2003年8月の映画  戻る


ライフ・オブ・デビット・ゲイル THE LIFE OF DAVID GALE

2003年 米国 131分 ユニバーサル
監督 アラン・パーカー(「ミッドナイト・エクスプレス」「エンゼル・ハート」「バーディ」「ミシシッピー・バーニング」)
製作 ニコラス・ケイジ/アラン・パーカー
脚本 チャールズ・ランドルフ
撮影 マイケル・セレシン
音楽 アレックス・パーカー/ジェイク・パーカー
出演 ケビン・スペイシー(デビッド・ゲイル)/ケイト・ウィンスレット(ビッツィー)/ローラ・リニー(コンスタンス「トゥルーマン・ショー」)/ガブリエル・マン(ザック「ボーン・アイデンティティー」))/マット・クレイブン(ダスティ)/レオン・リッピー(ベリュー弁護士)/ローナ・ミトラ(「インビジブル」バーリン)
メモ 2003.8.29 ナビオTOHOプレックス
あらすじ
デビッド・ゲイルは元教え子からレイプで訴えられ大学の哲学教授職を失う。訴えは取り下げられるが一度貼られたレッテルははがれない。お定まりの離婚。愛する幼い息子を連れて妻はスペインへ去る(妻はスペインに愛人がいた)。ハーバートを主席で卒業したエリートの転落の人生だ。しかし過酷な運命はおさまらない。「死刑廃止」運動を共に戦っていたコンスタンスが殺害されデビットがレイプ殺人犯となってしまう。そして6年。控訴(上告)が棄却され刑が確定する。金曜日の処刑に先立つこの世の最後の3日間雑誌記者のビッツィーにインタビューを逆指名してくる。話を聞いて冤罪の手記を書いてくれと言うのだ。
感想
カウントダウンサスペンス・・・でいいかな。ケビン・スペイシーが息子を奪われて孤独でね。暗い。ケイト・ウィンスレットがどたどた走ってね。重い。コンスタンスが真剣すぎてね。コワイ。弁護士ベリューが調子よくてね。軽い。庭師のダスティが狂信的でね。あやしい。と見所はたくさんある。前知識なしにピュアに見るのがお奨め(と今頃言う)。
 
「死刑廃止」もテーマやけれど賛成派は血に飢えた狼扱いやし反対派はエキセントリックな感情論者達といった描き方で問題提起しているだけー。議論などつくされちゃいない。映画は議論しても平行線だと言わんばかりだ。アメリカは数値(事実)が物をいう国なんだ。しかも被害者や遺族はまったく問題とされていない。話がややこしなるからなーってそれでいいのか?
以下は少しバレです。
人が人を裁くのは難しいというのはわかる。血を血であがなうだけでいいのかそれは古代の法と同じではないかというのもわかるような気がする。しかしうまく書けないけれどデビットとコンスタンスは「附属池田小」や「宮崎事件」の加害者も同じように救おうとするのだろうか。未成年だから裁かれないレイプ殺人とか。生きてその大罪を償えるんだろうか。死んでも償えないけど。
おすすめ度★★★★
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ファム・ファタール Femme Fatale

2002年 米国・フランス 115分
監督・脚本 ブライアン・デ・パルマ
撮影 ティエリー・アルボガスト
音楽 坂本龍一
美術 アン・プリチャード
衣装 オリヴィエ・ベリオ
出演 レベッカ・ローミン=ステイモス(ロール/リリー)/アントニオ・バンデラス(ニコラス・バルド)/ピーター・コヨーテ(ブルース・ワッツ)/リエ・ラスムッセン(スーパーモデル・ヴェロニカ)/エリック・エブアニー(ブラック・タイ)/エドュアルド・モントート(ラシーン)
メモ 2003.8.24 梅田OS劇場
あらすじ
カンヌ国際映画祭の会場でスーパーモデルのヴェロニカが身につけているのは「純金の蛇のビスチェ」(あれで人前に出るのか。すごいな)。510個のダイヤモンドもちりばめられている。そのお宝を贋物とすり替える作戦が密かに進む。紅一点のロールはヴェロニカを誘惑する役(よほど飢えていたのかすぐに誘惑される)。リーダーのブラック・タイは贋物とすり替える役(その方法がアナログなのだ)。ラシーンは電源をショートさせる役。後ひとりは警備員の四人組(あの鍵は何に使ったのか覚えちゃいない)。ところがアクシデントが起こる。どうやらビスチェのヒモを切ると異常事態発生、警報がなるらしい。ガードマンに撃たれたブラック・タイを見捨てロールは蛇のビスチェを奪って逃げる。偶然がヴェロニカに味方し偶然から恋をものにし7年後アメリカ大使夫人となってフランスに舞い戻ってくる。素顔は隠されていたが、元パパラッチのニコラス(バンデラス)が金に困り激写する。秘密があんのよ、困るのよ、昔の仲間に殺されるわ(<フランスに戻って来るなー、大使なんかのヨメになるなー、地の果てに逃げろー、何考えてんねんー)
感想
ブライアン・デ・パルマ監督はbitchが好きだなあ。これは趣味の映画だぞ。ラジー賞にノミネートされるかもとかいう話だったけれど、予想していたよりはずっと面白い。新人監督がこれをしてはまあ針のむしろやろうけど。途中演技が単調でいささか眠たい。ロール役のレベッカ・ローミン=ステイモスがイマイチうまくないんだな。ユマ・サーマンだったらどうだったかな。脱がないかな。かわりといってはなんですがこの人体の線はきれい。さすが元スーパーモデル。「X−MEN」青蛇のようなミスティーク役の人ね。
 
