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Ultima Online(UO)

【キャラクター名:Givu】

 1997年9月末に発売されたMMORPGであり、後のMMORPGの源流となったゲームです。
 時期的にはNIFTYを始めたのと同時期なので、もしかするとUOをやりたくてPCをオンライン化し、ついででNIFTYだったのかもしれませんがはっきり覚えていません。
 日本で購入可能になったのは10月になってからで、あまり間を空けずに入手しました。

 一般的なMMORPGの例にもれず、まずサーバーを選択するのですが良く分からないので"Pacific"を選びました。
 インストールの時点でスキル制である事など、ある程度の情報は知っていたのでいつものドワーフっぽく「鍛冶」「採掘」「斧」みたいなスキルを選んだ気がします。
 ログインしてみると、道の真ん中に麻の服を着た男が立っており「ああ、これが自分か。」と思ったあと「で、なにするんだろ?」としばらく立ち尽くしていました。
 そこが街の中なのか、そしてどのへんなのかが分からなかったので「とりあえず歩いてみるか。」と歩き始めたのが、僕のMMORPG第一歩でした。

 英語のゲームですし、当時はオンラインゲームと言えども外人に話しかけるなんてとても無理でしたので、たった一人いつも無言でした。
 街の中を歩いていると銀行らしきものや商人らしき人はいるのですが利用方法が分からず、ウロウロしていると「Bank」とか「Vender buy」とかいう人がたくさんいたので真似てみてNPCとの会話方法を学びました。
 鉱山の場所もわからないままウロウロしていると、人がガシガシやってる場面を見つけて「ここで鉱石が取れそう。」と思ったほどなので、まるっきり見よう見まねでやっていました。

 ある日、鉱山で鉱石掘りをしている時、隣にいた人が何か英語で話しているなーと思っていたら「hey givu.i talk to you」という一文が見えて「え!? こいつ俺に話しかけてる!?」とすごいびっくりし、慌ててログアウトして逃げました。(汗)
 ログアウトした後もしばらくドキドキしていて、どうしようかと真剣に悩みました。いくらなんでも無視はまずいよな、と。
 少し冷静になってきて辞書や英語の教科書を取り出し「I am sorry.I can not speak English.」という文章をメモして素早く打ちこめるようイメージトレーニングしてから、再度ログイン。
 しかしそこには誰もいなくなっていて、さっき話しかけてきた人がいた場所には鉱石が残されていました。
 しばらく待ってみても戻ってこなかったので、その鉱石をもらって帰りました。
 これが僕のMMORPGにおけるファーストコンタクトで、今でも思い出すと「ああ、悪い事したかなあ。」と思うのです。

 その後も、特に誰かと話したりせず黙々とプレイしていました。
 基本的には鉱山に行って鉱石を掘り、インゴットにしてからダガーを作る、それの繰り返し。
 スキルを上げる事によって何が出来るかもわからないので目標が設定しにくく、会話する友達もいないのですぐに飽きてしまうんですよね。
 「自分以外のPCはすべてどこかの誰かが操作している!」という最初の感動が過ぎた後は、30分程度のプレイですぐに落ちてしまっていました。
 そんなある日、いつもどおり鉱山にいると周りの人たちが「Thief!」と連呼し始めました。「ん?」と思っていると突然キャラクターが、自分の真後ろに出現し攻撃してきました。がつんがつんとHPが減るので慌てて走り出し、鉱山の外まで逃げましたがそれはラグで、すでに僕は死んでいました。(笑)
 生き返る方法が分からずマニュアル見てウロウロし、やっと生き返って現場に戻ってくると荷物は全て持ち去られていました。
 途方に暮れてログアウトし、そのままそのキャラクターは引退しました。(汗)

 数日後、今度は「採掘なんてつまんねーぜ!」という事で「戦術」「剣」「調教」スキルを持つ冒険キャラクターを作りました。
 さっそく街の外に出て、小鳥をテイマーで仲間にしたり、ネコを仲間にしたりして「テイマー楽しい!」と遊んでいると、シカを発見しました。小動物ばかりじゃ戦えないと思ったのでシカを仲間にしようとターゲットしてテイマースキルを使います。するとシカがこっちに向かってきたので「よしよし。」と思ったのもつかの間、ガッガッと攻撃されHPが減っていく。
 小鳥とネコが僕を守るためにシカに挑んで行きましたが、速攻殺されて血溜まりに沈む。(笑)
 「き、きさまー!」と反撃に出ましたが、そのままシカに殺されました。
 生き返って戻ってくると、小鳥とネコの死体と共に僕の死体までもバラバラにされており、荷物は全て持ち去られていました……。
 今度は二回目なので、それほどのショックは無かったのですが武器を失ってしまって買い戻す金もなく、途方に暮れてこのキャラクターも引退しました。

 ここまでは、新しいゲーム体験に驚き感動しつつも、それほどハマっているわけではありませんでした。
 理由はやはり、一人だったから、だと思います。

 三人目のキャラクターも当初はあまり変わったことをしていなくて、鉱山に行って採掘して鍛冶でナイフを作ったり、たまに街の外に行ってテイミングして遊んだり、ちょっと遠出して死んだり……。
 そんな事を、スタート地点にしたミノックの街近辺でやっているだけでした。

 ある日、鉱山で採掘を終えて歩いていると、街の外に向かう道で突然声を掛けられました。
 「街の外に行くにはこの道でいいんですか?」と。
 とりあえず間違ってはいないので、「あ、はい。」と答えるも、彼は見るからにスタート直後の初期装備のままです。
 少し悩みつつも思い切って「でも、そんな格好で外に行ったら殺されるよ。」と言いました。

