から揺さぶる黒船がITの進歩と共にやってきてこういう次第が出来上がった。機を逃すことはない。安価に、早く、美味い作品が、どこにいても、誰にでも、届きますよう。

 

スリランカのカレーライスとその人々

 NHK・BSのアジア食紀行アジア食紀行 コウケンテツが行くスリランカで料理研究家のコウケンテツが果敢に紹介したスリランカ料理。製作スタッフの涙ぐましい努力もあって評判となり何度か再放送され、地上波の教育チャンネルでも放送されました。あの番組が紹介したスリランカ料理はこの「南の島のカレーライス」がベースになっています。

 キンドル版は1995年に発刊された「南の島のカレーライス」(南船北馬舎・廃刊)をkindle版として再構成。現在、紙の本では、写真とイラストを豊富に加えた「南の島のカレーライス・オリジナル版」(2012)がありますが、このペーパーバック版はその原型となるもの。

 カレーライスを探して島の奥地に入ると…

 熱帯の島スリランカではカレーにかつお節を入れてつくる。かつお節とスリランカ・カレーの関係はこれまでも話題にることがあったが、最近ではアサヒの記者からジャーナリストへというフリーな身分を獲得して充実した仕事をこなしている野嶋剛が新潮社フォーサイトに「カレーに潜んだ鰹節の旨味」と言う一文を寄せている。野嶋のオフィシャル・サイト【日本語版】では「おいしんぼ」と「南の島のカレーライス」が野嶋さんをスリランカのネゴンボへ取材の旅へ招き、そのコアにあったのがスリランカの鰹節だったとある。

 前世紀末。トモカの主人は「なぜ、日本の鰹節がスリランカのカレーに?」と疑問で頭をいっぱいにさせた。そのわけを訪ね、スリランカからインド洋をまたいでモルディブへ行った。すべてはそこから始まったのだった。
 「南の島のカレーライス」ではスリランカの山の中にカレーの原型”ムリグッタン”があると聴けば、中央山脈の山村に分け入ってそのカレーを探して歩き回る。「ムリグッタンというスープを訪ねている」とあちこちで聞きまわり、ついにティー・エステートの村でそのカレーの原型に巡り合う…
 毎年、そうしてスリランカへカレーを訪ねて旅立つうちに、明治時代、英国留学の漱石を乗せた蒸気船がセイロンのコロンボに寄ったさい、漱石がカレーを食べに行ったと知り、今度はその店をとことん探し出そうとして、タミル語の名のついた小路にある飲食店のマネージャーと懇意になる。
 そして、そうして…、 
 スリランカを舞台にカレーとの不思議な出会いが、まだまだ続きます。
 カレーの真髄をノンフィクションで極めたいと思ったら、この一冊、「南の島のカレーライス」が決め手。どうにもペーパーバックを待ってる余裕はない方は、kindleで。