ペットボトル装置 顛末その2



 基本の思いつき

本装置の基本のアイデアは、「当たり前」の手段です。

大まかに書くと、遠心整列機でキャップを一定の姿勢にそろえて、
垂直のパイプに落とし込み、キャップを一列に並べます。
そして、観覧車みたいなローター上にキャップが一つづつ入る個室を設け、
観覧車様のローターを間欠回転させることで以下を順次実行します。

 @AB キャップを姿勢整列し、一列に並べる。
 ↓
 C    キャップの列からキャップを一つづつ個室に落とし込む。
 ↓
 D    側面から素材色を検出する。
 ↓
 E    検出結果に基づき割り当てられた排出口のゲートを開き、
       キャップ素材色ごとの分別を行う。

ペットボトルのキャップは、ほぼ円柱形で、直径と厚さの比率に十分な差があるので、
姿勢整列はわりと簡単です。コストを最小にするため、ごく簡単な形状の部品のみで
構成出来る遠心式整列機構を採用しました。

ローターを間欠回転させる機械要素には、三共製作所(※3)の「サンデックス」と言う
間欠割出装置を使いました。
これは「ロータリー方式」と通称される電子部品実装機や、部品搬送装置に良く
使われているカム式の装置です。

 ※3: 三共製作所 http://www.sankyo-seisakusho.co.jp/

間欠回転の手段としてはダイレクトドライブモーターを用いるなど、もっと現代的な
手段もありますが、高速領域で実績のあるカム式の割出装置を採用しました。

私は以前実装機メーカーのフィーダー開発に携わっていたので自分に見通しの効く
手段に頼ることにしたのです。
パナ時代の最初の上司がロータリー方式実装機のカム装置関連の専門家でした。
懐かしいな。

ローター形状の特徴としてはキャップ個室を自転可能なローラーで仕切ったことです。
噛みこみの発生を出来るだけ抑えるなど、都合の良い効果が期待できます。


ペットボトル キャップ 色 分別 選別 装置 機械 PET bottle cap color sorter
ペットボトル色分別装置の機構
まあ、面白がる人も多いけど。フィーダー設計だった私的には普通の発想。



以上の構想を本格的に本件に関わる前の11月初旬に思いつき、社内、客先への
プレゼンを行ったのですが、ギリギリまで同意は得られませんでした。
(前任者の方式にこだわられた。)
かくして短期決戦、睡眠不足、土日昼夜区別無し、残業代無し。

しょぼーん。


 臆病者!あんたは臆病者よ!!意気地無しっ!!

そうよ。臆病者はあたし。
どんなに机上の計算で実現性を実証しても、不安なのさっ!
と、いうことで今回の装置についても実証用のモックアップを作っています。

ほとんど自宅在庫の工作用の素材を使い、自宅の工具を使用して、
自宅のちゃぶ台の上での製作。
自腹の素材。。。そして、休日や夜間のボランティア作業。。。
あたしは何をしているの?どよーん。。。。

と言うことで、
モックアップを最初に見たのは妻と子供だったりします。
(「できたぁ。見て見て、きゃっきゃ、きゃっきゃ。」(夜の11時。無駄にハイ。))


(以下の画像をクリックすると動画が立ち上がります。)
ペットボトル キャップ 色 分別 選別 装置 機械 PET bottle cap color sortercap_bulk_feeder_mock_up.wmv
ペットボトルキャップを整列させる機構のモックアップ
2分の1サイズのモックアップです。
ちょうど半分の大きさで、形状が類似の樹脂部品をホームセンターで見つけたので、
ペットボトルのキャップに見立てて実験。
モータは模型用の2000円の物で、私が昔買って置いたもの。
ほとんどの材料は自腹。(トータル4000円くらい。)


(以下の画像をクリックすると動画が立ち上がります。)
ペットボトル キャップ 色 分別 選別 装置 機械 PET bottle cap color sorterrotor_mock_up.wmv
ペットボトルキャップを搬送する間欠回転ローターのモックアップ
原寸サイズですが、個室一個のみの16分割モデル。
個室への入り込み、列から切り出し、排出時の動きなど、キャップの挙動を確認する
ために作りました。簡単なものですが設計確認用としては十分。
ベース板は楽器工作に使った余りの桐板。ローラーも楽器工作用のメンピサン丸棒。


次のページへ 
前のページへ 
製造業界で作った物のトップページへ  このページのトップへ