冒頭ロールが見ている映画がビリー・ワイルダー監督の「深夜の告白」。バーバラ・スタンウィックが「男を好きになった事はないわ。」って言うのがかっこいい。さぼてんにとって「ファム・ファタール(運命の女)」からまず連想する映画は「白いドレスの女(BODY HEAT)」。キャスリーン・ターナーね。
おすすめ度★★★1/2
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パイレーツ・オブ・カリビアン 呪われた海賊たち

2003年 米国 143分 ブエナ・ビスタ
監督 ゴア・バービンスキー(「ザ・リング」)
製作 ジェリー・ブラッカイマー
脚本 テッド・エリオット
出演 ジョニー・デップ(ジャック・スパロウ)/ジェフリー・ラッシュ(バルボッサ船長)/オーランド・ブルーム(ウィル・ターナー)/キーラ・ナイトレイ(エリザベス・スワン「ベッカムに恋して」))/ジョナサン・プライス
メモ 2003.8.15 千日前国際シネマ
あらすじ
海賊ジャック・スパロウ船長は手下の裏切りにあって大事な船ブラック・パール号を失う。とほほの海賊ジャックがあの手この手奥の手を駆使してブラック・パールを奪還しカリブの海賊から七つの海の海賊へと自由を求めそして海賊王になるため地平線に向かうまでの顛末記。
感想
お盆休みで映画館も盛況だろうてと空いている映画館を吟味する。思惑通り千日前国際シネマは15分前に行ったら十分座れた。さすが千日前。9日土曜日の千日前セントラル「T3」もガラガラだったって(まあ台風のせいもある)。シメシメと思った所が思わぬ落とし穴が。パンフが売れ切れ入庫待ちなんやって。ぎょうさん用意しとけー。許されへんわ。
 
肝心の映画といえば、ジョニー・デップの登場シーンがバスター・キートンの映画みたいで。さぼてんの心を掴む。濃いコスチュームも二股のあごひげもカリブらしいレゲエっぽいヘアスタイルも楽しい。常に酩酊状態みたいにゆらゆらしていてね。ネジが緩んでんねん。おーい誰かこの男のネジをしめたれよーって感じ。映像はバルボッサ船長とジャック船長の一騎打ちで月の光があたるところでは骸骨になり、闇では人間に戻るってシーンがすごくよかった。ディズニー映画という事もあり毒は少なくコミカル。その分行儀が良くパンチが足らない。バルボッサ船長とジャック船長の番外編とかあれば面白そうなのにな。
おすすめ度★★★1/2
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アンダーカバー・ブラザー Undercover Brother

2002年 米国 86分
監督 マルコム・D・リー
脚本 ジョン・リドリー/マイケル・マクリース
音楽 スタンリー・クラーク
美術 ウィリアム・エリオット
出演 エディ・グリフィン(アンダーカバー・ブラザー「ジョンQ」)/クリス・カッタン(Mr.フェザー)/アウジャーヌ・エリス(シスタ・ガール)/デニス・リチャーズ(ペンロープ・スノー=ホワイト・シー・デビル「ワイルドシングス」「007ワールド・イズ・ノット・イナフ」チャーリー・シーンの現妻)/デビッド・チャッペル(悪知恵ブラザー「ナッティ・プロフェッサー クランプ教授の場合」)/チー・マクブライド(ザ・チーフ)/ゲーリー・アンソニー・ウィリアムズ(スマート・ブラザー)/ビリー・ディー・ウィリアムズ(バウトウェル将軍)/ジェームズ・ブラウン(ソウル歌手)
メモ 2003.8.11 動物園前シネフェスタ
あらすじ
時は現代、、、かなあファッションは1970年代風だが。「ザ・マン」という白人至上主義の秘密結社がアメリカ合衆国初の黒人大統領誕生に待ったをかける。元戦争の英雄のバウトウェル将軍が大統領選に出馬を表明するかと思いきや、国民のためにフライド・チキン屋を始めると宣言するのだ。「打倒カーネル・サンダース!」。どうやら「ザ・マン」に新薬を注入され洗脳済らしい。この悪魔の所業を阻止せんとするのが黒人秘密組織の「ブラザーフッド」。この組織にスカウトされたのが一匹狼のアンダーカバー・ブラザー。単身銀行に潜入し利払いに苦しむ貧しい黒人のデータを消去するというネズミ小僧スタイルで組織に見込まれた。「SOLID=キメたぜ!」が決めゼリフ(あたりまえか)のC調男、巨大なアフロヘアがご自慢でゴージャスな車にのる派手なのがスパイ? まあ美人に弱いっていう所がスパイの伝統を受け継いでいるか。
感想
キャッチコピーが「ブラック版オースティン・パワーズ」。
なんで見に行きたいと思うのかさっぱりわからん。軽そうだし明るそうだからか?(誰に聞いているのだ?) 最近ちょっと現実から逃避モード。錯乱しているからな。
 
