猿が哭く
夜中に
猿が哭いている
寒く
梢をゆらして
猿が哭いている.
私は笛だ
だれが
吹くのか
知らないけれど・・・・
こんな処で
猿が哭いている.
みんな幻
けれど猿が哭いていて
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坂を登ると
北風が吹いた
地軸を傾け 地軸を傾け
私は坂をのぼったよ
どこへ行っても
どこへ行っても
うたはなく
うた、はなく
猿の哭く声だけが聴こえた
猿、だけが哭いている
高い木よ、
なにが 全体の 出来事なのか
地軸を傾け 地軸を傾け
地を嘗め 地を舐め
私は、
ただ手のひらのように暮らしを見つめ
めまいのように私を離れる
みえないものは
あまりに近いので
猿が哭く
猿が哭く
猿がどうしようもなく哭く
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