砂漠の駱駝
砂漠の駱駝が部屋にいて
見知らぬ言葉を喋るので
世界の涯から花がふるのだろう
標的ではないから
裸の森に入ることも出来る
ひとりではないから
もっと激しく壊れることも出来る
部屋の駱駝はそう言って
首を傾げて笑うのだ
生まれたばかりの子どものように
きれいな傷みで笑うのだ
傷みは出立し
世界中の破片がうたうこともある
花がたくさん降っている
それはまだみえないけれど
どこかで魂の降る音がして
かすかに香る水音に
何かが大きく息をする
砂漠の駱駝が部屋にいて
見知らぬ言葉を喋るので
世界の涯から花がふり
ぼくらのこころを濡らすのだろう
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