2001年5月の映画


スリ
2000年 日本
監督・脚本 黒木和雄(「祭りの準備」「TOMORROW/明日」)
脚本 真辺克彦/堤泰之
出演 原田芳雄(海藤)/石橋蓮司(矢尾板)/風吹ジュン(鈴子)/真野きりな(レイ)/柏原収史(一樹)/伊佐山ひろ子/平田満/香川照之
メモ 2001.5.20 天六ホクテンザ(だったと思う)
あらすじ
ハコ師(電車専門のスリ)海藤(原田芳雄)が獲物を狙っている。それを見つめている刑事の矢尾板。ふたりは長い間クラクラするよな緊張した時を共に過ごしてきた。指先だけで生きた職人のような海藤と、執念の刑事には奇妙な仲間意識がある。が、海藤はアルコールに溺れ指先が震え身を持ち崩している。刑事はライバルのふがいなさが心にひっかかっている。「芸術家的スキルの天才スリ(人間国宝物だ)を、このまま朽ち果てさせていいのか!」と。
感想
キムタクのCMの原田芳雄さんを見ていて、「感想かこ」と思い立った作品。原田芳雄さんっていつからこんな味のある俳優になりはったんでしょ。若い頃はあまりにキザ、カッコつけ過ぎでシリアスな場面で思わず笑らっちゃうような所あったのに。年くってから化けた。血のつながりのない娘と暮らしていてもぜんぜん変じゃないって所がなかなかできそうでできないもんと思う。
レイ(真野きりな)に「あんたのお母さんどんな人?」って聞かれて一樹(柏原収史)が「エロ系だな。なにしろ男が好きで好きで」って言われる伊佐山ひろ子さんもサバサバしててかっこいい。エロ系は無理としてもこういうタイプになれるもんならなりたい。

若いのも年くったのも男も女もエリートじゃなくいっぱい欠点も抱えながら、都会の片隅でなんとか自分の力で生きていくって姿がみんなかっこ悪くてかっこいい。なんとなくこっちも「がんばろう」って気になる。
おすすめ度★★★★
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ハンニバル HANNIBAL
2000年 米国 131分
監督 リドリー・スコット
製作 ディノ・デ・ラウレンティス
脚本 スティーブン・ザイリアン
原作 トマス・ハリス
「ハンニバル」
音楽 ハンス・ジマー
出演 アンソニー・ホプキンス(ハンニバル・レクター)/ジュリアン・ムーア(クラリス・スターリング)/ゲーリー・オールドマン(メイスン・ヴァージャー)/レイ・リオッタ(ポール・クレンドラー)
メモ 2001.5.13 梅田ピカデリー
あらすじ
「羊達の沈黙」から10年。スターリングはエリートになることもなく現場で命をはっていた。出る杭は打たれたのか。前の事件で脚光をあびたクラリス・スターリングは司法省のクレンドラーに目の敵にされていた。
感想
見に行って来ました。ちびさぼに内緒の隠密行動で。
後5年早く映画ができていたなら。。。アンソニー・ホプキンスは年とりました。でもエレガントさは磨きがかかっている。前作「羊達の沈黙」が米国の映画なら、この次作は陰影が美しくヨーロッパの香りがする。イタリア・フィレンツェのシーンが秀逸。
映画と原作は3つ大きな違いがある。ひとつはハンニバルの妹ミーシャのエピソードが出てこない事。そのためにハンニバルがクラリスに執着する理由がわかりにくい。もう一つは大富豪メイソンの妹がでてこない事。メイソンがどれほど異常者なのかつかみにくい。そしてポール・クランドラーとクラリス・スターリングの確執が描き切れていないためにああいうラストになったという所。しかし、映画としてはよくまとまっている。「原作よんでいなくても訳わかるんだろうか?」という頭の悪いのはさぼてんだけかもしれない。男と女の宿命の対決というのというのがテーマなのかもしれない。わかりあえないながらも引がれるという所が。

