2002年11月の映画  戻る


うるさい女たち Outrageous Fortune

1987年 米国 99分
監督 アーサー・ヒラー
脚本 レスリー・ディクソン
撮影 デヴィッド・M・ウォルシュ
出演 シェリー・ロング(ローレン)/ベット・ミドラー(サンディ)/ピーター・コヨーテ(マイケル・サンタース)/ロバート・プロスキー(コゼノフスキー「遙かなる大地へ」「ミセス・ダウト」「真夜中のアウトロー」)/ジョージ・カーリン(フランク「ビルとテッドの大冒険」「ドグマ」)/アンソニー・フィールド(ウェルドン)
メモ 2002.11.22 BS2録画
あらすじ
コゼノフスキー大先生の演劇クラスで一緒しているローレンとサンディは犬猿の仲。ローレンはバレエ歴9年、大学で演劇を学びロンドンで演劇を学びめざせシェークスピア役者だが一向に芽が出ない。金食い虫のお嬢はただいま勘当同然。一方映画「アバズレ・ニンジャ」に出演して2500ドルの報酬を手にした事があるサンディは一応プロの女優。ただ「ハムレット? それ誰?」ではあるが。そんな水と油のふたりには渋い二枚目の恋人(ピーター・コヨーテ)がいる。共通の恋人だ。つまり男が二股かけていた訳。ローレンがつきあい始めて3週目、恋人のマイケルは「薔薇を買ってくるよ」と花屋に入り爆死してしまう。モルグで鉢合わせしたローレンとサンディは取っ組み合いの最中にマイケルの変わり果てた姿を見てしまう。「???」とふたりが見つめるのはただ一点だった。警察に駆け込み「あの死体はマイケルとちゃう!」と訴えるふたり。♂が問題らしい。「ほかの男たちもたまげるナニよ」だ。大笑いの警察につまみ出されたふたりは「ふたりの内ひとりを選んでもらおうじゃない。」と二股男マイケルの捜索を体当たりで始める。「何故姿をくらましたのか?」 「マイケルは本当に小学校の教師なのか?」 「あの死体は誰なの?」なぞ考えもせずに。
感想
ラストの「四本指岩」でのローレンの跳躍はマトリックス跳びに匹敵する。見る価値あり。マイケルを追うふたりがなんとか情報を引き出そうと色々演技するひとつひとつのシーンは楽しいがいまいちパンチが足らない。これだけのメンツで惜しい。マイケルの乗った飛行機を聞き出そうとチケットカウンターでの東欧の少女役が一番面白いな。苦肉の策の演技でふたりが鍛えられていくのが楽しい。
ローレンがカタコト英語で話す。「プラハにいる両親がスーツケースに入れてワタシタチフタリを米国にニガシタ。ソノリョウシンがアメリカにクル。タダドノ飛行機に乗っているかワカラナイ。オシエテ」と言ってふたりがヨヨと泣き崩れる。

年輩の職員は「こんなクサい芝居。航空会社勤務19年で初めて見たワ。    お礼しなきゃ」(爆)
おすすめ度★★★
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トリプルX xXx

2002年 米国 124分
監督 ロブ・コーエン(
「デイライト」「ドラゴン・ハート」「ワイルド・スピード」)
脚本 リッチ・ウィルクス
出演 ヴィン・ディーゼル(ザンダー・ケイジ「ピッチブラック」「プライベート・ライアン」)/サミュエル・L・ジャクソン(NSAアウグスト・ギボンズ)/アーシア・アルジェント(エレーナ)/マートン・チョカーシュ(アナーキー99リーダー・ヨーギ)/マイケル・ルーフ(トビー・リー・シェーバース)
メモ 2002.11.9 南街シネプレックス
あらすじ
権力者に楯突いていたアウトローが何故か人類を救うのだった。
事の起こりはサブカルチャーの英雄だったザンダーのオイタがすぎちゃって、NSA(米国家安全保障局)に目をつけられ「どうせむちゃくちゃしたいんやったら、人のためになる事してもらおうやない。」といきなりソ連が崩壊したとかテロリストがアナーキストが国家機密がどうやらの世界に放り込まれる。現代ではワルの方が進んじゃって、エリート育ちのエージェントでは真っ白な中の黒いシミのように目立ちもはやスパイやないでアンタの事態になっていたのだ。
感想
不良版「007」。本家本元よりも時代にあってんじゃないでしょうか。「007はゼロゼロセブンちゃう。ダブリュオーセブン。」というのが唯一大学の米語の授業で得た知識。ダブルからトリプル、OからX、セブンからテン(X)とあがっとります。この映画の最大の見所はパワフルなアクションシーン。とくにコロンビアの麻薬王(ダニー・トレホ)のとこで襲ってきたコロンビア政府軍のヘリから逃げるバイクシーンがいい。★5つ。舞台は古都チェコに移り無国籍映画風だったのですが、最後に「この映画アメリカ製でっせ」という印がぽんっと現れた。笑える。

ザンダー役ヴィン・ディーゼルのアーシア・アルジェントとのキスシーン、マッチョぶってたけれど「絶対テレてるよな」と思っていたら、本人かなりシャイな方のよう。インタビューでアーシアとの共演の感想を聞かれたらしどろもどろ、日本女性の印象を聞かれたらつまっちゃって「・・・・Do not ask me!」だったらしい。こういう方が次から次へと浮き名を流し始めたら何を信じていいのかわかりませんっ。
おすすめ度★★★1/2
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クライム&ダイヤモンド Who Is Cretis Tout?

