るーとらの秘密基地
blog「日のすきま」
松吉
■詩集『ひまわり』

●草花はひかりに濡れ
●七月
●あんなにお茶を飲んだのに
●海の色に染まる
●真昼のシネマ
●教えてくれないか
●ここにいるよ
●日曜日
●五月連抄(一九八三年)
●だれもいない美術館
●言葉
●桜の森をてくてくゆくよ
●不眠の夜
●この水はきれいです
●雨の日には
●ひかりよりも先に
●スケッチ
●水切り
●白いクジラは病気です
●空がいいんだ
●二十世紀の終りの四月
●危ない魚
●空に言った
●ひまわり
●ねむれぬ夜は
●朝を上手に
●電話をください
●いい声きかせてね
●さくら
●なく狼
●いますぐどこかへつれてって
●抱いてあげましょうか

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■月のすきま
■カイエ
■詩集『日の採集』
■詩集『サマータイム』
■くうくう!
■MK対話

教えてくれないか

森をみつけたいんだ
教えてくれないか
五月の葉っぱと
十月の紅葉
二月の寒い裸木が
いつもいちどに見れる森
桜 山百合 彼岸花
すみれ つつじ りんどうが
いつもいちどに咲く森を
ぼくは仕事を辞め
それから植物の名を少しずつ覚えた
覚えた花の横を通る時
名づけた人にさわった気がする
いろんなことが解る気がする

街にゆきたいんだ
教えてくれないか
プーナやニース
ハノイやプラハやサンチアゴ
オスロにハーグに上海が
山手線でつながった街
ビルのなかからゆける街
路地を曲がれば見える街
モノレールに乗って
ピテカントロプスの丘にゆこう
自転車でかろく
万里の長城を越えるんだ
あれからぼくは地図を買い
羅針盤も揃えたよ
教えてくれないか
あの世もこの世
ここはあそこ
教えてくれないか
街は森を生んでいる
夜はひとりでやってきて
空はひかりでいっぱいだ

もうなんだかわからないよ
ほんとうはきみにキスしたいだけなのに
きみはずっととおくにいるんだ
ほんとうは全部忘れたいのに
世界がぼくに侵入するんだ