  ジュリアン・ムーアという女優さんはさぼてんにはよくわからない人だ。「9ヶ月」でヒュー・グラントの奥さん役だったのが最初に見たような気がする。美人かどうかのすれすれかなと思ってしまう。「妹の恋人」ではティーン・エージャーの頃ホラー・映画に出演していた元若手俳優のウェイトレスだった。あの役は印象的。「最高のルームメイト」ではD・B・スウィニーの奥さん役。さぼてんはいまいち印象に残らない人だと思っていたのですが、早くから映画通の方では注目されていた俳優さんですね。最近作は「ビッグ・リボウスキ」「マグノリア」「クッキー・フォーチュン」とたてつづけの出演。やはりたいした俳優さんなんだな。映画通の人達の眼力に脱帽。
おすすめ度★★★1/2
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チキンラン CHICKEN RUN
2000年 英国 85分
監督・原案 ピーター・ロード/ニック・パーク(「ウォレスとグルミット」アードマン・アニメーションズ)
脚本 ケイリー・カークパトリック
撮影 デイヴ・アレックス・リデット
音楽 ジョン・パウエル/ハリー・グレッグソン・ウィリアムス
出演 ジンジャー(ジュリア・サウラ)/ロッキー(メル・ギブソン)/Mrs.トゥイーディー(ミランダ・リチャードソン)/Mr.トゥイーディー(トニー・ヘイガース)/バヴス(編み物狂い)/ファウラー(英国空軍マスコット・チキン)/パンティー(ずけずけ言いの玉子うみ)/マック(数学の天才)/ニック&フェッチャー(なんでも屋のねずみのコンビ)
メモ 2001.5.9 千日前OSスバル座
あらすじ
英国の片田舎にあるトゥイーディー養鶏場には、へこたれない雌鳥「赤毛のジンジャー」がいた。何度も脱走を繰り返しては独房(ゴミ箱)入りさせられても諦めない。次々と脱走計画を参謀のマックと練り(こいつが
「飛べ!フェニックス」のハーディ・クリューガーみたいな天才でなかなか面白いねん)、鉄条網の向こうの新天地をめざしていた。ある日、雄鳥のロッキーが空から落ちてくる。サーカス団から逃げ出してきたロッキーは空を飛べるらしい。「ニワトリだって練習すれば跳べるのよ!」と一同訓練に励み始めるが、時間は限られていた。恐ろしいミセス・トゥイーディーがチンケな卵商売に嫌気がさし、「チキンパイ製造器」を購入したのだ! 大量殺鳥機の導入だった・・・。
感想
スピーディーで面白い。英国流ユーモアも笑えるし脚本のメリハリが利いている。「大脱走」と「第十七捕虜収容所」を先に見られている事をオススメする。
ドリーム・ワークスという大資本が入ったせいで手作り感は「ウォレスとグルミット」より薄くなっているが、反面ダイナミックな作りになっている。男性軍が要を握っているとしても、女どもが「キャーキャー」うるさく喚きながら頑張るってのがいいやん(笑)。ラストの赤毛のジンジャーとミセス.トゥイーディーの一騎打ちもいい。(レディースDAY千円で見れてとっても得した気分)
おすすめ度★★★★
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トラフィック TRAFFIC
 アカデミー監督賞 脚色賞 助演男優賞(ベニチオ・デル・トロ) 編集賞 
2000年 米国 148分
監督 スティーブン・ソダーバーグ(
「イギリスから来た男」 「蒼い記憶」「アウト・オブ・サイト」
脚本 スティーブン・ギャガン
撮影 ピーター・アンドリュース(スティーブン・ソダーバーグ)
音楽 クリフ・マルチネス
出演 マイケル・ダグラス(ロバート・ウェークフィールド)/ドン・チードル(モンテル・ゴードン)/ベニチオ・デル・トロ(ハビエール・ロドリゲス)/ルイス・ガスマン(レイ・カストロ)/デニス・クエイド(アーニー・メッツガー)/キャサリン・セタ=ジョーンズ(ヘレーナ・アヤラ)/スティーブン・バウアー(カルロス・アヤラ)/ミゲル・ェラー(ルイス)/エイミー・アーヴィング(バーバラ。ウェークフィールド)
メモ 2001.5.4 梅田ピカデリー
あらすじ
麻薬王同士が足を引っ張り合い密告しあっているメキシコ。今日も州警察の警官ふたりは国境近くで麻薬の運び人を捕らえる。そこにメキシコ軍が現れ油揚げをかっさらっていった。犯罪取締官のサラサール将軍だ。米国のオハイオでは州最高裁判事のロバート・ウェークフィールドが大統領から新しい麻薬取締連邦最高責任者に任命される。米国サンディエゴではおとり捜査官ふたりが麻薬密売人ルイスに罠を仕掛けていた。
感想
ベニチオ・デル・トロ、一世一代の役ではなかろか。。。助演男優賞? なにかのまちがいでは? なにゆえ主演男優賞じゃないの?(笑) いっつも思うんですけれど、この方「昨日の夜はボクシングでファイトした。」ってなお顔ですね。はれぼったいからかな。風格でてきた。

思っていたより真面目でかつエンターティメントな作品でした。ドキュメンタリー・タッチのメキシコ・ティファナの場面ではザラザラした土っぽい黄色の映像、米国・サンディエゴは太陽がサンサンとした白茶けた映像、米国・オハイオは青を基調のクールさで、映像的にもわかりやすい作りになっている。

3つのストーリーはそれぞれ子供を守るって話でもあるわけで、麻薬売買に手を染めていくヘレーナ(キャサリン・セタ=ジョーンズ)も判事のロバート(マイケル・ダグラス)も根っこは同じで「自分の子供さえ無事なら」という家族を大事にするっていう米国らしい。家族を無くしたハビエール(ベニチオ・デル・トロ)が光っていたのは家族という足枷が無かったせいかもしれないとも思える。
ベトナム戦争の傷痕をひきずり麻薬渦に苦しむ米国になぜ日本はかなわないのか? エネルギッシュさで負けるんだろうか? とはいえ最近会社の女の子から「通天閣の近くを歩いていたら『ねーちゃん、ヤクいらんか? ヤク』と言われた。」という話を聞くにつけ、「麻薬」は日本も対岸の火事ではないのだな。
おすすめ度★★★★1/2
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