驚異のメキシコ〜カバー
 
Kabah
 
 
カバー
 

  ウシュマルの姉妹都市。雨の神チャックの顔が建物の外壁を覆うコズ・ポープは、筆舌に尽くし難い異様さです。マヤ古典期末期。  

 
カバー遺跡
 


       
 
コズ・ポープ
カバーを代表する建物であるコズ・ポープ。しかし建物自体に特別な価値があるわけではありません。壁一面に施されたチャックの顔の装飾が貴重な遺産なのです。
 
柱の神殿
遺跡入口を入るとまず正面の丘に柱の神殿があります。保存状態も良くなかなか立派な建物ですが、実際に何に使われていたのかはよくわからないそうです。
 
凱旋門
マヤアーチを用いた凱旋門。ウシュマルやチチェンなど他のマヤ都市に通じる道がここから始まり、ユカタンのジャングルの中を縦横に伸びていたわけです。忍者道みたい。
 

     
雨の神チャック
チャック。この面妖な顔をした神はいったい何者なのでしょう。まるで脚のように前に突き出した鼻。なまはげのようなギョロ目と裂けた口。いくら遺跡といえど、こんな顔が延々と並んでいるのですから、常識的な美的感覚の持ち主なら誰でも頭が混乱してしまうこと請け合いです。ユカタン半島には川がなく、生活用水は雨に頼るしかありませんでした。そのため雨乞いの神であるチャックは大変に崇拝され、信仰の中心となっていたそうです。といってもねえ。早い話がバケモノでしょ、この人。
     

   
遺跡全景
チチェンやウシュマルと比べ小ぢんまりとしている反面、カバーは公園としてよく整備されています。主だった範囲はだいたい一目で見渡せるので、迷子になることもなく安心です。木陰も適度にあり、疲れてもすぐ休めるのがいいですね。ピクニックに来たような気分です。
   

 
マヤ人の家庭訪問
 


   
タイムスリップ
遺跡見物の途中でちょっと寄り道、マヤ人の一般家庭を訪ねてみました。ツアーコースに入っているので、かなり世間ずれしている方だとは思いますが、鶏を飼い畑を耕す素朴な暮らしは、何十年か前、戦後間もない頃の日本の田舎にどこか通じるものがあります。土の香りがするというか。
   

   
マリア
マヤの人々も今では多くがカトリックです。しかも、信仰対象はイエスよりマリア。敷地の一角に、祭壇だけが置かれた部屋がありました。自然のままの暮らしの中で、宗教関連の物品は人工的なだけに、やけに目立ちます。色もきらびやかだしね。
   
ご主人
家長らしきお父さんにも会いました。日焼けした皺だらけの顔が、いかにも農夫といった雰囲気です。このあたりはメキシコの中でもとりわけ貧しく、反政府暴動も多発する地域。この半世紀あまり、並大抵の苦労ではなかったことが察せられます。
   

   
もてなし
マヤの暮らしは自給自足。土壁の家、茅葺きの屋根、中庭に寝転がる犬。電化製品はテレビくらいしかありません。薪を利用したかまどで、お母さんが畑で採れたトウモロコシからトルティーリャを焼いてくれました。調味料ゼロの素朴な味。持っていられないほどの熱さがまた美味い。幸せとは暖かな家族。
   


   

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