驚異のメキシコ〜チチェンイツァ
 
Chichen Itza
 
 
チチェンイツァ
 

  マヤ古典期および後古典期(マヤ・トルテカ期)を代表する遺跡。6〜7世紀に隆盛を誇った後、歴史の舞台からいったん姿を消しますが、10世紀になって再び栄え、カスティージョをはじめとする多くの建造物を残しました。  

 
カスティージョ
 


       
 
メインゲートより
域内に入るとまず見えてくるのが、チチェンの代名詞、カスティージョのピラミッド。近づくにつれてその全貌が明らかになってくる展開に胸が高鳴ります。
 
急傾斜
カスティージョの階段はとにかく傾斜が急。背筋を伸ばして登ろうとすると、バランスを崩して後ろにそっくり返ってしまいそうで、怖いったらありゃしません。
 
命がけ
写真を撮るために上から見下ろしただけで脚がすくんでしまいましたが、実際はもっとすごいんです。みんな黙々と登ってきますが、振り返ったら脚が止まるだろうな。
 

       
 
絶景
カスティージョの上からは、遮るもののない360°のパノラマビュー。そのほとんどが緑深いジャングルです。鳥の声やら獣の声やらが響いてきて、なかなか賑やかです。
 
神殿
ピラミッドの頂上には神殿がほぼ完全な形で残っています。内部は外界から隔絶され、ひんやりとした静謐な空間。悟りを開けそうな気分になってきます。
 
足元注意
神殿の周囲をぐるりと一周することもできます。ただし、幅が狭く、当然手すりなどもないので、ちょっとビビりながら恐る恐る歩かなくてはなりませんが。
 

 

 

降りる
降りるのにも勇気が要ります。登らなければ良かったと誰もが後悔します。で、こうして一段ずつお尻をつきながら降りてくるわけですが、中には立って歩いて降りる人もいます。命知らずですね。北側の階段は崩壊の度合いが激しいため登頂禁止となっていますが、ここを降りる人もいます。無謀ですね。
     

       
 
ククルカン
カスティージョを一躍有名にしたのがククルカン。春分の日と秋分の日、この斜面に神殿の影がギザギザに浮かび上がり、まるで羽の生えた蛇のように見えるのです。
 
チャックモール
カスティージョの内部には実はもうひとつピラミッドがあり、サウナのような湿った階段を登ると、その奥にチャックモール像があります。順番待ちに並んでも見るべし。
 
幾何学計算
カスティージョのピラミッドの美しさは、幾何学的な完成度の高さによるものです。四方に設けられた91段の階段と頂上の1段とで、365日を表わします。
 

 
戦士の神殿
 


       
 
立入禁止
正面の階段を登った先にかの有名なチャックモール像があるのですが、遺跡の傷みが激しいため、この時は立ち入り禁止になっていました。今はどうなっているのでしょうか。
 
列柱
階段周辺には戦士のレリーフが施された石柱が林立しています。これらは中央高原にあるトルテカ文明の遺跡トゥーラとの類似性が指摘されています。
 
ズーム
神殿の全貌を捉えるために、カスティージョの頂上からズームで狙ってみました。こうして見ると、戦士の列柱が剣山みたいに神殿を取り巻いているのがよくわかります。
 

 
球戯場
 


   
音響効果
マヤ遺跡には欠かせない球戯場。中でもチチェンのものは120m×30mと、メソアメリカ最大規模を誇っています。サッカー場が何面取れるんでしょうね。真ん中の芝生で手を叩くと音が両側の壁に何度か反響してから空に抜けていくという、不思議な効果を体験することができます。
   

     

バスケットゴール
球戯は左右の壁に嵌め込まれた石の輪にボールを入れるという、バスケットに似たもの。ゴール(?)が今も残っていますが、これが意外と小さい。輪の穴は直径10cmもありません。野球のボールくらいの大きさだとして、星飛雄馬並みのコントロールがないと入れるのは難しかったんじゃないかな。
 

 

 
セノーテ
 


   
聖なる泉
ピラミッドや神殿、球戯場が点在する芝生広場から、ジャングルを小道に入って歩くこと少し。マヤ遺跡に欠かせないもうひとつのアイテムである、セノーテと呼ばれる聖なる泉が現れます。緑色に澱んだ水面が、あたかも底なし沼であるかのような不気味な雰囲気を醸し出しています。
   

   
生贄
川のないユカタン地方では地下水の溜め池セノーテは命綱でした。と同時に、雨乞いや豊作を願って生け贄を捧げる場所でもありました。20世紀初めの調査によれば、池の底からは子供や女性、金や翡翠の装飾品などが出てきたそうです。なかなかにおどろおどろしい話ですね。
   

 
スコール
 


  カスティージョ内部を見学して外に出ると、それまで真っ青だった空一面にもくもくと黒い雲が。稲妻!と思った瞬間、猛烈な雨が降り始めました。カスティージョ周辺は一面の芝生で身を隠すところなどありません。この時のためにと日本から持参した雨合羽を頭から被り、入口のゲートに向かって走り出しました。視界は暗く、叩きつける雨に背中を丸め足元を見るのが精一杯です。気がつくと見覚えのない景色の先にぬかるんだ道だけが続いています。迷ったか。しかし、道があるということはその先に建物があるに違いない。轍の後を追って歩くこと数分、結果的に大きく遠回りしたものの、なんとかゲートにたどり着きました。合羽を被っていたにもかかわらず全身絞れるほどのびしょ濡れ。それ以上にショックだったのが、カメラの中にまで水が入っていたこと。合羽を着た服の内側、すなわち二重に覆っていたはずなのに。当然、作動不良で使えなくなりました。というわけで、この日は以後の写真はなし。熱帯のスコールのすさまじさを思い知らされた一日でした。その晩、夜通しカメラを乾かしましたよ(涙)。  


   

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