2001年 米国 92分
監督・脚本 クリス・バー・ヴェル
撮影 ジェジー・ジエリンスキー
音楽 ランディ・エデルマン
出演 クリスチャン・スレーター(トレバー・フィンチ)/ティム・アレン(毒舌ジム)/リチャード・ドレイファス(マイコー)/ポーシャ・デ・ロッシ(テス)/ビリー・コノリー(ドクター・サビアン)/ルポール(ジンジャー)
メモ 2002.11.2 心斎橋シネマ・ドゥ
あらすじ
結構これが複雑なんだな。監督さんが好きな映画を寄せ集めた内容なもんで。古くて新しい映画だ。
場末のホテルの一室を開けたフィンチ(クリスチャン・スレーター)は頭に銃を突きつけられる。殺し屋・毒舌ジム(ティム・アレン)だ。毒舌ジムは古い名画のフリークで何度見ても「ティファニーで朝食を」のラストで涙ぐめる男。その毒舌ジムが椅子に括り付けたフィンチに「90分話を聞かせてくれ。話がおもしろい間は殺さない。」と持ちかける。シェラザード・フィンチの話はいきなり25年前の銀行強盗から始まる。脱獄、盗撮、マフィアに命を狙われとお話は走り続けるが、もちろんロマンス味も欠かせない。
感想
人相のよくない男ふたりがダイナーでジョン・プアマン監督の「脱出」談義をしている所から映画は始まる。
 その内容はと言えば「何故川下でバート・レイノルズを待たない?」。
小品で
「ビッグ・ヒット」と同じく大衆受けはしないが犯罪映画ファンには支持される佳作と思う。甘めではある。

毒舌ジムが合いの手に入れる古い映画は、ヒッチコック監督の「レベッカ」、ビリー・ワイルダー監督の「深夜の告白」、ジョン・ウェインの遺作西部劇「ラスト・シューティング」 「天国から来たチャンピオン」 「愛と追憶の日々」 「マルタの鷹」。 他にも影像ではスティーブ・マックイーンの「大脱走」(今見ても実にカッコイイ)。セリフでは”ダイヤは最高の友”(「紳士は金髪がお好き」) 「雨に唄えば」と古い映画ファンの心をくすぐります。

本作品で使われた名セリフ。
 「サンセット大通り」
   「これが人生、この先も同じ、存在するのは私たちとカメラと暗がりにいる人々」
 「特攻大作戦」
   「任務に志願した者には3つの道が残されてる」
   「特訓から脱落したら即刻死刑だ」
   「戦闘から脱落すれば−−」 「俺が脳ミソを吹き飛ばす」
   「しかし命令に従えば生き残るかもしれん」
 「ティファニーで朝食を」 ジョージ・ペパードとオードリー・ヘップバーン
   「君は僕のものだ」
   「人は所有できないわ」
   「できるさ」

本作品のお気に入りのセリフ
  「回想シーンで回想はできるか?」

おすすめ度★★★★
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OUT

2002年 日本 119分
監督 平山秀幸(
「青春の殺人者」・助監督「マリアの胃袋」「学校の怪談4」「愛を乞うひと」「ターン」)
原作 桐野夏生 「OUT」
脚本 鄭義信(「月はどっちに出ている」「岸和田少年愚連隊」「犬、走る」
撮影 柴崎幸三
音楽 安川午朗
出演 原田美枝子(香取雅子)/賠償美津子(吾妻ヨシエ・師匠)/室井滋(城之内邦子)/西田尚美(山本弥生)/香川照之(十文字彬)/間寛平(佐竹光義)/大森南朋(山本健司)/千石規子(吾妻千代子)

メモ 2002.11.1 梅田松竹ピカデリー
あらすじ
夫がリストラにあい会話ゼロ家庭崩壊状態の雅子、寝たきりの姑の世話に縛られしかも立ち退きまで迫られているヨシエ、ブランド漁りの果てに借金で首が回らない邦子、バカラ賭博に入れあげ暴力までふるう夫をもつ妊婦の弥生、の四人は日常が煮詰まっている。真夜中の弁当工場で働いている4人には疲れた日常と奇妙な連帯感があった。弥生が暴力夫に反撃し絞め殺したから4人の人生は思ってもしなかった所へと転がっていく。
感想
原作とは似て非なるものでした。
男は「問いつめられるのが嫌い(だいたい深く考えて行動していないしぃ)」とか女は「他の女の人生までちょっと自分のものとして受け入れてしまう」のがよくわかる演出と脚本だ。男だとか女だとか単純に言い切れないが。「女」が「他の女の人生まで・・・」ってのは、どういう事かと言えば、最近ちびさぼの仲間連に「こくられた(好きだと同級生の男の子から言われた)」子がいたらしい。きゃーで友達のひとりなんぞ当事者でもないのに「その夜は眠れなかった」とか。さぼてんなんぞもちびさぼと共にもう一度中学生をしているようなもんです(実に迷惑だろうが)。

極限状態の喜劇。バスルームでは恐くておかしく、スケート場ではウキウキしたり、弁当工場では辛くて退屈と日常と非日常が交叉する不思議な映画だ。カラオケでピクミンを歌い「家庭作りはうまくいかなかったけれど一生懸命頑張った」雅子がいい。ラストにはみんなサバサバと割り切れちゃっているのがいい。さらに陰鬱な空のオーロラが美しい。
おすすめ度★★★★1/2
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