 これがPepe君との出会いでした。

 話してみると、今日始めたばかりの初心者という事で、ドラクエ的に「とりあえず街の外に行ってスライム的なやつを倒せばいいだろう」と思っていたようでした。

 「まあ、とりあえず行ってみます。」
 というので、なんだか心配になり「俺も一緒に行くよ。戦闘は得意じゃないけど近くなら案内できるし。」と一緒に街の外へ行きました。

 ※こういうやり取りが、初期のMMORPGでは本当にあったんですよね……。

 自分にとっても初パーティープレイ(いわゆる"パーティーを組む"みたいなシステムは当時ありませんでしたけど)だったわけですが、先輩風を吹かせたかったので、色々教えようとした気がします。
 実際やった事と言っても、街の近くをふらふらして鹿を倒したくらいだったと思いますが、"二人で何かをする"というのがとても楽しくて、次にまた会う約束をして別れました。

 それ以降、日時を約束して一緒に遊ぶようになりました。
 フレンド登録とかそういうコミュニティを作る機能がなかったので、約束の日時にログインできない時は酒場の掲示板(ゲーム内)に伝言書いておいたりとか、今では考えられないですね。
 でも携帯電話もない世代の人間なので、わりと違和感無かった気がします。(汗)

 何度か一緒に遊んだ後、どちらから言い出したのか覚えていませんが「全部の街と神殿を一周しよう。」という壮大な(?)計画を立てます。
 そのための準備をして二人で世界一周の旅に出ました。

 二人ともたいした戦闘スキルはなかったので、森の中でオーク一匹から必死に逃げたり、道沿いを歩いていて他PCを見かけたら即逃げたり(PKかもしれないので)、けっこう情けない旅路でしたが本当に旅しているかのような感動がいつもありました。
 ゲームパッケージ付属の布マップを見ながら「こっちじゃないか」「あっちじゃないか」と彷徨い歩き、目的の街や神殿を発見した時の喜びは確かなものでした。
 (裏で攻略サイト見ながらゲーム、という発想そのものがなかった)

 目的の街に到着したら宿を取って一泊する、と決めていたのですが、そういうのんびりした遊び方もUOというゲームのシステムだから出来たのかもしれません。
 (EQ以降では、ゲームで遊べる時間は目一杯使って経験値なりお金なり稼がないともったいないという気分になるのです)

 ある日約束の時間より少し前にログインしたら、すでに部屋に誰かいて「お、Pepe君早いな」と思ってよく見たら違う人で「えっ!?」と驚いている間に走り去っていく事件がありました。
 ログアウトしているキャラクターは保護されているので何かされるわけないのですが、Pepe君がログインしてくるのを待って事情を話したところ「盗まれたものがないか確認しよう!」と言われた時は、そんな必要ないなんて野暮は言わずに確認したりもしました。

 また別のある日、道に迷ってウロウロしていると洞窟があって、その前に立派な装備をした人が立っていました。
 もしPKならもう殺られているはずなので、まあ違うのだろうと通り過ぎようとした時、Pepe君が「こんな所で何をしているんですか?」と話しかけました。
 見知らぬ人に話しかけるってすごいな……と思いつつ会話を聞いていると、その洞窟にはドラゴンが住んでいて、そのドラゴン討伐に来たメンバーだという事でした。
 集まったら突入するんだけど一緒に行くか?と聞かれ、せっかくなので同行する事にしました。

 結果で言えば戦いは惨敗でした。(笑)
 こちらの二人より遥かに立派な鎧を装備した人たちが簡単に倒され、蜘蛛の子を散らすように逃げ惑っています。
 Pepe君はまじめに援護しようとしていたようでしたが、ドラゴンが討伐隊メンバーを追いかけて住みかを離れた瞬間、僕の脳裏に「あ、今なら財宝取れるんじゃ?」という思いが過ぎりました。
 ドラゴンが自分以外の全員を殺すのにたいして時間はかからなさそうだったので、走って財宝のところに行き、アイテムを一つだけ掴んで逃げ出しました。

 討伐隊の人たちが荷物を取り戻す間、一応死体が漁られないように洞窟入り口で見張りをし(もし盗賊が来ても倒されていたでしょうけど)、取り返せるものを取り返して討伐隊の人は帰っていきました。
 「誘っておいてごめん。あんなに強いとは思わなかった」というような事を言われましたが、こちらも役に立ってなかったので「いい経験になりました。もし倒せたら教えてくださいね」と言っておきました。
 ついでに街の場所を聞いたので、二人で街まで行き、いつものように宿に入りました。
 部屋に入ってから「実は……」と奪ってきたアイテム(確か仮面だったと思います。特に効果のあるようなものではなかったです)を見せると、Pepe君は「すごい!」と大笑いしてました。

 その後、二人の旅はきちんと完遂され、全ての街と神殿を巡りました。

 出会いから、その後の二人で冒険した事も含めて、MMORPGが好きになったのはこの体験があったればこそだと今でも思います。

 UOを引退する事になったのは、EQが発売されたためです。
 3Dのゲームである事もそうですが、PCにもたくさんの種族があり、その世界観に魅せられたというのが一番だったと思います。
 EQというゲームが持つ中毒性については当然この時は分かっておらず、UOのような遊び方は難しいゲームになっていくのですが、この頃はとにかく新しいゲーム、新しい世界にワクワクしていました。