真昼のシネマ
ながいシネマを観たあと
真昼の色に
髪を放ち
銀河みたいに
さみしい気がした
砂漠をゆこうか
ぜんぶ捨てようか
けれどこれから
どこへゆこう
夢をみているラクダは
それでもこの世が好きだから
焦らずゆっくり行こうとするんだ
たしかに空は風をわたし
緑を静かに濡らしたよ
けれどシネマはおわった
真昼がひかる
陽炎みたいに足下がゆれ
立ってられない
ほんとうは覚めているのに
植物は眠ったふりをしている
ほんとうは消えてしまいたいのに
夢みたいに茎をのばすんだ
解らない
なんでそこに根を張るのか
空は青くて苦しくて
めまいのように花はひらき
すべての関係に色づいている
楽しいことをするんだ!
誰も知らない楽しいことを・・
気付かぬみたいに空は血を流し
ぼくは砂に崩れるだけか
真昼のシネマ
ひかりに揺れ
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