るーとらの秘密基地
松吉
■詩集『サマータイム』
  ●花
●走る野鹿
●あれは幻
●雪がつもる
●道尽きて
●夜明けの寒さに
●summertime
●ひと夏の経験
●笛
●青空
●夜の蝉
●老子
●砂漠の駱駝
●恋する惑星
●光る乗客
●空の深さ
●猿が哭く
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砂漠の駱駝

砂漠の駱駝が部屋にいて
見知らぬ言葉を喋るので
世界の涯から花がふるのだろう

標的ではないから
裸の森に入ることも出来る
ひとりではないから
もっと激しく壊れることも出来る

部屋の駱駝はそう言って
首を傾げて笑うのだ
生まれたばかりの子どものように
きれいな傷みで笑うのだ

傷みは出立し
世界中の破片がうたうこともある
花がたくさん降っている

それはまだみえないけれど
どこかで魂の降る音がして
かすかに香る水音に
何かが大きく息をする

砂漠の駱駝が部屋にいて
見知らぬ言葉を喋るので
世界の涯から花がふり
ぼくらのこころを濡らすのだろう