2003年10月の映画  戻る


“アイデンティティー” IDENTITY

2003年 米 90分
監督 ジェームズ・マンゴールド(「君に逢いたくて」「コップランド」「17歳のカルテ」「ニューヨークの恋人」)
脚本 マイケル・クーニー
撮影 フェドン・パパマイケル ASC
美術 マーク・フリードバーグ
音楽 アラン・シルヴェストリ(「バックトゥザフューチャー」「プレデター」)
出演 カロラインxレベッカ・デモーネイ(「ゆりかごを揺らす手」 「ストレンジャー」)/ルーxウィリアム・リー・スコット/ロバートxジェイク・ビジー(「スターシップ・トゥルーパーズ」)/ジョージxジョン・マッギンリー/アリスxレイラ・ケンズル/ジニーxクレア・デュバル(「パラサイト」)/ティミーxブレット・ローア/ラリーxジョン・ホークス/ロードxレイ・リオッタ(「フィールド・オブ・ドリームス」のシューレス・ジョー 「サムシング・ワイルド」「ニッキーとジーノ」「不法侵入」「アンフォゲタブル」「ハンニバル」)/エドxジョン・キューザック(「グリフターズ/詐欺師たち」 「ブロード・ウェイと銃弾」 「「マルコヴィッチの穴」)/パリスxアマンダ・ピート/マルコムxブルイット・テイラー・ヴィンス
メモ 2003.10.26 敷島シネポップ
あらすじ
豪雨により行き所がなくなった人達がさびれたモーテルに集まってくる。
交通事故で血を流しているアリスを運んでいるのは夫のジョージ。そして息子のティミーの一家(4号室)。アリスを引いてしまった運転手のエドは救急隊を呼ぼうとするが電話は不通。エドは落ち目の女優カロラインと一緒だ(8号室)。モーテルの管理人はラリー。エドが救急病院を目指す途中で拾ったのが娼婦のパリス。車が水没した所で出会ったのがルーとジニーの夫婦(6号室)。4人でモーテルに帰ってくると刑事のロードがやってきた。彼は護送中の囚人ロバートを連れていた(10号室)。
感想
もしもあなたがミステリファンなら、映画のコマーシャル(やっているとすれば)、友人の話、ネットの感想なんでもかでも見ない聞かない読まない事を強くおすすめする。下の感想も読まない方がいい(かも)。
 
 
 
雪に閉ざされた山荘、 嵐の孤島、 豪雨で孤立したモーテル」で起こる連続殺人・・・・・・モノ。
 
途中で「ありゃまあ、ミステリとしてそれでええんかい。」と椅子からずりずり落ちながらも 「こりゃまた新しいワ・・・・。」(強引な展開にケチがつけられない。みんなを集めた理由って・・・)
 
と思ったら最後はきっちりミステリだった。
      ヒントがあったのにぃ(じだんだ)。完敗
脚本はあの「キラー・スノーマン」の人なんですと。なんと大胆不敵な題名なんだ。
おすすめ度★★★★1/2
戻る

笑う蛙

2003年 米 116分
監督 平山秀幸(「OUT」 「ターン」 「愛を乞う人」 「学校の怪談4」
原作 藤田宜永(「虜」)
脚本 成島出
撮影 柴崎幸三
美術 中澤克巳
エンディングテーマ 「春夏秋冬」(泉谷しげる)
出演 長塚京三(倉沢逸平)/大塚寧々(涼子)/國村隼/雪村いづみ/きたろう/金久美子/ミッキー・カーチス/南果歩
メモ 2003.10.18 WOWOW録画
あらすじ
倉沢逸平は銀行の支店長。妻は美人で実家は素封家だ。ところが中年の危機が襲来。スナックの女に入れあげたのか銀行の金を横領そして失踪。妻は亡き父親の別荘でひっそり暮らしている。そこへ逃亡生活の末のこのこやって来たのが逸平。誰もいないと思っていたのだ。妻はしばらく匿うのに条件を出す。離婚届に印を押してくれというのが条件。「君には迷惑をかけた」という手紙と共に郵便で送れと言う。7年も待てない妻には理由があった。
そして納戸の住人になる夫と何くわぬ顔をして日々を送る妻との奇妙な同居生活が始まった。
感想
笑った。内容は「夫婦とは異なもの妙なもの」で結構気が重たいがもうこうなりゃ笑うしかないっ。それぞれのせちがらい現実と夢が同居している。
9年間一緒に暮らしていたが気持ちは通じていなかったらしく、妻が「ずっと子供の面倒みているような気がしていた(ようするに大人の男を感じなかった)」という言葉に夫は唖然。(そりゃ俺が悪いよ。でも、、、そんな、、、あんまりじゃ・・・) 妻は夫の元愛人から「(だんなさんは)女房は毛並みのいい猫かっているみたいでつまらん(ようするに色気がない)と言われてました。」という言葉にさもありなん顔(まああの人には開花されなかったわね)。
この妻はお育ちがよく、おとなしげな顔でありながら「嘘」をついては刑事や夫の愛人を撃退する。後腐れはみじんもない。ゼロ。お見事だ。 最後もお見事だった。「秘密」と似てるな。
「夫婦のSEXは近親相姦になるからしません。」と昔冗談交じりで言っていた人がいたが、この映画を見ていると夫婦感覚ってそうなんかも。
 
