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はじまり

 今の自分にとって"はじまり"と思えるものは定かではありませんが、それを探す、振り返るという意味で以前に書いた「気に入っていたもの」というテキストを掘り起こしてみようと思います。

 

●ドラゴンクエスト
 ファミコンですね。TVゲーム自体は、近所のお兄さんからもらったカセットビジョンを持ってたのでやってはいましたが。
 確か同じ時期に僕は「魔界村」にすごいハマってて、毎日それやってたんですが友達に頼まれてドラゴンクエストと貸しっこしたんです。

 結構衝撃でしたねぇ…やっぱり。洞窟から街に戻る途中で強い敵に出会ってしまった時「ドキッ」としたり、「くそーもう少しで街なのに…いちかばちか戦うか…逃げるか…」と真剣に悩んでみたり…。
 自分以外のキャラクターに感情移入するっていうのは絵本とか図書館の本とかで鍛えられていたのかな、と思っていますが、それがゲームに結びついた始めての体験だったのかもしれません。

 

●ゲームブック
 ゲームという言葉自体は当然昔からあったと思いますが、子供の遊ぶものとして「ゲーム」というものが世間的に定着してきた時期だったように思います。
 みんなゲームは好きなんだけど、学校に持っていくことは出来ない。だけどゲームブックはカバーさえしてあれば小説を読んでいるように見えるし先生に取り上げられる事もない。
 という流れだったんだろうなと思うのですが、学校でやたらゲームブックが流行ったんです。もちろん僕も好きでした。
 ナイトライダーのゲームブックとかもあったし。(笑)
 この時期にそれと知らずファイティングファンタジーとか読んでたんですよね。

 

●モンスターコレクション
 ゲームブック全盛期、ドラクエをきっかけにファンタジー好きになっていた僕はゲームブックもファンタジーものばかり買ってました。その流れで、たまたまこの本を本屋さんで見つけて中を見てみたら、沢山のファンタジーに出てくるモンスターの絵が載っていて僕は一発で気に入ってしまい、すぐに家に戻って母に頼み込んでおこずかいを貰って、走って買いに戻ったの覚えています。

 明確に"ファンタジー"を意識したのはこの本を読んでからだと思うので、これがはじまりと言えるかもしれません。それくらいの意味が、この本にはあったと思います。

 内容は、代表的なモンスター(エルフとかドワーフも含む)が50音順で並んでいて、1ページはイラスト(アニメチックなやつじゃなくて結構リアルで怖い)、その後に説明文がつきます。説明文は別に神話とか民話的な説明じゃなくて、はっきりとゲームに登場するモンスターとしての説明がされています。当時のゲームではドット絵だったり、ドラクエのようなかわいいモンスターが多かったので、この本のイラストを見たときに「あっ、これが本物なんだ!」と思いました。
 もしこの本のイラストが、後に再販されたバージョンのようにかわいいイラストも混じっていたら僕のファンタジー感も変わっていたかもしれません。
 文庫本なので持ち運びやすいのもありましたが、マンガじゃないので学校にも持っていけるため常に持ち歩いてましたねぇ…ことあるごとに開いて、絵を眺めたり解説文読んで場面を空想したり…
 おかげで本は手垢とかで真っ黒になり、カバーも擦り切れて破れたのでセロテープで貼り付けてあったり、お気に入りのページなんかはもう取れちゃってたりしました。でも今でも大切に持ってます。

 そうそう、TRPGという単語を知ったのもこの本でした。

 

アイテムコレクション
 このコレクションシリーズは当時、「モンスター」「スペル」「アイテム」と3種類ありました。同じシリーズなので本の後ろに広告が出ていて知ったのですが僕のおこずかいでは全部買う事ができず、1ヶ月に1冊ずつ買って揃えました。

 絵付きで装備品の解説がついたものですが、やはりイラストの力はすごいです。友達と回し読みしながら「あの主人公の持ってる武器はこれだよ」とか「あいつの持ってるのはこれかぁ」みたいにグラフィックで表現されなかった当時のゲームキャラの装備や小説の登場人物たちの姿を想像するのが(そして、それができるのが)とても楽しかった。
 おかげで異様に武器に詳しい子供になってしまって、映画とか見てる時に「あれはサーベルというよりカトラスじゃない?」とか「おっ、スティレットだ」とか「バイキングだからってアックス使うわけじゃないのになぁ…むしろブロードソードとかのが本当だよ」とかブツブツ言って、一緒に見ている家族を引かせるという事態に(^-^;)
 
