るーとらの秘密基地
松吉
■詩集『サマータイム』
  ●花
●走る野鹿
●あれは幻
●雪がつもる
●道尽きて
●夜明けの寒さに
●summertime
●ひと夏の経験
●笛
●青空
●夜の蝉
●老子
●砂漠の駱駝
●恋する惑星
●光る乗客
●空の深さ
●猿が哭く
■日のすきま
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■カイエ
■詩集『日の採集』
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■くうくう!
■MK対話

光る乗客

線路はカーブで
いつも私の前を
斜めに 傾いて 
光る乗客を運んだ

その後には
乾いた闇があり
深さはいつも
私を狂おしくした

私は懸命に暮らした
私は信じることが出来なかった
新しい空虚以外に
確かなものを知らなかった

求めることで世界は傷を受ける
ほんとうは
自己愛の惨劇にすぎぬのに
人は失愛をする

光る乗客たちは郊外へと帰る
私の前を斜めに傾いて
乾く言葉は着地しない
ぼくらの一瞬の永遠

何処へもゆけぬ
ぼくらの一瞬の永遠