1970年代にはマイノリティの地位を謳歌し「ファンキー!」とブラックパワーで踊り狂っていたが最近はヒスパニックのプエルトリコやらイスラム教徒やら他のマイノリティに地位を脅かされつある(「ぼくの国、パパの国」「ベッカムに恋して」「マイ・ビッグ・ファット・ウェディング 」参照)黒人が「元祖はうちらなんよ」と地位を奪還しようとする映画なんだな。とはいっても黒人至上主義的な内容ではなくエディ・グリフィンとデニス・リチャーズが「ピアノの白(鍵)と黒(鍵)は仲良く寄り添っているのよ〜♪」(ちょっとあやふや〜♪)と歌う所が楽しい。
黒人白人双方の文化になじんでいるとは言い難いゆえ笑いどころを外し理解度は不十分なれど、実におばかな映画だというのはよーくわかった。この感想を読んで楽しめそーと思った人はビデオをお見逃しなく。さぼてんは「オースティン・パワーズ」より本作の方が好きだ。
 
Mr.フェザー役のクリス・カッタンは「コーキー・ロマーノ/FBI潜入捜査官?」の主役の人。マフィアのボス・ピーター・フォークの勘当された息子で、それでも親父の危機のためにFBIに潜入するけなげな役ね。強烈だったのはブレンダン・フレンザー主演の「モンキー・ボーン」。司法解剖中の死体やねんけどゾンビ状態で青い顔して走る走る。今回も負けず劣らず。心はブラック・カルチャー頭はホワイトイズナンバーワンの黒白に分裂した人格を目をむいて熱演。
おすすめ度★★★
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ビューティフル・クリーチャー Beautiful Creatures

2000年 英国
監督 ビル・イーグルス
脚本 サイモン・ドナルド
出演 スーザン・リンチ(ドロシー)/レイチェル・ワイズ(ペチュラ)/イアン・グレン(トニー「ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ」「トゥームレイダー」)/トム・マニオン(ブライアン)/マーリス・ローヴス(ロニー「ラスト・オブ・モヒカン」)
メモ 2003.8.9 レンタルDVD
あらすじ
暴力的でサイコでサイテーな恋人トニーの元から逃げ出そうとしたドロシー。ロンドン行きのバスに乗ろうとした所で愛犬のプルートが逃げだした。プルートを追っかけていると女が殴られているシーンに遭遇する。暴力的な男に怒髪天だったドロシーは、男の後頭部を鉄バイプでバッシーン。倒れた男を気を失っているだけと女ふたりで家に運んだらおっちんじゃった。どうしよう!
感想
パソコンの液晶画面で見た記念すべき第一作。映画を選ぶべきだったか。。。出演は「ハムナプトラ」のレイチェル・ワイズと「スパイ・ゾルゲ」のイアン・グレン。ふたりとも経歴から抹消したいんじゃなかろか。まあブラックな展開で面白かったんやけどね。レイチェル・ワイズのプラチナ・ブロンドのおつむちょっとたらなさそうな秘書役ペチュラは見物。「私のブライアン」と泣いていたかと思うと、夜中の電話に「ブライアン?」と問いかける(ブライアンは行方不明という事になっている)。あんたらが殺したんやろー頭おかしくなったんかーと思ったら、「誰から電話がかかってくるかわからないから」という演技やった。やるやん。
 
4箇所よくできていたな。ドロシーがしらんしらんと言っていたゴルフバックは質に入れてたんかい。推測するにロンドン行きのチケットに化けたんだな。二つ目は犬のプルートがおいたをして死体であるブライアンの指をかみ切っちゃったから誘拐に見せかけようと思いつく所。指はタッパーに入れて冷蔵庫に大切に保管(残った大きい方はあのままで大丈夫か?)。三つ目はドロシーがペチュラに脅迫電話を掛けている最中、ペチュラに身代金の額を決めさせるシーン。大胆に100万ポンド(1ポンド190円として2億円弱)なのだ。四つ目は犬を使った身代金の受け渡しね。
 
要するに自分勝手な男達はすべて単独行動であるのに対し、非力な女(どこが非力やねん)ふたりはがっちりとタグマッチしていたという映画なのだな。
おすすめ度★★★
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