 ところでこの本の中で武器やアイテムを描写するシーンに剣匠ルーファスというキャラクターが登場しますが、この人ってロードス島戦記に出てくるカシュー王らしいですね。あとで読み返してみると「砂漠で王になる」みたいな予言をされてるシーンとかあるので、この時点でロードス島戦記の設定ってあったんですね。

 

●スペルコレクション
 魔法はやはりファンタジーの華ですね。
 この本では、魔法が使える事が重要なのではなく、どう魔法を使うかが重要というような解説もあって「そ、そうかーー」と目から鱗が落ちたりしました。

 ところでこのシリーズ。後に新版が出たんです。僕ももちろん買ったんですが…うーん…イラストもマンガチックになってたりしてちょっと…(^-^;)
 やはりこの古いシリーズのほうが断然良いですよ!

 

●D&Dがよくわかる本
 この本を手に取った当時、僕はTRPGというものは知っていましたがどんなゲームかは知りませんでした。
 上記のコレクションシリーズと同じ場所にあった、というのが手に取った理由だと思います。

 D&Dのやり方をリプレイ形式挟みつつ紹介しているんですが、当時はまだTRPGそのものがやっと日本に入ってきたという状況だったのでD&D解説本であると同時にTRPG解説本でもありました。とにかくプレイの様子が楽しそうで、どうやったらこのゲームが出来るんだろうと思い、巻末に広告が出ていた赤箱をどうやったら手に入れられるのかと悩みました。(当時はネットもなかったし、身の回りにそういう情報を持ってそうな人もいなかったし、やりようがなかった。)
 この本の存在が後にD&Dへと繋がっていきます。

 

●ロードス島戦記
 たぶん一番有名な和製ファンタジーじゃないですか?
 まずイラストを見て購入を決め、家に帰って読み始めたらどんどんロードス世界にはまりこみ、あっと言う間に読み終えてしまったので次の日学校に持っていって2度目を読みました。
 「D&Dがよくわかる本」を読んだ時と同じような楽しさがありました。生き生きした個性的なキャラクター、剣と魔法と冒険……。まるで自分も一緒に冒険しているような。
 イラストも非常に親しみやすかったですしね。
 
 シリーズは全部読んだと思いますが、アニメの印象が強いんですよね。
 この本がソードワールドRPGへ続く道のはじまりなのは間違いないです。

 

●ドラゴンランス戦記
 実は僕がこれを読んだ時期はロードス島戦記とほぼ同じくらいの時期だったんです。最初、剣道部の先輩が持っていて「お前こういうの好きだろ?おもしろいから読んでみろよ」と貸してくれたんですがちょっと読んでみて「難しい」という印象を受けました。
 その後、読むものがなくなってしまった僕は「先輩も薦めてたし、1巻だけでも読んでみようかな」と軽い気持ちで買ってきました。

 タイミングが良かったのか、二度目に読み始めたらどんどん引き込まれました。今でも冒頭の、”憩いの我が家亭”に旅の仲間が集合するシーンは大好きです。その日の夕飯頃には読み終わってしまって、どうしても続きが読みたくて本屋まで走って2巻を買ってきたんですが、それも寝る頃には読み終わってしまい、その続きを読むには放課後まで待たねばならずもう我慢できないーって状態でした。
 決して完全な人物ではない主人公たちが冒険の旅を通じて自らに向き合っていく展開は、すごく感情移入しやすいし身近に感じられて、自分も一緒に冒険しているような気持ちになりました。名場面は挙げると切りがないので挙げません(笑)

 僕にとって西洋ファンタジーを強烈に印象付けた作品です。いわゆる"濃い"と言われるカバーイラストと共に。(初期の富士見版なので)
 ドラゴンランスとの出会いが、このあと洋RPGにハマっていく流れを作ったと言えるでしょう。