ES&T サイエンスニュース 2007年6月6日
PBDEsと飛行する
パイロット、乗務員、清掃クルー、よく利用する乗客は
かなりの量の臭素化難燃剤を体内に取り込んでいるかもしれない


情報源:ES&T Science News - June 6, 2007
Flying high with PBDEs
Airplane pilots, flight attendants, cleaning crew, and frequent fliers
may take up a substantial dose of brominated flame retardants.
http://pubs.acs.org/subscribe/journals/esthag-w/2007/may/science/kb_airplanes.html

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2007年6月8日


 2006年8月、オスロからチューリヒへの飛行中、スイス連邦材料試験研究所(EMPA)のアンドレアス・ゲレッケは前の座席のポケットから埃の塊を取り出し、飛行機酔い用の袋にしまい込んだ。研究所に戻って、彼は持ち帰った埃が記録的な量のポリ臭化ジフェニルエーテル(PBDE)難燃剤を含んでいることを発見した。

 研究者らは現在、埃は、人々が難分解性、生物蓄積性及び有毒性を持つPBDE化合物を取り込む主な経路であると信じている。4月24〜27日にアムステルダムで開催された臭素化難燃剤2007会議でゲレッケはポスター発表を行ったが、会議に出席した研究者らによれば、ゲレッケのサンプル中の埃1グラム当たり160,000ナノグラムという量は今までデ4番目に高い記録である。これは北アメリカの平均的な家庭で見られる量より著しく高いが、飛行機は”多くの難燃性布製品とその他の難燃剤”を含んでいることが知られているので、ゲレッケはサンプル中でもっと高いPBDE濃度を見いだすことを期待していた。
 ”明らかに、ひとつのサンプルから多くのことを読み取ることはできないが、そのデータは妥当である”とバーミングハム大学(イギリス)のスチュアート・ハーラッドは述べている。それは、”飛行乗客と特に飛行乗務員に対する暴露の潜在的な重要性”を提起していると彼は述べ、ゲレッケのポスターを見た他の人は感慨深い様子であった。

 アムステルダム会議で発表された他のポスターで、ETHチューリッヒのデービッド・トゥルーデルは暴露の程度を見積るためにゲレッケのサンプルを使用した。平均的な暴露レベルであっても、飛行機の中で多くの時間を過ごす人々にとって、飛行機はPBDEの重要な暴露源となり得るとトゥルーデルは述べている。

ケリン S. ベッツ(KELLYN S. BETTS


化学物質問題市民研究会
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