さぼてんは長塚京三さんとともに面白いと思ったのがきたろうさん。「きょうの料理」タンタカタカタカタッタッターン♪の着メロがなっては中国語でしゃべる(日本語のセリフは『涼子の兄です。』『なにそれ、そんな話聞いていないよ。ここ売ったら一億はくだらないよ。俺達の相続分はどうなるの?』だけ)。気の強い妻のお尻に引かれているようでシャオホンちゃんという愛人がいる様子。それでもお寿司を食べながら妻の湯飲みからお茶をつぐ(あれが夫婦感覚なんだな)。子供が出来た事を知って妹の愛人ヨシズミさんに「おめでとう」とばかりに握手をするという長塚京三さんのおおきなリアクションと正反対の細かい演技が面白い。
おすすめ度★★★★
戻る

マッチスティック・メン MATCHSTICK MEN

2003年 米 116分
監督 リドリー・スコット(「ブレードランナー」「エイリアン」「グラディエーター」
原作 エリック・ガルシア
脚本 ニコラス・グリフィン/テッド・グリフィン(「オーシャンズ11」 「完全犯罪」
撮影 ジョン・マシソン、B.S.C
美術 トム・フォーデン
出演 ニコラス・ケイジ(ロイ・ウォラー)/サム・ロックウェル(フランク)/アリソン・ローマン(アンジェラ)/ブルース・アルトマン(ドクター・クライン)/ブルース・マッギル(チャック・フレシェット)/シーラ・ケリー(キャシー)
メモ 2003.10.12 梅田ピカデリー
あらすじ
自らを「コン・アーティスト(まあ要するに詐欺師。知能犯)」と称するロイは強迫神経症の罠に陥っている。薬で抑えている日常だ。薬がきれようもんなら家から一歩も出れない広場恐怖症と掃除が止まらない潔癖性のオンパレード。夜逃げした主治医に代わり新しくかかった精神分析医に「いつから女性と付き合っていないんですか?」と問われて気づく。「十数年前から、、、、殴ったらお腹に子供がいた彼女は家を出てしまった。」 深層心理的には「生まれているかもしれない子供に会いたい」んではないかという事になる。
感想
現代版「ペーパー・ムーン」か・・・とオールド映画ファンなら思うよな。思うはず。
・・・・・・・もうこれ以上言えない。言えないお話。
 
*「ペーパー・ムーン」は1930年代の米国を舞台にした詐欺師と同行する小さな女の子のロードムービー。「ある愛の詩」のライアン・オニールと実の娘のテータム・オニールが共演。この映画でテータム・オニールは最年少のアカデミー助演女優賞を受賞している。その後テニスのジョン・マッケンローと結婚。離婚後は映画界に復帰。監督は「殺人者はライフルを持っている!」のピーター・ボグダノビッチ。1973年の作品。
おすすめ度★★★★1/2
戻る

28日後... 28DAYS LATER

2002年 米 114分
監督 ダニー・ボイル(「トレインスポッテイング」「シャロウグレイプ」「普通じゃない」
脚本 アレックス・ガーランド
撮影 アンソニー・ドッド・マントル DFF
美術 マーク・ティルデスリー
音楽 ジョン・マーフィ
出演 キリアン・マーフィ(ジム)/ナオミ・ハリス(セリーナ)/ミーガン・バーンズ(ハナ)/ブレンダン・グリーソン(フランク)/クリストファー・エクルストン(ウェスト少佐)/ノア・ハントレー(マーク)
メモ 2003.10.2 シネ・リーブル梅田
あらすじ
霊長類研究所のチンパンジー達は、暴動、戦争、暴力の映像を見せ続けられている「時計仕掛けのオレンジ」のアレックス状態。すぐにキレる人間社会のために「暴力を抑制する薬」を研究中だったらしい。チンパンジーの体内ではウィルスが培養されていた。人間と見れば襲いかかる凶暴なウィルスだ。それなのに動物愛護のテロリストが研究員の制止も聞かず檻を開ける。
ジムは病院で目覚めた。病院には人っ子ひとりいない。街に出て「Hello」と呼びかけるが答える者はいない。街は二階建てバスが横転して荒れている。
感想
目覚めたら誰もいないっていう所が「トリフィドの日(人類SOS)1963年」に似ている。昨夜の流星群を目の手術で見れなかった男が誰もいない街を彷徨うシーンが印象的な映画だった。街は流星群を見た人々が失明しパニックを起こした残骸だった。
 
この映画をゾンビ映画とみるか、ゾンビよりもコワイ人間の映画とみるか両方味わえる二本立てとなっている。ウェストミンスター橋や高速道路が静かでシュールな前編がいい。音楽もはまっている。そして「動」は運動選手を起用したゾンビが速い。人間を見ると猛然とダッシュするゾンビなのだ。「バイオハザード」と比較している人が多かったがさぼてんはピンとこない。似てるか?(ゲームの方だろうか。) あれは戦いを主としたアクション映画だぞ。 「28日後...」はゾンビとは戦わない。防戦しているだけ。かないっこないから逃げる。絶望の中希望を探して逃げる。そして救ってくれるはずのはぐれ軍隊と出会う。
ネタバレ
あの軍隊は人間を食料としているのかと思いましたよ(何かに毒されているか?私)。それに比べると甘いというかよりおとろしいというか。みんなで使うんやからきれいにしとこうってか?(むかむか)。主人公も極限状態となると本能的な暴力性が目覚める。後先考えずにゾンビを放つ。人間ってこういうもんなんですよ。それでも生きる力があるからこそ滅亡しないんですよ。監督はそれを是としている。というとなんやら高尚な感じがする、、、、かもしれん(そんな映画やないです)。
最後の「HELL(地獄)」と「HELLO(コンチハ)」は面白い。これから訪れる事態もどちらかわからないという事を暗示している。それでも前に進め、希望を持てということなんだな(好意的に解釈すれば)。
(ついでながらANOTHER ENDINGは余分だと思う。DVDの特典でよかったのでは。作り手が中途半端でどうする、ぴしっと決めろという印象を残す。)
おすすめ度★★★★
戻る