バイオネット

   2005年現在、世界最大の規模を持つとされる国際犯罪組織。その存在は公表されていない。
   第二次大戦初期に結成された、毒ガスなどの国際的禁止兵器の開発を行なう秘密結社がその前身であり、現在は麻薬、武器、人身および生体部品の密売によって莫大な活動資金を得ながら世界各国で暗躍を続けている。その経済力、および諜報力、そして破壊(軍事)力は強大で現在の世界情勢においてさまざまな意味で影響力を持っている。2003年には戦術核兵器の保有も確認され、各国の諜報機関を震撼させた。
   バイオネットの首脳部は世界最高水準の科学者たちから構成されている。彼らは危険な人体実験や、「思想の危険性」などのために学会で異端視され、遂には追放された者が殆どで、バイオネットの活動は彼らにとって研究活動の一環でしかないものと思われる。というのも幹部による活動の多くが、「実験」の要素を強く含んでいる例が多く、時には組織の一部を損なってでも「実験」結果を優先する事が多々見られるからである。それが各国、あるいは国連のGGGを含む諜報組織や治安維持組織の彼らへの対処を容易にしている面もあるが、同時にそれが根絶の難しさでもある。その「実験」結果は形を変え、当初よりもずっと温和な形で社会に還元される事が少なくない。それはつまりバイオネットの活動によって経済的利益が生じるという事であり、企業や個人との利益関係が成立していれば、それらが障壁となってバイオネットへの捜査、摘発を阻む要因ともなるからだ。一部の国では政府首脳部が半公然とバイオネットを庇護し、国内での活動を許している例すらある。
 その他、幹部として組織運営には関与しないものの、理論や技術によってバイオネットに協力する科学者も数多い。中には正式に学会に籍を置きながら、バイオネットへ研究技術や理論を提供していた者もいる(そして現在もいるであろう)。彼らにとって、バイオネットはスポンサーであり、研究継続のために組織活動に協力しているものと思われる。バイオネットは新理論や新技術の収集に非常に貪欲であり(その意味においては学究の徒として正しい態度と言える)、研究意義が(さまざまな意味で)社会に認められず、資金の欠乏から研究継続が困難な科学者にバイオネットは積極的に資金、または施設提供を含む接触を図っている。そのためバイオネットを中核とする社会の表には出ないネットワークは、今や社会のありとあらゆる分野に及び、その深化は年々複雑さと深刻さを増している。
 以上のような経緯からバイオネットは高度な遺伝子・生体工学技術を保有し、人間と獣を融合させた「獣人」と呼ばれる生体兵器を多数生み出している。また昨今は地球外知性体由来のものを始めとする地球外の新技術や未知のテクノロジーの獲得に力を入れており、木星探査船・ジュピロス1が持ち帰った未知のエネルギィ・ジュピターXの奪取をはじめ、機界文明が来襲した際、その技術の一部を接収し、知能程度が著しく低い獣人に替わる生体兵器として研究を進めていたことも確認されている。近年はGGGが保有するGストーンとそれに伴うオーバーテクノロジーを入手すべく攻撃の対象をGGGおよびGストーンを供与された各国特殊機関に集中しつつある。特にフランス政府が開発した新型ビークルロボの奪取とそれに伴うパリ破壊計画はパリ市街を半壊させ、一般の市民にも多数の死傷者を出した一大破壊活動であった。この事件の際にバイオネットはフェイクGSライドのデータを入手しており、一年後のに発生した新型ガオーマシン奪取事件ではすでに独自にフェイクGSライド搭載型の戦闘マシン兵器の製造に成功していることが確認されており、バイオネットの脅威は各国警察組織、諜報機関、そしてGGGの必死の活動にもかかわらず、年を追うごとに増大しているのが現状である。
   総帥はプロフェッサー・モズマであったが、彼はヴェロケニア共和国の地下秘密基地の爆発事故によって死亡したとされている(ここで死亡したのはモズマの影武者だったという噂もある)。現在はドクター・タナトスが総帥代行として実権を握っている。